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クロスステッチの魔女と中古ドールのお話  作者: 雨海月子
9章 クロスステッチの魔女と魔女の掟
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第194話 クロスステッチの魔女、《ドール》達と眠る

 汁物と焼いた魚とパンのお夕飯を簡単に終えた後、私が布団の支度をしているとルイスが「マスター、僕、今夜はマスターと一緒に寝たいです」と言い出した。


「アワユキもー! アワユキも主様と兄様と一緒のお布団がいいー!」


「あら、アワユキも?」


「うん! イヴェットもおいでー!」


 さらっとアワユキがイヴェットも誘って、イヴェットがこくりと頷く。来るんだ、とちょっと内心で驚いていた。私のベッドにみんながちょこんと乗ってきて、顔のあたりに三者三様に寄ってくる。


「ふふ、いいわよ。じゃあ、今日はみんなで一緒に寝ましょっか」


「わあい!」


 家具の一部をなんとか避けて、《拡大》の魔法の刺繍をベッドにかける。すると、人間が二人眠れる程度にベッドが大きくなったので、これで安心してのびのび眠れると安堵した。ついでに枕と掛け布団も変に大きくなってしまったけれど、大丈夫だろうと信じたい。《縮小》の魔法をかければ、うまく戻せるはずだ。多分。


「ほら、みんなおいでー。好きなところに寝てね」


「マスターの隣がいいです」


「主様の側ー!」


 ルイスとアワユキが即答して、イヴェットもこくりと頷く。どうやら、せっかく広げたのに大して意味がなさそうだ。私が布団に入ると、《ドール》達がちょこちょこと寄ってきて可愛らしかった。

 顔の両隣に、丸く手足をかがめたルイスとイヴェット。アワユキは私の顔の上に丸くなって、「主様これたのしー!」と喜んでいる。


「今日みたいなお話、また色々聞きたいです」


「イヴェットの家では、ああいうお話をする人はいませんでした。興味深いです」


「小さな国のところの湖って、この近くにあるんでしょうか? 僕は見てみたいです」


「それ面白そうー!」


 ルイスがいつにない希望を口にしてくれたのが嬉しくて、私も探してみたくなった。古物語は真実だ。語り伝えて来て、文字になった物語は強い。つまりはこの世のどこかに、湖に沈んだ小さな国があるはずなのだ。


「そうね、それを探してみるのは、きっととても楽しそうだわ。材料集めだけではなくて、そういうのを探してみるのもいいと思う」


「アワユキももちろん行くー!」


 ルイスとアワユキはうちの子だ。イヴェットはどんな顔をしてるかなと思ってそちらの方へ顔を向けてみると、無表情の中に少しワクワクしたような、興味があるような顔をしていた。イヴェットはいい子だ。グレイシアお姉様が言っていたような異常行動もないし、言動も普通だし。うちの子になれればいいのに、と思いながら、気づいたら私は眠っていた。

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