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クロスステッチの魔女と中古ドールのお話  作者: 雨海月子
32章 クロスステッチの魔女とサプライズ
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第732話 クロスステッチの魔女、《ドール》の服を見立てる

 新しく買った服を着て、《ドール》のみんなが贈ってくれた襟飾をつける。普段身に着けないようなものばっかりで、かなり気恥しかった。でも、《夜市》なのだし、これはこれでいいのかもしれない。


「よくお似合いです、マスター!」


「もっとかわいくしてー!」


「お綺麗ですわ」


「とっても良いですかと」


 《ドール》の皆に褒められ、店員の魔女にも「見立ては確かだったようですね」と微笑まれ、顔が少し熱くなりながらも店を出ることにした。


「さーあ、みんなの分も見ていくわよ。私の買い物はもうおしまい!」


「えー」


「もっとマスターを着飾らせたいのに」


「えーじゃないって!」


 怖い。主に魔女が《ドール》を着飾らせるための《魔女の夜市》なのに、気づいたら私が着飾らせられようとしている。この子達に任せてしまったら、いったいどうなっていたことか。絶対に、もっと高級な服を持ってこられて、大変なことになっていたと思う。そんな自信がある。……見る目はあるのだ、うちの子達は。綺麗な物を見つけるのも上手いし、私の元だから大したものは扱っていないけれど、それなりに手伝いもしてくれている。そしてみんなに見立てさせた結果が、この服と襟飾だ。靴や他の装身具も用意させてみたら、きっとお姫様のようにされていたに違いない。そして、そんなものは私には荷が重すぎる。魔女とはいえ。


「ほーら、《ドール》用の家具や服を見に行くよ」


 そんなことを言いながら、私は皆を《ドール》のための小さな服や家具が集まった一角へと連れて行った。すれ違う魔女たちから視線を感じるけど、ルイスは「やっぱりよくお似合いです」と笑っていた。贔屓目なのよ。


「よおし、今度は私が全員着飾らせる手番だからね。ルイスはこれ、ラトウィッジはこっちちょっと合わせてみて」


 早速、小さな服をいくつも並べた屋台についたので、目についた服をそれぞれ羽織ってもらう。うん、よく似合う。いつもはそういうの巻かせてないけれど、たまにはリボンタイもいいわね……。魔法ではなく装飾の刺繍がついたシャツや、飴色に鞣した革靴。ループタイもいい。自分が首元を飾っているからか、そういうものに目が行く気がした。


「主様ー、アワユキにも何か買ってー」


「あるじさま、わたくしにも!」


「アワユキはこのリボン、キャロルはちょっとこれつけてみて」


 アワユキには柔らかい半透明のリボン、キャロルには綺麗なブローチを合わせてみた。うん、似合う似合う。やっぱり、自分以外を着飾らせるのが楽しい。

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