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クロスステッチの魔女と中古ドールのお話  作者: 雨海月子
43章 クロスステッチの魔女と村巡り

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第947話 クロスステッチの魔女、狩りの計画をする

 その日も、私達は野宿をすることになった。結界石で囲んだ大きい木の上に上がり、枝の上に敷布を敷く。幹に凭れて紅茶を飲みつつ、そのまま眠りにつくことにした。


「明日……は、多分ちょっと怪しいかな。まだ、《探し》が鳥の姿をしているし。明日の夜か、明後日には、二つ目の村に着くと思うわ」


「この辺りなら、狩りをしても山の人達に嫌がられませんかね?」


「多分、ギリギリね」


 明日は少し出発を遅くして、狩りをしていってもいい。獲物が獲れたら、処理もあるから……そもそも、明日は出発できないかもしれないけれど。毛皮を剥いだり、肉と内臓の処理、骨を晒したりもしないといけない。


「狩りをするなら、しばらくこの山にいてもいいかもしれないわ。というか、処理が終わるまで出られなくなるし。私は嫌よ。魔法で色々防げるとはいえ、カバンの中に生臭いモノを入れて飛んでいくの」


「確かに、それはちょっと嫌ですね……」


 ルイスがしみじみと頷いた。私も頷く。というわけで、その日は寝ることにした。私は弓矢とかを持っていなくて、石を投げるしかない。魔法で夜に物を見えるようにすること自体はできるとはいえ、夜に獣の巣穴を探すほどの知識もない。明日の朝、獣に出くわせて狩れそうなら狩りたいな、程度の気分でいくことにした。そもそも、いない可能性だってそれなりにある。


 翌朝は良く晴れていて、私は木から降りて熱いお茶とパンで朝食にすることにした。魔法でパンを作り出せるとはいえ、おかずは魔法で作れない。今のところ、私は知らないし、そういう魔法があると聞いたこともない。であれば、おかずが尽きる前に何かしらの補填をしないといけないのだ。


(贅沢な悩みをするようになったわね、私も)


 一人でぼやく。それこそこの山にいた頃は、毎日、パンひとつでも食べられるか食べられないか、ずっとひやひやしていた。今はその心配がどこにもなくて、一段、贅沢者になった。


「マスター、何を狩りますか?」


「あんまり大きいものを狩っちゃうと、後が大変だからね。兎とか、鳥とか……とりあえず、手で抱えられる大きさを超えてたらやめるわ。解体って大変なのよ」


「僕達がお手伝いしたいですが、大きいと確かに難しいですね……」


 ルイスもわかってくれた。適当な石をいくつか拾って、それ用の袋に足しておく。足音をなるべく殺しながら、顔に泥を塗って、私達は山の中を歩き始めた。

 狩れれば、今日は新鮮なお肉を焼いて食べることにしよう。

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