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クロスステッチの魔女と中古ドールのお話  作者: 雨海月子
14章 クロスステッチの魔女と年越し夜会
294/1022

第294話 クロスステッチの魔女、情報交換?をする

 私を囲んでいる魔女達は皆、黒いしきたり通りの礼服だったけれど、あちこちで個性を出していた。三角帽子につける飾りや、裾の形、袖の形……黒い生地に黒のレースを縫い付けて、近づくと模様や装飾のわかる工夫。なるほど、決まりの沢山ある中でも自分なりの工夫をしてこその魔女、なのかもしれない。彼女達は、三等級の銅色の首飾りをしていた。


「……その、私がクロスステッチの四等級魔女です。ガブリエラ様とは鳥の羽を集めてお会いして……その後、組合に来ていたミルドレッド様をガブリエラ様に紹介していただきました。そしたら今日ターリア様のお弟子として出てこられて、びっくりしてます」


「そうよねぇ」


「何かの罠みたいな話よねぇ」


 うんうん、と何人かの魔女に頷かれた。思い出を懐かしんでいる顔なあたり、鳥の羽を集めた魔女も正体を知って後で驚いた魔女もそこそこいるらしい。


「相手が二等級にもなると、いちいち誰の弟子かなんて聞かないしねぇ」


「だからってあれはないけれど。他のターリア様のお弟子様方は、こう、お姫様〜って感じのお人が多いのに!」


「ガブリエラ様は普通に組合に依頼も出すからね。あとたまにミルドレッド様」


 どうやらこのお二人は、糸紡ぎの素材を自分で集めきれない時に依頼を出しているらしい。もう一人の二等級のお弟子様はあまりそういうことをしないから、どんな名前かもあまり広まってないとか、面白い話が頭の上を飛び交っていた。もう一人と言われて少し考えると、一度だけガブリエラ様の家に伺った時にお会いした魔女のことを思い出した。そういえば、ガブリエラ様の妹弟子ということはあの方もターリア様のお弟子様のはずだ。


「謎多き『三人目の魔女』の正体、みんな気になるのよね!」


「私達、ターリア様に憧れた魔女としては」


「こういう場にも姿を現すことがあまりないもの。前のお弟子様方は、三人交代交代でこういうお付きをしておられたのに」


「イザベラ様かな……?」


 私がつい呟くと、目の色を変えた魔女様方が一気に近寄ってきた。どうしよう、少し怖い。


「どこでお会いしたの!?」


「どんなお姿!?」


「え、ええと……ガブリエラ様のお家に羽を納めに行った際、ねえさまと呼ばれる魔女様がいて……少し会っただけでしたけど」


 魔女様方に囲まれる私をちらちら見ている視線が、いくつかあるのを感じた。微笑ましいものを見るような笑み混じりのもので、笑っていいのか悲しむべきなのか。

 勢いで話してる彼女達の名前を聞きそびれたと気付いたものの、今更聞けそうにもなかった。

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