〜エピローグ〜 二人の未来
ミューは、ミトラに連れられて、アレイディアの待っている宿に戻った。モリノが転送陣を持ってきてくれたお陰で、帰りはあっさりと転送で宿まで戻り、そしてそこで待っていてくれた人達を見て、心底驚いた。
チェルシアンナとライラメアには泣きながら抱きつかれ、クリフとオリヴェイドにはほっとした表情で迎えられた。
モリノは嬉しそうにミトラと話をしながら、ミューにも温かい笑顔を向けてくれた。
「ミュー。お帰り。」
そして、アレイディアが待っていた。
「うん。ただいま。」
二人はただ笑顔のまま、友達らしいハグで再会を喜び合った。
「ミトラ殿。俺は国に帰ります。ミューを、よろしくお願いします。」
言われなくても、と喧嘩をするのかなとミューは心配していたが、ミトラはただ静かに「わかった。」と言っただけだった。
全員で流星宮に戻り、一人一人と別れを惜しみ合う。
そしてそれぞれの国の星宮に、ミトラが転送陣を開き、一人、また一人と、それぞれの場所へ帰っていった。
「二人の結婚式には、必ず呼んでね!!」
チェルシアンナの言葉に真っ赤になりながら、ミューがミトラを見上げる。
「もちろんです。」
ミトラが代わりに答えてくれて、余計頬が赤くなった。
そして今、二人は流星宮の中庭に二人で座っている。
そこには噴水の音だけが響き、空は夕焼けを映し出していた。
「ミュー。改めて、おかえり。」
「ただいま、ミトラ。」
二人は見つめ合って、笑い合う。
「ここに戻って来られて、君と一緒にいられて、本当に嬉しい。」
「うん。私も。」
そしてミトラがいつものバングルを手にした。
「今はこれしか無いけど、いずれ、指輪を用意するから。」
「・・・え?」
ミトラがミューの手を取る。
左手にそのバングルをゆっくりと嵌めて、言った。
「ミュー。一生、俺の妻として、一緒に生きてください。愛してる。」
ミューは言葉が出なかった。ただ嬉しくて、胸が詰まって、涙を流しながらミトラに抱きついた。
「はい。一生、私の夫でいてください。ミトラ、愛してる。」
そして二人は、夕闇が訪れつつあるその中庭で、深く深く、唇を重ねていった。
「いつかまた、一緒にあの草原で、流れ星を見ようね、ミトラ。」
「そうだね。君と会ったあの草原で、一緒に。」
二人が見上げた空に、小さな流れ星が一つだけ、流れていった。
これで全ての章が完結となります。
初めて書いた小説で至らない部分も多く、お恥ずかしい限りですが、最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
評価やブックマークをしてくださった方にも感謝の気持ちで一杯です!
本当にありがとうございました!!