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クロスステッチの魔女と中古ドールのお話  作者: 雨海月子
32章 クロスステッチの魔女とサプライズ
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第729話 クロスステッチの魔女、自分の服も見る

 私がるんるんと店を見て回っている間、時折、カバンから聞こえる声が「あれ見て見たーい」「マスターあれなんてどうですか?」と言ってくるので、その通りにしたりしていた。


「マスター! あそこ、お仕立て屋さんですって!」


「あるじさまー、お洋服買ってお洋服!」


「ちょっと、私の服なんて去年買ったから今年は買わないわよ!」


 年に一着でも十分どころか多すぎるくらいだというのに、この子達は……。魔女になって魔力も成熟した今、これ以上背は伸びない。だから、服が着られなくなるのは、太るか服が傷んでダメになった時だけだ。なので魔女用の服屋は素通りしようかと思ったのだけれど……。


「「「「マスター/主様/あるじさま/キーラさま、違うお洋服着て!」」」」


 何故か私の《ドール》たち全員からそう言われたので、お店に入ることにした。ちなみに周囲にも、《ドール》に言われて入っているような魔女がいたので、仲間がいる気分に勝手になった。


「いらっしゃいませー。ここは半仕立て屋になります」


「半仕立て屋……?」


「ある程度はこの通り服の形をしているので、残りは各魔女の体型に合わせて調整してお売りします。なのでお値段はこのくらい」


「まあ」


 前に《夜市》で見た、完全に仕立てが終わった服をそのまま売っていたお店よりは少し高い。でも、一から仕立てを頼むよりは安かった。ふむ、服としてもお値段としても、綺麗に真ん中にあるお店らしい。ちょっと気楽な気分で、服を見て回れるお店だった。


「どんな用途の服がいいとか特になくて、強いて言うなら普段着られる服がいいんだけれど……」


「それでしたらコルセットがついていない、締め付けない形の服がこちらにありますよ。ここからここまでですね」


「お、多い」


 《夜市》の屋台の中でも、魔女の服屋は品物の特性上、例えばまち針屋や《ドール》の服屋より広い。多分、さらに空間を広げる魔法も使っているのだろう。屋台の仕切り布とかに、そういう気配があった。

 ここからここまで、と言われた服の列を見てみると、それだけで私が持っている服より多い。飾りの何もついていない、ただ着られるだけの服だけでも色と大きさが複数あった。仕立て屋の見習いが作ってそうな服だ。


「マスターはもっと綺麗なのが似合いますよ」


「もっとひらひら! ひらひら!」


「ええー……」


 単純に家で着る服ならそういうのでいいかな、と思っていたのに、みんなはお気に召さないらしい。他の服も見てみることにした。

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