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星降る夜に君の願いを  作者: 雨宮礼雨
第一章 ゾルダーク編
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結末、疑惑、決断

 全ての出来事が終わった後しばらくしてから、ミュー達は一度チェルシアンナの家に集まり、その後の結末を聞いた。



 まず王は、城の地下に監禁されていた。食事など最低限の生活はできていたようだが、かなり憔悴していたらしい。


 事の始まりは、兄である前王を亡くしたダンゲリオンの元に、赤毛で長髪の男が接触してきたことだった。


 その男は『前王の遺志を伝えるためにやってきた』と話し、いかにも信頼されていた存在だと言わんばかりの態度だったそうだ。そしてその男は彼に緑の美しく光る宝玉の付いた杖を渡し、『貴方様こそ前王が次期王にと望まれた方です』と宣言してきた。


 初めのうちは自分にあの兄がそんなことを言うわけがないと思っていたが、あの杖を持ち始めてから異様に王位や権力を欲っするようになり、無意識に横柄な態度を取るようになっていったらしい。


 そしてあの男はダンゲリオンの側近として動き始め、王子を説得して星を受け取り自分に分け与えてくれたため、彼はより彼を信頼し、その欲望や自己顕示欲を膨らませていった。


 ところがその男が八星会議に同行した後、城に戻ってから杖の宝玉の色が変わっていたことに驚き、更にこれまでの欲望に塗れた自分が嘘のように消えていったことで、彼を責めた。


 すると彼は態度を豹変させ、地下に監禁されてしまったとのことだった。



 その話を聞いて様々な疑問や不安がミューの中に湧き上がり、恐怖が胸を占めていたが、嬉しいこともあった。



 王城に侵入した際に全く人気が無かったのは、どうやらウシュナが禁忌の力を使い、城にいる人々の体調を崩させたり精神異常を引き起こしたりしていたからのようだが、彼が消えてしまってすぐに、ミューの浄化の力も働いて皆ある程度動けるようになったそうだ。


 また、あの時かなり体調が悪そうだったチェルシアンナの夫、ジュリアン・イサ・リーブスも十分に回復し、自宅で念のため療養をしている。チェルシアンナはこれがきっかけでより夫婦仲が深まったと、嬉しそうな笑顔を見せてくれた。


 そして王子は、もう一度ミトラから星を受け取り、これから一歩ずつ王としての道を歩むことに決めた。



 今回関わったみんながこうしてそれぞれの道を、前を向いて歩こうとしていた。




(でも私は?)



 ミューはダンゲリオンの話を聞いて、思い当たることが一つあった。


 それは、あの八星会議の日にミューが出会ったゾルダークの従者こそ、あのウシュナという男かもしれないということだ。


 それはこれからも彼がまたミューにあっさりと接触できる力を持つということ。


 ミトラのいる場所に侵入される危険性があるということだ。



 ―――星を奪い、あの力を制御できるウシュナという男は一体何者なの?



 ミューは思う。このままではいけない。彼の人生を変えてしまった私は、ミトラの人生を自分に繋ぎ止めてしまった私は、何をすればいいのか、と。



 そして決断する。



 この悲劇を終わらせることを。



 ミトラの元を離れることを。


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