表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
クロスステッチの魔女と中古ドールのお話  作者: 雨海月子
18章 クロスステッチの魔女と小さくなった《ドール》

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

373/1070

第373話 クロスステッチの魔女、お洋服をもらう

 あれやこれやと着せ替え会は盛り上がり、夜更けまでかかった。


「これと、これが特に似合うわね……片方はスカートで、キャロルには悪いと思うけれど……」


 何せ、中性的ということは男の服も女の服も似合うのだ。白いシャツと黒いズボンの男の服と迷っている、もう片方は女の服だった。フリルのついたエプロンドレスに、うさぎの耳を模ったヘッドドレスもついている。


「私も、中性型の《ドール》のいい参考になったわ……だから、両方あげちゃう!」


「さすがにもらいすぎですよ!?」



いいの、いいの、とソフィ様は笑う。


「小さい《ドール》の核は、狙って作れるものではありません。だからずっと、こうしてここに残り続けていたんです。それが核とマスターを得て旅立てるのであれば、人形師として喜ばしいことですから」


 そう口を挟んだのは、エステラだった。お金を払おうとしても財布をしまわされたので、本当にくれるつもりらしい。


「せめて、せめて何かさせてください、申し訳ないです……」


「それなら、あなたの《名刺》をいただけるかしら。それから、連絡を取れるように水晶も」


 こんな小さなくるみボタンひとつでは対価に絶対ならないと思うのだけれど、それが要望だと言われたら渡すしかなかった。自分で刺繍をした、くるみボタンを差し出す。水晶の波も交換した。


「まだ、これくらいしか作れていないんですが……」


「それでいいのよ、名刺に大掛かりな魔法をもらっても困ってしまうもの」


「そういうものですか……?」


 私にそう言って、あっという間にソフィ様は二着の服を包んでしまった。あれよあれよと手渡されて、もう断れなくされてしまっている。


「ええと、その、本当にありがとうございました。何から何まで……キャロルのこと、大事にしますから」


「こちらこそ。お母様に繋いでくれた上に、長らく見つからなかった《ドール》に核を入れてくれたんだもの。どちらも、私にはとても嬉しいことよ。その子のことで何かあったら――いえ、あなたならご自分のお母様に聞かれるのが早いかもしれないわね。時々、キャロルの話させてくれるともっと嬉しいわ」


「あの、ありがとうございました。ボクに体をくれて」


「僕からも、お礼を言わせてください。キャロルに体をくれて、僕も安心しました」


「お友達増えて、たのしー! ありがとー!」


 もう一度お礼を言って、私はソフィ様の家を辞することにした。もう夜も遅いので、魔法で灯を灯して歩いて帰る。箒に乗るのがうまくなったとはいえ、まだ少し飛んで帰るのは怖かった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ