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クロスステッチの魔女と中古ドールのお話  作者: 雨海月子
32章 クロスステッチの魔女とサプライズ

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731/1033

第731話 クロスステッチの魔女、サプライズされる

 結局、服は二着買うことにした。たまには、そんな買い物もいいだろう。……それに、《ドール》たちからの視線が痛かった。私はラトウィッジももちろん入れて全員に服を買ったり、何かを作ったりというのを何度かしている。しかし自分の服は滅多に買わないので、いい機会だと思われているらしい。ううん、美しい物を見るのは好きだし、《ドール》に装わせるのも好きだけど、私にはそんなに似合わないと思うんだけどな?


「キーラさま、新しいお服で《夜市》は歩けないんですか?」


「え、流石にそれはお店に悪いんじゃ……」


「ウチの宣伝になるから構いませんよー」


 新しい服を早速着るという提案をそれとなく断ろうとしたら、笑顔の店員に逃げ場を塞がれた。どちらの服を着るかは、選んだ《ドール》二人に紙石遊びをさせて決めた。生成色の服に決まったので、試着用の小部屋に入れてもらい着替える。


「あ、あのっ――」


 その直前、ルイスが何かを店員魔女に言いかけた姿を見た気がしたが、他の《ドール》たちに小部屋に押し込まれてしまった。


「まさか、変なこと企んでないでしょうねえ……」


 ちょっと怖くなる。もう一度袖を通すと、腰のリボンはもう少しキツく結んだ方が好みだったので、ちょっとそうすることにした。なるほど、こういうところで個人の好きに調整できるようにしているのね……。大きな上等の鏡の前で、リボンを直し、おかしなところがないか軽く回って確認する。

 着替えを終えて外に出ると、満面の笑顔のルイスが包みを持っていた。なんだ、何か買っただけなのね、と安堵しかけたところで、気づく。ここに《ドール》が使うような物はほとんどないし、そもそもあの子達は現金をほとんど持ち合わせていない。どうやって買ったんだろう?


「マスター! これ、僕達みんなからの贈り物です! マスターが好きに集めていいと仰った物を、ここの魔女様が買い取ってくださりました!」


「つけて、つけてー!」


 何を買ってきたのか、怖くなってきた。私が見ていない間に、よっぽど高値で売れる物でも拾っていたのだろうか?


「あ、あの、これ本当にうちの子達が……?」


 包みを開けてみると、それは美しい真珠の襟飾だった。真珠はほとんど見たことないけど、そう呼ばれている物の真ん中に穴を開けて、装身具にするらしいことは知っている。本当に上等な物は、王族が身につけているらしいことも。それを、うちの子達が?


「ああ、安心してください。それは真珠もどきと呼ばれる石ですから、本物の真珠ではありませんよ。主想いの《ドール》たちが丁度、私の探していた森の雫を持っておりましたので、それと交換させていただきました」


 私はひとまず安心して、襟飾りを首に巻いてみた。

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