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クロスステッチの魔女と中古ドールのお話  作者: 雨海月子
7章 クロスステッチと魔女志願の乙女
117/1023

第117話 クロスステッチの魔女、占い結果を読み解く

「うーん……」


 占いの結果を見ながら、うんうんと唸って考え込む。描かれた模様には矢印やとんがりなど、わかりやすい指針が現れてはくれなかった。針が砂の上に描いた模様を指で中空になぞり、見やすいように木板に書き写す。お師匠様からもらっていた占いのまとめ書きをパラパラとめくってみるが、それらしい模様は載っていなかった。


「何の模様だろ、これ」


 これからはもう少し占いをしよう、と決めた。直感で読み解くものだとお師匠様やグレイシアお姉様は言っていたから、簡単になんとかなるんじゃないかと占う前は思っていた。ところが、そう簡単にはいかないようだ。


「これが、占いですか?」


「そう。模様の示すものを読み解くの。元々苦手だったからやらないでいたら、ますます苦手になっちゃったみたい」


 そんな風に言いながら、片付けるために占い盤を逆さに覗き込む。そうやって文字通りに見る向きを変えてみると、さっきよりは知っている模様のように見えた。二つ、組み合わさっているようにも見える。


「あっ、もしかして!」


 木板を同じ向きにして、白石で書いた跡を指で改めてなぞる。二つのことについて占ったのだから、二つの絵が重なっているのは当たり前だ。


「マスター、何かわかったんです?」


『気になる気になる!』


「勝手に針が動いたのとか見てると、魔法はすごいなって思いますね姉様!」


 三者三様の感想を聞きながら、私はこの辺りの地図と方位磁針を取り出して位置を照らし合わせたり、占いについてのまとめ書きを開きなおしたりした。まとめ書きにはよく現れる模様と、それらの意味が記されている。今回の占いで出た模様は見た中になかったからと軽く見ただけで流してしまっていたのを、改めて見直した。占いを直感だけでこなせて尚且つよく当たる、という占い師もこの世にはいるようだけれど、私はまだその境地には辿り着けていない。だから、遠慮なく資料を使って調べていた。


「……よし、わかったわ!」


 私はぱっと立ち上がって、メルチやルイスやアワユキの元に戻る。私が占い結果にうんうん唸っている間に、すっかり料理上手になったメルチがスープを煮てくれていた。


「占いの結果も気になりますが、まずはスープを飲まれてはいかがです? 寒い中の作業は、いかな魔女様でも風邪をひいてしまいます」


「あら、ありがとう。それならまずは、スープをもらおうかしら」


 そう言いながら、魔法で出したパンとメルチのスープで夕食とする。野菜や干し肉と言った普通の素材と普通の調味料、それもそこそこ置いていて多少悪くなってるだろうものを使って、こうも美味しいものが作れるなんて。天才の才能でもあったのか、気づけば彼女は、私よりも料理が上手くなっていた。

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