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クロスステッチの魔女と中古ドールのお話  作者: 雨海月子
28章 クロスステッチの魔女と体探しの旅

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第621話 クロスステッチの魔女、もう一枚の紙を読む

 もう一枚の紙を後から確認すると、半分はメリンダ様からの私信で、半分は私が抽選で当てたドールアイについての詳細だった。


『ドールアイはひとつひとつ手作りなので、見本の物と少し差異があってもそういうもの、ということで、その差異を愛してやってくださいね。応募が予定より多く来たのもあり、しばらく届けるまで時間がかかります。お金を鳥に持たせたら粘土の札を届けるので、それをなくさないでください。瞳と交換しますので。

 新しく私の作品を気に入ってくれた魔女が増えてくれたのは、とても喜ばしいことだと思っております。どうか、素敵な《ドール》にしてあげてください。私のドールアイをつけた子と会うのは、私の楽しみのひとつでもあります。ドールアイにヒビが入ったとか、何か問題があった時でも、そうでない時でも構いません。エレンベルク西部に行く機会があったら、私のドールアイをつけた顔を見せてください。』


 その下にはつらつらと、細かな数字が並んでいた。瞳の部分の大きさ、重さ。これをつける場合の中央魔女規格の《ドール》の大きさの基準も一応載っていた。うちの子達にはあまり当てはまらないけれど、参考にはさせてもらうことにする。


「新しい子のためには、まずはお金を貯めて……それから、どんな子にするかを考えなくっちゃ」


「楽しそうですね、マスター」


 ルイスの時は、髪も目も最初からついていた。キャロルの時にはある程度選べたけれど、普通よりさらに小さいから、選択肢は少々少なかった。他の魔女が選んで決めるようなものを、思えば私は、初めてするのだ。楽しみになるのは当然だった。


「応募が多かったから、届くまで時間がかかるみたい。あの黄色と水色の瞳に合う髪は何色かとか、そもそも男の子にするか女の子にするかとか、どんな核にするかとか、そういうことをじっくり考えながら待つことにするわ」


「楽しみだねー」


「どんな子になるのかしら」


 よく封筒を見ると薄い紙が二枚入っていて、それは恐らく原寸大に描かれたドールアイの絵だった。真っ白になるまで晒した植物紙……間違いなく高価な品だ。それに、色もほとんど同じになるよう工夫された絵の具も使われている。違いとくれば、瞳の中に封入された小さな花が銀色というより白色で、光らないくらいだ。しかも一枚の紙にひとつ描かれていて、うまく工夫してやれば《ドール》がつけた時の様子を再現できるようになっている。

 細やかな心配りに、私はますます到着が楽しみになっていた。

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