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星降る夜に君の願いを  作者: 雨宮礼雨
第一章 ゾルダーク編
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作戦会議①

 従者の『アレ』持ち込み事件は不穏な空気をミュー達に残しつつも特にそれ以上の動きはなく、リンドアーク王とその従者達を残して全ての王が流星宮を離れた。


 流星宮のある『永遠の不毛の地』は、一番内側にオアシスのように美しい草原と泉が湧き出す場所がありその外側はその名の通り不毛の地となっている。大きな岩や砂漠が広がり容易には内側に入れない。


 王達はミトラが繋げた各国の転送陣からしか出入りは出来ないため、年に一度の八星会議の時だけ陣を解放し、王達が帰国後は陣を閉じていくことになる。



 ミトラはリンドアーク国の転送陣以外を全て閉じ、夕食後のリンドアーク王を再びミューの執務室に案内した。



「リンドアーク王、もう少ししましたらモーラ様もお戻りになると思いますので、もう少々お待ちください。」

ミトラがそう声を掛けて部屋を出ようとすると、

「ミトラ殿。」

と、真面目な顔で王がミトラを呼び止めた。ミトラはいつもの無表情で振り向き「なんでしょう」と首を傾げる。


「ミトラ殿は守り人様がお一人で動かれるのをどうしてそんなに心配しておられるのですか?お話をお聞きする限り、守り人様は誰よりもお強いはずです。先ほどの物凄いお力をこの身で感じればそれは納得できるのですが、ミトラ殿の心配が何に対してなのかわからない。」


「・・・彼女は、いえ、あの方は無茶をする方なので。」


 王は「彼女」という呼び方に少し反応したものの、小さく笑顔を浮かべて頷いた。


「なるほど。無茶、ですか。モーラ様は何をもってそのように生き急ぐようなことをされるのでしょうな。」


 王は真剣な表情で続けた。


「ミトラ殿は本当に守り人様を大切にされている。それが今の話でよくわかりました。ミトラ殿のためにも、この力を全力で守り人様にお捧げします。あの方が無茶をされるなら私に出来得る力でそれをお止めしましょう。どうか信じていただきたい。」


 ミトラはゆっくりと顔を上げる。


「もちろんです。あなたに九つ目の星を許可したのは私です。信頼がなければ与えることはありませんよ。」


 冷たさの中にも美しさが際立つ笑顔が王に返された。




「お待たせしました。」


ミューが先ほどよりもシンプルなベージュのワンピースで部屋に現れた。手にはいくつかの資料を持ち、先ほど座っていたソファーに腰掛ける。


「では作戦会議といきましょう!」


 ニヤリと笑うミューの顔はいたずらを仕掛ける少年のようで、彼女が無茶をする未来しか見えず、ミトラは小さくため息をついた。


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