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クロスステッチの魔女と中古ドールのお話  作者: 雨海月子
28章 クロスステッチの魔女と体探しの旅

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第639話 クロスステッチの魔女、再確認する

 次に通ったお店はドールアイの専門店だったので、こちらは足りているためいったん今日は素通りすることにする。


「マスター、こんなに沢山あるんだから、あたった目と頭の他にもう一体買ってもいいんじゃないですか?」


「お財布が足りなくなるからそれはダメよ……やりたくなるけど……」


 何せ、魅力的なものがわんさか並んでいるのだ、ここには。もう一体組んじゃっていいんじゃないかな?とか思いそうになるのを、必死にこらえる。お財布は有限なのだ。今財布にあるより多くのお金を手に入れる機会はないし、噂に聞いたことのあるテガタとやらを作っている暇もない。下の階で働くとしても、すぐに納品できるようなものはすべて出してしまった後なのだ。多めに用意していたお金も、多分なくなる自信がある。宿代を先に払っておいて、本当に良かった!


「宿代……は払ってある、お夕食……も宿に確かついてる、朝……は自分でパン作ればいいか。つまり……お財布の中は、大体全部使っていい……!」


「マスター、マスターそれ多分後で怒られますよ」


「パンだけだとおかずがないって言いだすと思うよー?」


「う……」


 銀貨一枚、いや、銅貨数枚くらいは残しておこう。多分。きっと。それで朝のおかずくらいは買えるはずだ。この街のモノの値段は知らないけれど、国の都とかではないんだから、恐ろしく高くなってたりはしないはずだ。……しないといいな。宿代もおかず代も、結構街によって値段が違うから怖いけど。


「い、いいの! 今日は沢山お買い物するつもりで来たんだから! そこは間違ってないの!」


 そんな風に言いながらも、お財布の中のお金をもう一度数えてから、私は《ドール》の胴体を売っているお店を見に行くことにした。


 《ドール》はなんでも付け替えられる。《核》さえあれば、男の子の体と女の子の体を変えたり、顔を変えたり、髪や目を変えたり、なんでもできる。一度に全部を付け替えてしまうと「自分」がわからなくなって混乱してしまうとはいえ、それも一時的なこと。いずれ馴染んで、体を問題なく動かせるようになる。


「ここもすごいわねえ……」


 その店で売っているのは、様々な《ドール》の体だった。男の子型や女の子型、半人半馬、半人半魚、鱗模様のあるもの、色の白いもの、黒いもの……頭の色とも合わせて見るべきなのだろう。


「いらっしゃいませ。どのような体をお探しで?」


「持っている頭に合う体にしたいんだけど、どんなのにしたいのかはまったく決まっていないの」


 私はそう言って、じっくり見ることにした。

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