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クロスステッチの魔女と中古ドールのお話  作者: 雨海月子
40章 クロスステッチの魔女と遠い故郷探し

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第912話 クロスステッチの魔女、もうちょっとお買い物を楽しむ

 敷物の他に、色々と旅用の道具の種類が明らかに増えていた。野宿や野営をする魔女は多いわけではない、と聞いたけれど——魔女の大半はお育ちがいいので、身分を離れてからも木の上とかで寝るのは眠れないことが多いらしい——最近は道具を充実させて、人の家がないような場所にも行けるようにするらしい。多分、そういうことだろう。


「主様ー、これはどうー?」


「羽織り毛布? まあ確かに、山の上の方は夏でも寒いけれど……」


 アワユキが持ってきたのは、新しい型の羽織り毛布だった。普通の毛布と同じような生地で作ってあるけれど、外套のようにまとうことで眠れるようになっている。私の場合、なくても別に眠れるので持っていなかったけれど……これいいかもなあ。かわいい。ちょっと分厚いけれど、どうせカバンに入れてしまうのなら大きさは関係ない。前に見た羽織り毛布は袖まで作ってあった分、毛布としては正直あまり有能ではないと思っていたから買わなかったのだ。これなら、いいのかもしれない。


「そうね、たまには買ってみようかしら」


「マスター、こういうのは必要ですか?」


 ルイスが持ってきたのは、《魔物除け》と《結界》の二つの魔法をひとつの石にまとめた魔法道具だった。上位品は、ここにさらに《保温》のまほうがはいっているらしいけれど、さすがに三つも魔法を載せた石は私には高価すぎた。自分の魔法があるとはいえ、一個くらいは持っておいて損しないだろう。というわけで、ひとつ買っていく。


「あるじさま、こちら、かわいいからどうかしら?」


「《隠匿》の魔法外套? あら、かわいいリボン」


 キャロルが見せてきたのは、大きな生地一面に《隠匿》の魔法が刺繍された外套だった。これだけ大きく刺繍されていたら、多分、かなり本格的に姿を隠すことができるだろう。裾にはレースがついていて、結び合わせるところのリボンは柔らかい生地でふわふわとしていた。《隠匿》の魔法以外は……生地も薄いなあ。


「でも、これはいいかなあ……というか、これが必要な場面は来てほしくない、が正しいかな」


「なるほど? でも、こういう外套はかわいいから、いつか着てみてくださいね」


「それはやってみようかな」


 《ドール》のための薄手の生地とかで、キャロルに仕立ててあげてもいいかもしれない。家にあるものでできたかな、なんてことを少し考えながら、私はもう少し買い物をつづけた。


「キーラさま、こういうのは?」


「こんな踵の高い靴を履く予定はないかなあ……」

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