第2話 戦女神、大地に降り立つ
ダンジョンってタイトルに入ってるし、せめて探索するまでは続けるんじゃあ~
相変わらず長いです。ご注意ください。
大気圏突入に成功した。
全天モニターは真っ赤な炎から青い空へ・・・・って暗い?
おっと、あたしとした事が。
気ばかり急いて夜間に突入してしまったようだ。
・・・・あ! やっべ、光学ステルスかけるの忘れてた!
・・・・まぁ夜だしいいか。
MDFは基本的にド派手な色合いだケド、どうせ見えはすまい。
ちなみに、あたしの愛機はパールローズピンクだ。
オイラーはメタリックブルーで、パストラのがクリスタルサファイアブルーだ。
派手過ぎだろwww
周りに恒星がある宇宙なら兎も角、可視光線の無い地表の夜間時だからどーせ色なんてわかりゃしないね!
・・・・何でそんな派手な色でギラギラにデコってるのかっていうと、目立つ事で宇宙のおバカさん達にこっちの存在を激しくアッピルして威圧する為だよ。
こっち見ただけで逃亡するようなヘタレなんかいちいち相手にしなくてヨシ!
その程度のやっこなんか、ガーディアンのおぢさん達はおろか、フツーのお巡りさんにだって対処可能な位にザコいしね。
向こうから勝手に縄へ飛び込んでくるよ。
実際、統計ではうっかりおバカさんになっちゃったやっこの約八割がソッコーとっ捕まってるんだ。
生き残って強くなったやっこは、実はレアな存在なんだよ。
それはそうとして、こんな森ん中で、ぼーっと夜空を眺めてるよーなアホも居ないでしょ!
大丈夫、問題ないね!
ヨシ!
高度を下げて着陸準備と洒落込もう!イクゾー!
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と、調子に乗ってるノリノリガールなメインであったが・・・・
着陸予定の森林地帯にて、3人組のおなご達が火を囲って休憩していた・・・・
金髪ロングヘア―をした耳の長いおなごが疲労困憊の様子でため息をつく。
「ハァ・・・・何とかここまでこれましたわ。追手も振り切ったようですわね」
同じく、疲れた様子であるが、油断なく周囲を警戒する、白い犬耳と尻尾が付いたおなごが答える。
「そうですね、私の鼻にも追ってくる様なヤツの匂いは嗅ぎ取れません」
傍らにてゴロゴロしていた黒い猫耳と尻尾を持つおなごが能天気に言う。
「あーしの耳にもなーんも聞こえんですニョ!」
焚火に追加の小枝を放り込んで、耳の長いおなごが独り言ちる。
「城塞都市まであと一息、潜り込めたらば見つかりはせぬでしょうが・・・・さりとて行く当ても頼る伝手も無し・・・・さて、如何致しますか・・・・」ハァ
「あまり金子も持ち出せませんでしたからね。ひと月程宿に泊まる位は出来そうですが・・・・」
「にゃったら、いっそん事、みにゃーで冒険者にでもなるかニョ!」
「フフ・・・・最早わたくし達は何の値打ちも無い根無し草、それもいいかもしれませんわね・・・・」
「いずれにせよ、先立つものが無くては生きていけませんからね、幸い城塞都市にはダンジョンがあると聞きます。案外良い考えかと・・・・」
何やら深刻な様子でモゴモゴ相談するおなごら。
切り詰め者もかくやという決断を力なく下し、ふと夜空を見上げた時であった。
「ズゴゴゴ・・・」
という音が、徐々に近づいてくると同時に、上空に火の玉が三つが、今まさに、この近くへと墜落してくるのが見えた。
三人ともぽかんと口を開けたままそれを眺めていたが、やがて来るであろう衝撃の事を思い出し、身を低くして身構えた。
・・・・だが、その思いに反して何事もなく、また轟音も嘘の様に消え去り、辺りは再び何事も無かった様に、虫の無く声と木々の葉擦れしか聞こえない静寂が戻ってきた。
「・・・・ニョニョニョ・・・・? 一体にゃんだったんかニョ?」
「ここから東の方へ落ちて行った様に見えましたわね・・・・。カレラ、ちょっと見てきて貰えませぬか?」
「うえぇ!? 私ですか? わ、分かりました・・・・見て参ります、コワイですけど」
「早く見てくるニョ、カレラ! お嬢のごえーは任せんしょい!」
「リーサ、あんた自分が逝くの嫌なだけなんでしょう!? うう~・・・・」
白い犬耳っ娘は、尻尾を股の間にくるんと収納したまま、森の闇へと恐る恐る向かうのであった・・・・。
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MDFは森林地帯の上空に到達した。軽ーく旋回して様子を窺ってみる。
当然の事だけど全天モニターはナイトビジョン対応だから、暗くても平気平気!
昼間と同様に周囲を見渡せる。
眼下には鬱蒼と茂った常緑樹の森林地帯だ。
梔子にお願いして、MDFのグラビティ・フェイズドアレイ・レーダー(長くて言うの邪魔くせーし次回から宇宙電探と呼ぶね)を使って地形を分析、三機のMDFを降ろせそうな場所を探してもらう。
すると円形に開けた広場みたいな所を発見。
さあ、とっとと降下して陣を敷くか。
探査用MDFだからVTOLもお手の物だ。
さくっと全員着陸、駐機した。
おっと、流石に隠蔽しなきゃマズい。
パッシブステルスモードにしてと。
・・・・ヨシ!
これであたし達以外の人間にはこのMDFは見えなくなった。
まぁ、ぶつかればバレるんだけど。
とりまキャンプファイヤーを炊いて、今後の方針を相談することにした。
「なぁ姉ちゃん。ここがダンジョンあるトコなんか? おれ、どう見ても森ン中にしかみえんのやけど」(^ω^≡^ω^)キョロキョロ
『・・・exactry(その通りだよ)。目標の都市から20km位離れた森んなかだね』
「えっ? すぐ街に行かんの?」( ^ω^)?
『・・・・この惑星の文明レベルでMDFを目撃されたらマズいでしょ・・・・』
「あっ、そっかあー! そうだよな! ハッ! という事は、夜なのもそのせいなん!?」
『・・・・フッ、こやつ見抜いておるわ・・・・(ホントは違うケドねwアホがw)』
「うっほほ! やっぱそうか! 初めはヤだったけど、なんかおれにも才能あんじゃね? って思えてきた! おらワクワクすっぞ! ヨシ! 腹減ったから飯盒炊爨だ!」ヒャッハー!
「(`・ω・´)」キリッ
大事な事だからもう一回言おう。
アホがw
まぁ誤魔化せたからヨシ!
あっ、コイツ、MDFに道具と食材積んでたんだ。
飯盒に・・・・ジャガイモ、ニンジン、玉ねぎ、宇宙ジビエに、コイツ特製スパイスミックス。
・・・・カレーする気満々じゃんwww
どんだけ下に降りたかったんだよwww
確かにキャンプなんて小学生ん時以来だし、気持ちは分からんでもない。
鼻歌混じりに料理を始めたオイラーを尻目に、あたしはさっき分析したマップを仮想ウィンドウに共有して説明する事にした。
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一方その頃・・・・。
二人と一アホがレジャー気分でキャンプ飯を始めた場所から少し離れた森の中を、尻尾をくるんと股間に収納し、犬耳をぺたんと倒した白い毛並みのおなごがビクビク怯えながらも、注意深く、物音をなるべく立てずに歩いていた。
「あうう・・・・。コワイ、コワイよぉ・・・・。ずっとろくに食べてないから、お腹も限界だし、早く戻りたいよう。うう、でもあんなスゴい音してたんだもん、指差し確認してヨシ! ってしなきゃ安心できないし・・・・。確かこの辺りだったはず・・・・。ん? 明るい? 誰かいるのかな・・・・?」
白わんこは森の開けた場所に焚火の灯りを見つけ、木々の影からそっと様子を窺う。
「あれ? ここって昼間に通った場所だけど誰かいたっけな・・・・? おなごが二人に・・・・男の人か。良かった。こわーいおぢさん達じゃ無いみたい。ん? クンカクンカ・・・・ふわぁ。なんて、美味しそうな匂いなの、じゅるるん」フラフラ
オイラーが作るキャンプカレーの、食欲をそそる暴力的なまでに抗いがたい香辛料の匂いに、白わんこは生きている人間を見つけたゾンビの様に、覚束ない足取りでフラフラと引き寄せられて行くのであった・・・・。
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『・・・・マップに注目。目標の都市はここから西へ約20km離れた所にある。入門ゲートは東西南北にそれぞれあって、全てに入場審査の人員が詰めてるね。並んでる人の様子を見た限りでは、別に入るのはどこでも同じみたいだね』
「おお~、まさしくファンタジー! じゃあさじゃあさ、貴族っぽい人が入る用のとかもあんの?」
『・・・・ある。馬車が入れる様に広い目のヤツが、各門のすぐ横に設置されてる』
「ほっへえ~。やっぱそうなんか~。じゃあおれらはやっぱ列に並んで入るん?」
『・・・・この装備にステルス機能はついてないから、そうなるね・・・・』
「ぬ~ん。そうなん? あれ? なぁ姉ちゃん、ここって、素通り出来んの? やっぱ何かライセンスとか見せたりせなアカンのとちがうん?」
「( ^ω^)・・・・?」キョトン
『・・・・ん、そうだね。ドローンの動画だと身分証みたいなペンダント見せるか、銀貨を何枚か入場係員に渡して・・・・(ハッ!?』
「おお? やっぱ何か要るんか~。で、姉ちゃん、「こんなこともあろうかと」クレジットとかそいういうの用意しとるんか? ・・・・姉ちゃん? ・・・・えっ、ちょっとまって? アンタまさか・・・・!」
『・・・・・・・・(メソラシ』
「エエエェェェェエエエェェェ(´Д`)ェェェエエエェェェェエエエ! マジかよ姉ちゃん! アンタ動画とか見てメッチャ予習してたやろがい!? どないすんのよ!?」
『・・・・チッ、うるせーな。今考え中だよ。それよか、お腹減ったから早くカレー作んなよ。大丈夫よ、問題ないわ。準備は整っているわ(キリッ』
「全然整ってないじゃん! もー、どないすんのよあーたは・・・・カレーは飯が炊けたらもう食えるよ。飯盒もグツグツってなってるからもうそろそろやね」
『・・・・そう。飯食って屁こいて寝てから考えるかな・・・・』
「きたねぇな! おなごが屁とかいうなし! ・・・・ほら、出来た。うほっ! 我ながらうまそ~! 何でキャンプの自炊飯ってこんな美味そうに見えるんやろか?」
『・・・・さあね。アルプスの山奥に引き籠ってるツンギレジジイが「空気がうめーから」とかてきとーな事言ってたケド。何かそういう感じになんじゃない? あっ、オコゲちょーだい』ヒョイ
「ナチュラルに口悪いな! まぁ雰囲気なんやろな! お祭りん時とかってなんか知らんけど普段よりお好み焼き美味いもんな! うは! オコゲはおれんやぞ! 取んな!」
「(*´Д`)ウマーイ」モグモグ
三人がカレーをワイワイ喰らい始めたと同じく、匂いに釣られた白わんこが滝の様に涎を垂らしながらオイラー(の持つカレー)を、尻尾を扇風機の回転が如く目に捉えきれないスピードで降りながら凝視していた。
「ヘッヘッ・・・・(ダラダラ くぅーん、くぅーん・・・・」ブンブン
「うまうま・・・(。´・ω・)んん? おっ、可愛いワンちゃん! どこから来たんでちゅかー? お腹すいてんの~? じゃあ~、お座り! 御手! おかわり!」
「ヘッ!(シュバッ! くぅん!(サッ! ワン!(ササッ!」
『・・・・? ちょっと、気軽に餌やっちゃダメだよ。飼い主さん探してるよ?』
メインは、クレジットをどう用意しようか考え事をしていたので、オイラーの方を見もせずに言葉だけで軽率な行動を窘めた。
「いーじゃん、かわいそーやん! ・・・・よーしよしよし! 可愛いね~! はいこれカレー! ・・・・おっと、まだだよぉ~? 待て待て・・・・」(*´ω`)
「く、くぅん、くぅーん・・・・」ダラダラ
「ヨシ! いいよ! うわぁ、凄い喰いっぷり! あれぇ、キミ、スプーン使うの上手なんだ、エライねぇ〜! 美味しい? そーかそーか!」
「フガ! フガ! ワグ! ザグ! グブ! ドム!」ガツガツ
余程空腹だったのか、あまりの勢いの凄まじさに鳴くのと喰らうのを同時にし、色々な兵器の名前を言ってるように聞こえる白わんこ。
『・・・・あーあ、やっちゃった。怒られても知らんよあたしは』モグモグ
「( ^ω^)・・・・?」キョトン
『・・・・ん?ああ、アレ?オイラーは何でか犬猫に好かれるんだよね。ああやって餌くれるチョロいヤツだって、分かるんだろーね』
「(*´Д`)ナルホド」ナットク
メインちゃん、パストラが聞きたかったのはそういう事じゃないよ。
白わんこの愛らしさに、調子が危険な領域に加速するオイラー。
「ゲグ! ルグ! ビグ! ザム! ガブ! ダム! ・・・・ペロペロ・・・・くぅーん・・・・」ショボリンヌ
カレーを一気に平らげ、皿まで綺麗に舐めとった白わんこが、切な気に声を上げてショボリンヌしよる。
「ありゃあ! もう食べちゃったの!? よく食べるねぇ~! よーしよしよし! まだあるよ! もっとお食べ! ヨシ! 追加でシチューも作っちゃうもんね!」
尚も調子に乗ったオイラーは、残ったカレーをよそってやると、追加の料理を作り始めた。
歓喜の鳴き声を上げ、再びカレーを貪る白わんこ。
「ワワワワワゥン! ヘッヘッ! マグ! ヅヴ! ビャグ! ジグ! ジヲ! ギュベ! ゼダ!」
凄まじいまでの食欲を見せる白わんこ。
それもそのはず、宇宙ジビエの強壮効果により、食欲に歯止めがかからなくなってしまったのである。
「うわあ~! すごいすごい! よく食べる子だねぇ~! はい、出来たよ~! ぜーんぶ食べちゃっていいからねぇ~! よーしよしよし!」(*´ω`)
「ワッヘオフフオン!! ゲブ! マグ! グウィ! マザ! ドベ! ヴル! ガズ! エル! アル! ダブ! ゼダ!」ガツガツガツ
カレーを全て喰らい尽くしても尚、更に追加で作ったシチューすら全て平らげる勢いで喰らい続ける白わんこ。
このままでは腹が破れそうである。
これにはさすがにマズいでしょ。
と思ったメインが顔を上げて惨状を確認した。
・・・・と同時に真顔になってオイラーと向き合う。
『・・・・おい』
「(。´・ω・)ん?なに姉ちゃん」
( `・ω) 彡⌒ ミ
γ/ γ⌒ヽ (´;ω;`) ウッ…
/ | 、 イ(⌒ ⌒ヽ
.l | 三 } )ヽ 、_、_, \ \
{ | 三、´⌒ヽ-'巛( / /
.\ | T ''' ・・‐‐'^ (、_ノ
| | / // /
『・・・・なに? じゃないよハゲ。こっちのセリフだっつうの。これわんこちがう。現地の人じゃん。何してんのアンタ?』
「ブゲッ・・・あぐ、おぉぉお゛・・・・」プルプル
無言の腹パンを喰らい、悶絶するオイラー。
白わんこは全ての料理を喰らい尽くし、ぱんぱんになった腹をへそ天にして、至福の表情のまま息絶え・・・ているかのように眠っていた。
パストラがそのぷくーっと膨れ上がった腹をツンツンすると、白わんこは器用にも寝ながら「ゲフッ!」とゲップをした。
『・・・・しかも宇宙ジビエ使ってるんだよ? どんな効果あるか分からんのに、気軽にやるアホがどこに居んのよ。・・・・あっ、ここに居ったわ』
「あぎぎ・・・・らおん・・・・せ、生体ナノマシン持ってない生き物やと・・・・ブ、フラッ・・・・そないに元気には・・・・ジオォ・・・・ダイ・・・・ならんって、いるか公園の猫ちゃんらで・・・・めぎぎ・・・・どぉお・・・・! 実証済みやぞ・・・・!」
『・・・・へぇー、そうなんだ』
( `・ω) 彡⌒ ミ
γ/ γ⌒ヽ (´;ω;`) ウッ…
/ | 、 イ(⌒ ⌒ヽ
.l | 三 } )ヽ 、_、_, \ \
{ | 三、´⌒ヽ-'巛( / /
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| | / // /
「ジボッ!? (バンサン!」ガクッ
『・・・・ほいほいフツーの生き物に喰わせるなっつってんのよ。アホが。氏ね。夢んなかで反省するんだね。』
「((((;゜Д゜))))ガクガクブルブル」
「」死ーん
再び無言の腹パンを喰らい、白わんこの隣に転がるオイラー。
こうなってしまっては、最早尋問など不可能であろう。
今日はさっさと屁をこいて寝て明日になってから話をしようと決めたメインは、MDFのコクピットから、-196℃の極寒でも余裕で眠れるコスモ・シェラフを取り出すと、オイラーと白わんこを放り込み、パストラにも渡した後、自らも自身の分に潜り込んでふて寝を決め込むのであった。
・
・
・
一方、白わんこを斥候に放ち、報告を待つ二人はというと・・・・
中々帰ってこない白わんこの身を案じ、眠れぬ夜を過ごしていた。
「カレラ、遅いですわ。中々戻って来ませぬわね・・・・。一体、何があったのでしょう?凶悪な魔物か何かが居て、頭からバリバリ食べられてしまったのでしょうか・・・・?」ブルブル
「ニョ~・。・・、確かに心配だニョォ・・・・あーしがちょっと見てくるニョ!」
「そ、それは何となく二人とも影に潜むアサシンに音もなく仕留められそうな予感がするからダメですわよ!?」
「ンニョニョ? ・・・・ンー、あーしちょっとオシコ逝って来ますニョ~」
「それも何となく危ない予感が!? うう、カレラ、早くお戻りになって!」
実際、こういう時は下手に蠢くとミイラ取りが木之井になって即身成仏する。
二人は居もしない、楽器の弦を咥えて引き絞ったり、髪飾りをクルクル回したりしながら獲物を虎視眈々と狙う姿なき暗殺者を想像し、その影に怯え、肩を抱き合って震え続けるのであった・・・・。
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翌朝。
徐々に明るくなる朝日とチュンチュンピヨピヨという鳥のツイートで目覚めたあたしはガバッとコスモ・シェラフを跳ね除け、飛び起きた。
やはり地表の、それも自然そのものな場所での目覚めは格別だ。
朝もやの中、少しひんやりした空気が大変心地よい。
伸びをしつつ、ふと横を見ると、隣で寝ていたパストラも丁度起きたみたい。
目をこすりながら伸びをしてた。
おっぱいの圧力に耐えかねて鎖帷子がミチミチいっててエロいな。
かくいうあたしも胸当てのベルトがいつの間にか引きちぎれてたケド。
まぁすぐ直せるでしょ。
でも、うーん。
身体データを元に作られたハズなんだケド、何かキツいんだよね。
皮鎧か鱗鎧風のプロテクターに変更できんかなあ? あとで調べとこう。
閑話休題、昨日は面倒臭くなってふて寝してしまったので、片付けをしてない。
まずはキレイにしてから朝の支度をしよう。
あたしは荷物からユニバーサル・バニッシュメント・クリーナーを取り出し、圧縮水錠と一緒にデカい目のバケツへ、昨晩使った食器や調理器具諸共放り込んだ後にペットボトルの水を少し入れた。
圧縮水錠は水をギュウギュウ詰めにした2㎝位のボールで、ほんのちょっと、水分を与えるとハジけて元の体積に戻る仕組みになってる。
玉一個で大体10ℓだ。
業務用のだと1kℓで、ソフトボール位の大きさで滅茶デカいらしい。
まぁ、今みたいな人数なら流石にそんなには要らんわな。
辺り一面水浸しになるわ。
んで、長ったらしい名前のやっこは、正式には「宇宙超強力有機物分解洗剤」っていう。今みたいな野外で出たごみを処理する為の薬品だ。
ぶっかけると、それこそ一瞬でゴミや汚物を消滅させるが如く土に還しちゃう、文字通り超強力な頼もしいやっこだよ。
でも、手にかかったらヒリヒリするから、扱いに注意だね。
ゴム手袋してと。
パストラと二人でジャブジャブすると、一瞬で綺麗になった。
この洗剤入りのとは別に、水だけ入れたバケツに移してから濯いで、万能ペーパータオルで拭いて完了!
次に己の身体の方を磨こう。
まずはちょっと離れた所の茂みに、そこそこ深い目の穴を掘って、そこに洗うのに使ったバケツの洗剤水をブチまける! ドバー!
そんでから、デンタルナノケアリキッドでグチュグチュオエ゛ー! して、フェイスウォッシュタオルで顔を拭いた後、全部穴へダンクシュート!
更に、パストラと交代で昨晩に蓄積した宇宙乙女ジェットを開放感溢れるロケーションにて放出してケツを拭いた後、濯いだ方のバケツに入った水で手を洗う。
最後に、この手洗い水をも穴に流し込んでから埋め戻して終了!
はースッキリ!
こうすれば、残った洗剤の効果で放出中も匂いがしないし、ケツ拭き紙諸共速攻で完全に土に還るから環境汚染にはならない。
とはいえ、イチイチ邪魔臭いから早い目に宿なりを見つけたい所だ。
仕上げにナノシャワー・ボディミストをパストラと吹き付けあう。
これは老廃物を分解してくれる細い有機ナノマシンのスプレー。
サッと一吹きすれば老廃物を分解しながら増殖、一瞬で体表を覆って汚れを浄化したのち、役目を終えてチリになる、健気なやっこだ。
当然チリも土に還る。
服の上からでも使えるスゴいやっこなんだけど、身体が粉を吹くのが難点だね。
二人してパンパン身体を叩いて宇宙乙女粉塵をバラ撒いていると、オイラーも目を覚ましたようだ。
白わんこはまだ鼻をピスピス言わしながら寝とる。
無言の腹パンを抗議してブツブツ喚くオイラーに改めて事の邪魔くささを教えてやるために、横で寝てる白わんこを見る様に言ってやった。
そしたらコイツ、寝ぼけながら同衾している白わんこを見るなり、((((;゜Д゜))))ガクガクブルブル震えだしおった。
今更かよwwwwもう遅いわwwwwアホがwwww
良く見るとこの白わんこは、犬耳と尻尾以外はフツーの人とほぼ変わらない容姿。
これはゲームとかファンタジーで言うところの、所謂「犬人」とか「ラウルフ」とか言う種族だわな。
しかも人としても結構可愛い顔しよるね。
これは獣人とか亜人っていうヤツだ。
多分他にも居るんじゃないかな? この惑星の人類はかなりの多種族みたい。
地表探索の鉄則として、
「現地住人との接触はゼロ災に留めよう、ヨシ!」
っていうのがある。
流石のオイラーもその事を知っていたようだ。
・・・・まさか、おなごと同衾してるのを
「あれ、おれ何かヤッちゃいました?」
とか勘違いして震えてる訳じゃないよね? オイラーの事だ、あり得るわ。
愛らしい白わんこが隣におったら、そういう発想も分からんでもないが。
それに、起きた時に様子見てたら、おもいっきり抱き合って寝とったし。
ぬくかったんだろうね。
あの白わんこは見るからにぬくそーだ。
そもそもから、ローテク文明への軽はずみな接触はお上によって禁止されている。
にもかかわらず、このアホは地表に降りて秒で破りよった。
連帯責任で、下手したら全員冷凍刑やぞ。
まぁ、今回はミッションで降りてるから、常識の範囲でならヨシ! だからそれは無いし、殆ど偶然みたいなモンだったから、大丈夫で、問題ないとは思うケドね。
分かりやすくキョドるオイラーに、あたし達もさっき使ったナノアメニティグッズを放り投げて、
『とりあえず顔洗ってから宇宙愚物ジェットを放出して餅つけ』
と言ってやると、ようやっと再起動できたようだ。
さて、軽率なやっこも茂みの方へ行ったし、白わんこの方をどーにかしよう。
すぐ横であたし達がワチャワチャやってたにもかかわらず、未だピスピス言いながら気持ちよさそーに寝とるな・・・・
このやっこは大物なのかもしれない。
パストラがモチモチしてそうな頬っぺたをツンツンすると、なにやらモゴモゴ言いながら目を覚ましよった。
そんで暫く周りをキョロキョロした後、あたし達の姿を見るなり、コスモ・シェラフから飛び出し、某悪の科学者も真っ青になる位の勢いで後方へくるんと回転し、ジャンピング土下座をズッシャア! と完璧にキメた。
ほう、見事なキレとワザマエだ。
一応謝ってはいるんだろーケド、ワグワグべえべえ言ってさっぱり分からん。
このままだと埒が明かない。
宇宙愚物ジェットの放出を終えて戻って来たオイラーと共に宥めて落ち着かせた。
・・・・しかし、夜ん時は暗かったから分かんなかったケド、この白わんこちょっと薄汚ねぇな・・・・。
折角の毛並みもドロドロだし、服も埃まむしだ。
これじゃ白わんこじゃなくて、灰わんこだよ。
後、ちょっぴり犬くさい。
しょーがない、この灰わんこに魔法をかけてやるとするか。
あたしはナノアメニティグッズを手渡して使い方を一通り説明してやった。
首を捻りながら茂みへと向かった灰わんこは、
「スースーする!?」とか
「あひゃあ!?」とか
「スゴーイ!」とか
「何これぇ!?」
とかいってどったんばったん大騒ぎ。
あたし達は(* ´艸`)クスクスってなった。
そうやってミスエわんこジェットを放出して戻ってきた灰わんこは、すっかり浄化され美しいフワッフワの純白わんこになってた。
ヨシ!
丁度オイラーも食事の支度を終えた事だし、朝飯を喰らいながら事情聴取と情報収集を行うとするかな。
・
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・
ようやっと餅つきを取り戻した白わんこ・・・・カレラという名前らしい・・・・は、ここから南東にある海沿いの城塞港湾都市イロクーという所から来たらしい。
割と急いでたらしく、用意もなおざりだったせいで物資が底をつき、ここ何日かはろくに食事をしてなかったとの事。
夜休憩してる時に、空から火の玉が落ちてきて、凄い轟音が聞こえたので様子を見に来たら、滅茶いい匂いがしてここにフラフラ引き寄せられたんだそーだ。
・・・・思いっきり目撃されてるね。
誰だよ「誰も見てはおるまい」とか言ったおバカさんは!
何見てヨシ!って言ったのやら。
・・・・あたしか。フヒヒ、サーセン!
んん!
まぁ兎に角。なるほどね。そりゃあ、これだけよく喰うんだもん、納得だね。
今も調子に乗ったオイラーが朝飯に結構な量を作ってたにもかかわらず、全部一人で喰らい尽くしよった。
どんだけ腹減ってたんだか・・・・。
再びぷくーっと膨れ上がった腹をへそ天にし、満足そうに息絶え・・・・てるように寝る白わんこを尻目に後片づけをしてると、森の方から
「キー」
「ニョ~」
とかいう、微かな叫び声? の様なものが聞こえてきた。
それを聞いた白わんこはガバッと飛び起き、慌てた様子で
「そういえば連れが居るんでした! ごめんなさい、忘れてました!」
とか言いよった。忘れんなよwww
何にせよ最早放置は不可能だろう。
あたし達は白わんこのツレを見に行く事にした。
・
・
・
時はちょっとだけ遡って、メインが丁度目を覚ました位の時間。
姿なき暗殺者に怯え、抱き合ってブルブル震えてた二人のおなごも、下着に広がるジメッとした不快感に目を覚ました。
どうやらいつの間にか眠っていたようだ。
強行軍でここまでやってきて、疲労困憊であったのだから、当然の事であろう。
だが、同時に目覚めた二人がキョロキョロ辺りを見回すも、斥候に出したわんこの姿は見えない。
どうやら昨晩は結局戻らず仕舞いだったようである。
流石に心配になった二人が、食事や支度もそこそこにわんこの捜索に向かおうとした その時である。
結構な数のむくつけきオサーン達が現れ、彼女らを取り囲んだ。
連中は一様に下卑た表情を浮かべ、ペロペロペロロンと各々が持つ武器を嘗め回している。果たして、何か味でも憑いているのだろうか? 美味しいの?
賊っぽい一団の中でも、ひと際体格のよい、いかにも
「盗賊やっとります!」
という風体の臭そうなオサーンが、久々の上等な獲物を前に目をぎらぎらさせ、興奮冷めやらぬ様子でおなごらにジリジリと詰め寄って来た。
「ケヒヒ。昨日の夜に何かものスゲー音が聞こえて来て、怖くて震えながらねぐらに引き籠ってたが、やっぱり気になって来てみれば、中々にアップボール、即ち上玉なコムスメ共が居やがるじゃねぇかぁ~。俺様は普段の行いが良いからなぁ~!!」
「フヒャヒャ。頭の言う通りだぁ。俺も昨日は怖くて夜中に小便に行けなかったが、こんなナイスなキトゥンらを見つけられるなんてなぁ。小便を我慢しすぎてちょびっと漏らしちまった甲斐があったってもんよぉ~!」
おなごらが自らを取り囲む賊共の下履きを見てみると、確かにシミが広がり変色してカピカピしていた。
いや、ガッツリ漏らしてんじゃん!
何キッチリ我慢しきったアッピルしてんのコイツら!? と思うおなごら。
しかしそういうおなごらも、昨晩は結局ミスエおなごジェットを放出出来ず、下着が似たような感じになってしまっている。
その事を突っ込んで相手を刺激するのは自嘲する事にもなるので見なかった事にし、問答せずにさっさと武器を取り臨戦態勢を取って誤魔化す事にした。
「フッ、何かと思えば。たかが地獄の底から響く様な凄まじい「ズゴゴゴ」という途轍もなく恐ろしげな音如きで怯え、震えながら厠を堪える様な小心者ども等に、このわたくしが後れを取るなど有り得ませぬわ。返り討ちにして街の衛兵に小料理屋のお通しみたく突き出してお小遣いをゲットしてやりますわ!」スラン
「フー! ウゴウゴウゴウゴウゴルゴ! wow!(お前なんか怖くない! 今から喧嘩だ! さぁ、かかってこい! cv:結月ゆかり)」プクー
そう言って細身の長剣を抜いて構える耳の長いおなごと、獣の様に四つん這いになり、身体を弓なりに曲げ、猫尻尾を極限までぷくーっと膨らませて威嚇する黒ぬこ。
だがどちらのおなごも見るからに戦い慣れしておらず、耳の長いおなごはへっぴり腰で小刻みに震え、黒ぬこは尻尾の勇ましさとは裏腹に耳が完全にぺたんと倒れ、イカになっていた。
しかも隣り合ってお互い反対方向の賊と相対するものだから、その短いスカートからケツが完全に丸見えとなっており、それが賊たちの目を楽しませる事になっているという体たらく。
「クココ。いい眺めだぁ! もう俺らを楽しませてくれるなんて、最近のコムスメはサービス精神に溢れてんだなぁ!」
「ドヘヘ。しかも下着に可愛らしいシミまで憑いてやがるぜえ~!」
「音にビビッてたのは手前らじゃねぇかぁ~。勿論俺らは違うけどな! ブホホ!」
賊共が囃し立てるのを聞いて、
「なっ!?(カァァ」
「にょぉ!?(カァァ」
と赤面するおなごら。
どっちもどっちな、極めて低レベルな争いがここに繰り広げられていた。
「うう! 見られたからには生かしてはおけませぬわ! 覚悟なさい! あなた達の様な夜中に一人で厠にも行けない連中になんて、負けませんわ! 絶対に!!」
「ドアホ! ブタゴリラ!(さぁ、喧嘩だ! お前を倒してやる! cv:結月ゆかり)」
「ケヒヒ。どこからでもかかって来やがれ~wwww」
・
・
・
三十秒後・・・・・・。キー! ニョー! ケヒヒ!
・
・
・
「くっ、殺せ!」ジタバタ
「ンニョオ~(;ω;)」モゾモゾ
あっさり即落ちしたおなごらは後ろ手あぐら縛りで転がされていた。
しかもうつ伏せなので、天高く突き出したケツが丸見えであった。
「ケヒヒ! リアルくっころキター! 口ほどにも無ぇおなごらだぁ。流石ビビッてお漏らしするだけの事はあるなぁ! 勿論、俺らには全く関係無ぇ事だけどなぁ!」
「クココ! 全く禿同だぁ! さーて、早速ねぐらにお持ち帰りして楽しむとするか! そして俺らは漏らす事なんて無いしなぁ~!」
お漏らし賊達の勝鬨を聞いて、ぎょっとした耳の長いおなごは、
「まだ未練たらしく漏らしてないアッピル続けてんの!?」
というツッコミをする前に、最悪の事態を想像して一気に血の気が引いていくのを感じ、思わず疑問を口にしてしまった。
「なっ!? あなた達の小水で出来た湖へわたくし達を連れさって、一体何をなさるというのですか!?」((((;゜Д゜))))ガクガクブルブル
その質問に、待ってましたと言わんばかりにお漏らし賊達が矢継ぎ早に答える。
「ドヘヘ! 決まってるじゃねぇかぁ! まずはその染みつきの下着をはぎ取って、洗わねぇまま保存した状態で街の変態に売りつけてやるぜぇ~!」
「なぁ!?」
「ブホホ! その後、膝程しかねぇ短い丈のメイド服を着せて、給仕の仕事をさせてこき使ってやるぜぇ~!」
「ニョオオ!?」
「ケヒヒ!勿論、耳の長ぇ方には語尾に「にゃ」を付けてでないと喋れねぇようにした上でだぜぇ~?」
「な、なんという恐ろしい事を考えるんですの!?」((((;゜Д゜))))ガクガクブルブル
「クココ! 当然そっちのキトゥンは語尾が「ワン」にしかならねえようにしてやるから安心しやがれぇ~!」
「ニョオオ!? と、とんでもにゃーやっこどもだニョ!?」(´;ω;`)ウゥゥ
「ベヒャヒャ! そうやって朝10時から夕方の17時まで、昼の一時間の休憩を挟んでぶっ通しで働かせた後は・・・・」
「う、うう・・・・あ、あとは・・・・?」
「プキキ! メイドの衣装のまま、胸の前で♡マークを指で作ったり、嫌な顔をしながらスカートをまくり上げてる姿を幻灯映写(この世界での写真の事だよ)してやるんだぜぇー!!」
「な、なんて神をも恐れぬ所業なんですの!?」
「パカカ! しかも幻灯の裏全部に一枚一枚、お前ぇらの直筆のサインを入れて売りだすんだぜぇ~? バカ売れ必定よ!」
「ニョオオ!? ニョオオオ!! 鬼系! 悪魔系! 不死族系!」
賊共が語る、想像以上の辱めを想像して、おなごらの顔は蒼白を通りこしてしゃこうべの様に白くなる。
そして生まれたての小鹿の様に震えながら、耳の長いおなごがツイートする。
「嗚呼・・・・何という事を・・・・そ、そして散々わたくし達を弄び、辱めた後は・・・・ゴ、ゴクリ・・・・、せ、性的に美味しく頂こうという腹積もりですわね! 都で売ってる、薄い書物の様に! 薄い書物の様に!」
「ニョオン、ニョオオーン・・・・!」メソメソ
自らの純潔を散らす様を想像し、泣き叫ぶおなごら。
しかし、これを聞いた賊達は、潮が引くかの様にサッと真顔になって答えた。
「えっ? そんな事しませんよ? 何を仰っているのですか?」ドンビキ
「なんてはしたない事を考える少女達なんだ・・・・信じられない」ヤレヤレ
「とんでもない発想だ! 最近の若い娘達は随分乱れた性をしているな!」エー
「まったくだ! 街の衛兵達はたるんでる! 一体何をしているんだ!」プンスコ
急に真面目になっておなごらを非難するお漏らし賊共。
これには耳の長いおなごも怯えが吹き飛び、口角泡を飛ばす勢いで怒号を放つ。
「んなっ!? 何ですのあなた達は!? ナンデわたくしの方が痴女みたいな事になってるんですの!? 納得いきませんわ! クッ! クッ! 殺せ! 殺せぇー!!(涙目」
「ニョリ! ニョベリ! ニョマソカリ!(涙目」ドッタンバッタン
「ケヒヒ! 何とでも喚きやがれぇ~。最早フェスティバルレイター、つまりは後のお祭りどったんばったん大騒ぎよぉ! ヨシ! 業務内容の説明も終わったし、ねぐらへお持ち帰りするかぁ! 皆の者、引き上げじゃあ!」
そろそろ言葉で嬲るのに飽きて来たお漏らし賊達は、アジトへおなごらをお持ち帰りする様だ。
観念しきれない耳の長いおなごが、無念の余り、居もしない誰かへ助けを求めた。
「嗚呼、なんという事ですの・・・・だ、誰かわたくし達を御救い下さい・・・・」
「ニョルプ! ニョルプミー!」
その命乞いを聞いたお漏らし賊は俄然テンションアゲアゲとなり、更に調子に乗っておなごらを嘲笑する。
「ケヒヒ! 無駄無駄ぁ! お前ぇらを守るlorやninやsamなんていやせん!」
『・・・・居るよ、ここに一人ね』
「ケヒ!? だ、誰だ!? 何処に居やがる!?」
突然の名乗りにビクッとなってチョロッと漏らした賊共が振り返ると、高い木の枝に、天高く上げた左手を右手でそえた格好の凛々しいおなごが立っていた。
・
・
・
あたし達は白わんこ・カレラの後に憑いて森の中を疾駆する。
腹いっぱい喰らってお腹パンパンのハズなのに、白わんこは中々の快足っぷりだ。
そして行きは暗くて殆ど分からんかった割りには、迷いなく突き進んどる。
あたしが不思議に思っていると、梔子がシュッとメッセージを送って来た。
『「どうやらあの白犬は、その見た目通りかなり鼻が利くようだな。それで辺りを漂う仲間の匂いを辿って進んでおるのだろうな」』(というメッセージだよ)
『(・・・・ふぅん、なるほど。それなら迷う事も無いだろうね。・・・・ツレの匂いもキツくなってるだろうし。さて、じゃああたしも目で確認してヨシ!するかな。梔子、エンハンスセンス・ハイパービジョン)』
『「心得た」』(勿論、メッセージだよ)
どうやらこの世界の人類は、種族ごとに特殊能力を持ってるみたいだね。
イヌは人の百万倍以上の臭覚を持ってる。
体臭の違いだって嗅ぎ分けられるだろう。
・・・・の割には、己の匂いには随分と無頓着だったな・・・
都合のいい鼻だね。
あたしは呆れたり感心したりしつつ、生体ナノマシンを使って視力を強化した。
これでアフリカの部族以上の視力でもって遠くを見通せるんだ。
ギュウウと視界がクリアになり、よりはっきりと物が見えるようになる。
勿論、視力の他にも、耳や鼻、味覚や肌の感覚を強化したりも出来る。
でも、どこまで強化できるかは個人差がすごく大きいんだ。
なんでだろう?
ちなみにあたしは、五感を平均的に4~5倍に出来る。
まぁこれは今の地球人類の中では普通の部類だね。
当然、上には上が居る。
旅団「熱き冒険者」の副団長、ユリエルの姉貴は聴覚を30倍に出来るんだ。
これって、コウモリより耳がいいって事だよ?
でもウカツに強化したら爆音で気絶するって言ってたわ。
何事も過ぎたるは猶及ばざるが如し、だね。
果たして、鷹の眼になったあたしの視覚に、ふん縛られて、ケツを天高く突き出す恰好で転がされよった耳の長いおなごの姿が映った。
・・・・悲鳴を聞いてから一分も経って無いケド、もうとっ捕まっとるね。
流石盗賊、随分と手馴れてる事で。
っていうかこのおなごらも弱ぇな。もうちょっと頑張りなよ。
もうこうなったら看過する訳にはいかない。
しょうがない、助けてやるとするか。
・・・・そうだ!(ピコン♪ 折角だから格好良く、一度言ってみたかったセリフでキメてやろう。
丁度、耳の長いおなごに向かって、賊が「無駄だぜぇ~」的な事言いよる所だ。
あたしはてきとーな木の枝に飛び乗り、空に向かって左手を掲げ、それに右手を添えるポーズをとり、ケヒケヒ笑ってる賊に向かってこう言ってやった。
『・・・・居るよ、ここに一人ね』
・
・
・
「ケヒ、ケヒヒ!? 何だ何だ、誰だお前ェは?」
『・・・・当ててみなよ、見事正解したら超豪華リゾート星の貸し切りバカンスにご招待してあげるよ?』
慌てて誰何する賊に、更に言ってみたかったセリフを言ってやる。
むふ、いい気分。このセリフ、まじカッコいい。
全身赤タイツの偉丈夫でなくてもキマる完成度ったら!
そうやってざわざわやっとる隙に、パストラが天高くケツ突き出すおなごらの縄を切って救出してた。
ナイスアシスト。いい仕事しよる。
安心したあたしは木から飛び降りて、ゆっくりと歩いて賊共を威圧してやる。
『・・・・さて、大人しく両手を股間に添えれ。・・・・さっさとしないと、守るべき小枝が斬り飛ばされてなくなっちゃうよ?』
そう言いつつ、あたしは貫き手を切るようにシャッと横に振る。
それを見て、キュッと内股になる賊共。
ついでに後ろに居たオイラーもキュッってなってた。
幾ら何でも、ビビり過ぎじゃね?
あとオイラー、何でアンタまでキュッってなってんの?
散々ビビり散らかした後、あたしの姿を改めて見てただのおなごだと思ったのか、ひと際体格の大きい、いかにも
「盗賊やっとります!」
っていう感じのオサーンがケヒケヒ言いながら襲い掛かって来た。
「ケヒヒ! お嬢ちゃん、随分と威勢がいいじゃねぇかぁ~。この俺様の虎殺しの槍をブチ折るだとぉ~? ふざけやがって! 逆にうぬをこのデーモンスピアで串刺しにしてくれるわ! ケヒャヒャヒャ! 氏ねぇ~い!!」ブォン
虎殺し?
デーモンスピア?
ふぅん、随分と自信アリ! なんだね。ほんとかな?
チンタラモサモサ獲物を振りかざしてこちらに向かってくるケヒ賊。
ふわぁ、あくびがでるわ。
さて、どうやって懲らしめようかなって考えたら、梔子からシュッとメッセージが届いた。
『「今この連中の体格から推測してみたところ、コヤツらの平均サイズは10㎝以下であるな。誇張、虚構もいいところであるわ」』(という文章だよ)
『(・・・ああ、そうなんだ・・・。お上に言う? しかし、わざわざ分析したの? 別にどうでもいい情報だケド、何がスピアよ、ただの爪楊枝じゃん)』
『「フッ、おのこにはどうしても逃れられぬ戦いがあるものよ」』(文章だよ)
『(・・・・三千世界に響き渡る程のどうでも良さだね・・・・)』
モッサリ動くケヒ賊の攻撃を待ちくたびれたあたしは、ようやっと袈裟切りに振り下ろされたケヒ賊の腕を掌で払い除けた。
そして攻撃を空振りし、たたらを踏むケヒ賊の背中をかるーく蹴り飛ばした。
ボゥン! と勢いよく仲間の賊がたむろってる所へ吹っ飛ばされるケヒ賊。
「クコ!? このおなご強えぇ!? 一瞬で頭を吹き飛ばしなすった!?」
「ドヘ!? なんてエロい下着なんだ!? スゲェ食い込みだったぞ!?」
「ブホ!? あと、何で剣使わねぇんだ? めっちゃ業物そーなのに!?」
クコ賊はようやっと己らが逃れられぬ立場であると理解したみたいだね。
あとドヘ賊、おめー何処見てんだよ。
っていうか目良いなアイツ!
あの一瞬であたしのパンツを判別しよるとは、中々侮れぬ。
ついでにブホ賊、剣なんて飾りだよ。
手下のザコ達がザワザワしよる間に、ケヒ賊がゆるりと立ち上がってきよった。
しかしその表情には、焦りどころか余裕すら窺える。
まぁ、あの蹴りは確かに《《痛くは無い》》から調子に乗ってんだろうね。
まぁ、どーせすぐ思い知る事になるよ。
せいぜいキリッと余裕かまして笑わせてね。
「ケ、ケヒ、ケヒヒ! 何だぁ? ちっとも痛くねぇぞぉ? ケヒ! ちったあやるようだが、何時まで持つかなぁ~? もう慢心しねぇぜ! 全力で参る! ケヒヒーン!」
『・・・・いや、もう慢心ギガマックス極まれりだよ。・・・・あんたはもう、痒まってるよ?』ニッコリ
「ケ、ケヒ? な、何を言って・・・(ピブー! ケ、ケヒィーーーーーー!! か、痒いぃいいいいいいいい!!!!!! 背中痒いいいい!!!」ドッタンバッタン
フッ、愚か者が。
神姫焔痒獄。
あたしの拳を受けたヤツは、のたうち回って己の過ちを後悔するのみなんだよ。
痒みで*ドスン**ドスン*転げまわるケヒ賊。
・・・・ノーザンライトフォームは生物に対して特に有効とされている。
何でかっていうと、拳を打ち込んだ相手の身体機能を狂わせて、内部からダメージを与えるのを得意としてるから。
触れるだけで倒せる、必殺の拳なんだ。
とーぜん、その特性を受け継いだあたしの宇宙女神戦技も、同じように突いたヤツの感覚を暴走させるのはお手の物。
この通り、超かいーくして完全に無力化できる。
こんなザコの皆さんなんて頃す必要なんてない。
後始末がめんどい。
汚くて環境にも優しくないし、無力化だけで十分だよ。
「手が届かねぇトコばっか痒いいいい!! 誰かかいてちょうだいい!!」
と叫びながらのたうち回るケヒ賊を見て怯える賊共。
さて、来るかな? やるなら今でしょ?
と、その時、オイラーが何を思ったのかギターを弾き始めよった。
・・・・むっ、この曲は。何で世紀末の何とか暗殺拳流すの?
まぁ、確かに今みたいな時に流れる曲だけどさぁw
この曲を耳にした途端、怯えていた賊共が、いそいそと頭をモヒカンスタイルにセットしなおし始めた。
スキンのヤツは、他のヤツがそり落とした髪を拾ってモヒカンヅラにして被りよる。
何だコイツら、ノリ良杉内じゃねwwww
オイラーの楽曲には、相手の思考を誘導する効果でもあるのかな?
後で検証する必要があるね。
まぁ、オイラーにしてはナイスアシストだ。
たまにはやるじゃんよ。後で誉めてやるかな。
【準備完了!!】したモヒ賊どもは、
「へっへっへ・・・・」
と言いながら武器をペロペロペロロンと嘗め回しつつ、あたしを囲み始めた。
その武器美味しいの?w
笑いを堪えていると、手前に居たモヒ賊がいきり立って襲い掛かってきた。
「ヒャッハー! やっちまぇえー-!!!! へぶっし!? 痒いい!!」ボゴッ!
「くたばりやがれぇ~~~~!! ぱぼっぶ!? 手が届かねぇ~!!」バキィッ!
「ぬっ頃してやるあ~!! だばりょお!? 掻いても効かねえ~!!」ドゴォッ!
あたしが迎え撃ったモヒ賊は痒みにのたうち回る。
残ったヤツも破れかぶれで襲い掛かりそーな勢いだ。
・・・・一匹づつ相手すんの邪魔くせーな・・・・アレやるか。
あたしはやおら天高く舞い上がると、勢いよくモヒ賊の集団を掠めるように、連中の間を平泳ぎする時みたいに腕で水をかき分けるように、一瞬で駆け抜けた!
初め、迎撃するのも忘れて飛び上がったあたしの姿に見とれてたモヒ賊達は、何が起こったのか分からずに
( ^ω^)・・・?キョトン
としていたが、一拍置いて全員地に倒れ伏し、藻掻き始めた。
「ほへ? 何が・・・・ぎょええ! 痒いいいいい!」
「ぐぎゃあ! 両足のいろんな筋がこむら返って痛えよぉ~~!」
「は、鼻の奥が溺れた時みてぇに痛くてむせる! ゲホゴホオホーン!」
「おほおお!? め、目が裏返るう! 痛てててぇ! 何も見えねぇ~!」
「うげああ~!! 手、手が勝手に反り返りやがるうう! あげげ!」
神姫無情痛断陣。
密集してる敵の間を一気に駆け抜けながら一瞬で相手を突き、集団をまとめて制圧するザコ殲滅用の技だよ。
見ての通り、ある者は痒み、ある者は痛み、ある者は感覚を絶たれ悶絶する。
悪党なんかに慈悲は無い。
だから無情って名前なんだ。
あ、有情は無いよ。
見苦しく転げまわってるモヒ賊達をミノムシみたいにふん縛る。
幸い、縄はコイツらが持ってたヤツがあったので十分事足りた。
「鴨葱」ならぬ「賊縄」だねこりゃ。
賊が縄もってやってきたってヤツ。
しかしこの準備と手際の良さ。
コイツらは案外力のある盗賊団なのかもしれぬ。
・・・・このまま放置しとくのは危険が危ないね。
拠点を壊滅させないと、問題を根絶できない。
・・・ヨシ! 尋問だ!
あたし達は、手分けしてモヒ賊達を元居た広場まで引きずって行き、強化バイオニックプラスチック製のパレットを用意してモヒ賊達を4回し3段積みで積み上げた。
MDFのバックパックにはこういう荷物用の道具も色々入ってたりする。
物流護衛する時、スペーストラック野郎の荷受けを手伝ったりするからね。
何でかって言うと、さっさと出発してもらわんと、後がつかえとるからだよ。
3人のおなごらの事情聴取はオイラーに任せて、あたしとパストラはせっせと荷造りする。
・・・・チッ、この荷物なんか尿くせぇな・・・・ナンデ?
詰み終わって検品してみると、パレット2枚半になった。
ふうん、30人位居たのか。
あたしはそこからリーダーっぽかったケヒ賊をピックし、目の前に立たせる。
『・・・・あんた達の拠点はどこにあるの?』
「ケ、ケヒヒ! そうさなぁ~、遠い遠い古の御伽の国にあるぜぇ~w」
『( ^ω^)・・・・(#^ω^)ピキピキ』
この期に及んで抵抗するとは、随分と往生際の悪いやっこだ。
宇宙のおバカさん達もそうだけど、何でこいつ等みたいな小悪党は、
「自分だけは絶対大丈夫!平気平気!」
って思ってるんだろう?
その、今になっては何の意味もない薄っぺらな自信をブチ壊してやるとするか。
これはもう、初めっから拷問だからね。
あたしはおバカさん達には優しくないんだ。
あたしはケヒ賊の頭頂部を手で押さえ、軽ーくビンタした。
パァンwと軽快な音と共に、激しく
「ギュウウーーーーン!」
と回転するコマ賊。
やがて回転が収まると、ケヒ賊は鼻血を垂らしながら、顔をくの字に曲げてひょっとこみたいになってた。
尚も拷問を続けるあたし。
『・・・・もう一回聞くよ? 拠点はどこ?』
「ケヘ、ケヒヒィ・・・・ぶぷぷ・・・・い、痛ぇよぉ・・・・ゆ、ゆるひ」
ちゃんと答えれ。もっかい。(パァンw
「ケブ・・・た、たひゅ」(パァンw
「ケヒイ! やめ」(パァンw
「ケヒ」(パァンw
「ケ」(パァンw
「・・・」(パァンw
暫くこのやり取りを続けてると、いつの間にかケヒ賊は膝んトコまで埋まって、立ったまま気絶しとった。
チッ、だらなしないやっこだ。
じゃあ、他のモヒ賊に聞くか。
あたしはパレットの山からてきとーなヤツを引っ張りだすことにした。
『・・・・ちょっと、そこのお前。拠点まで案内しなさい。・・・・こんな風に森と一体化したかったら、そーしてあげるけど?』
「フヒャ!? あ、あっしでやんすか!? も、勿論案内さしてもらいやすぜ!?」
さて、この場はオイラー達に任せて、このそこのお前(モブーザ 二遊外2DDCCDC 中抑 144km/h コントロールB スタミナD スライダー3 スローカーブ4 フォーク3 内外守れてリリーフもこなす、地味ながらも要所で堅実に活躍するユーティリティプレイヤー)に案内させて、拠点を制圧しに行くことにした。
拠点はあたし達が元居た広場から北西にちょっと歩いた所にあった。
位置的にはおなごらの居た所を結べば丁度正三角形になるね。
そこは岩山みたいなとこに開いた洞窟みたいな感じだった。
ん?
脇に馬車みたいなのが5台程おいてあるね?
こいつ等のかな? まあいいや。
あたしとそこのお前(モブーザ 二遊外2DDCCDC 中抑 144km/h コントロールB スタミナD スライダー3 スローカーブ4 フォーク3 内外守れてリリーフもこなす、地味ながらも要所で堅実に活躍するユーティリティプレイヤー)が近づくと、入口の脇に居った見張りが慌てて中へと逃走していくのが見えた。
中に逃げてどーすんだよw
案内させたそこのお前(モブーザ 能力略)を見ると、意外と大人しく、寧ろ逃げた連中を憐れむような、達観した表情をしてやがった。
てっきり、仲間を見て出来もせん抵抗をまたするかと思ってたケド。
賊にしては、冷静に彼我の戦力差を分析できてるじゃん。
賊なんかせんと、真面目に働けよ。
そう思いながら洞窟の前まで来ると、奥に逃げてった賊共が、各々が縛られたおなごを連れ、その首筋にナイフを当てながら出てきよった。
他にも捕まった人が居たんだね。
やっぱこいつ等、盗賊としてはそれなりらしい。
・・・・ん? おなごだけかと思ってたら、一人だけおにーちゃんが居る。
なんか小綺麗な身なりだから、商人か何かだろーか?
中々のイケメンだ。
しかし、人質のつもりなんだろーケド、意味ないよ?
だってあたし、その人たち知らんもん。
初対面だよ?
横に立つそこのお前(モブーザ 略)も悟りきった顔しとる。
そんで、口々に
「取り返しにきよった」
「こいつ等を頃すぞ」
「アキラメロン」
とか言いよった。
そこのお前は、全く迷いのない清らかな表情をしてた。
何の事かさっぱり分からんからそこのお前に聞いてみると、3日程前に街道をそれた商人の一団を襲ってて、これからどうしようか考えてたんだと。
んで、こいつ等はあたしが彼らの救出に来た冒険者か何かだと思ってるんじゃないですか? と答えた。
ん-、中々冷静な分析だ。
あんた賊なんて絶対やめた方がいいよ。
まぁ、ついでだからこの人たちも救出するか。
人質を盾に立てこもる賊の対処はライダーの十八番だ。
・・・・こんな奴らなんて、触れなくてもやっつけられるんだよ。
ただ、わが師ならスマートに、賊にだけ気当たりをぶつけて昏倒さす事が出来るんだケド、あたしはまだ未熟だから、気当たりしちゃうと人質にまでぶつけちゃう。
そうすると、その場に居る全員が汗と涙と鼻水と尿の海に沈む事になって、後始末がものスゲー大変になっちゃう。
という事で別の手を使おう。
あたしはやおら足元にあった、こぶし大の石ころを拾うと、
「グシャッ!」
と握り潰して粉々の礫にした。
そんでもって、それを賊の額目掛けて指弾の要領でピッピッ! と弾いてやると、喰らった賊だけ膝から崩れ落ちた。
ふん、他愛もない。そこのお前も納得顔だ。
人質にされた人たちも解き放ってあげる。皆口々にお礼を言う。
まぁ、その辺の話は、今は簡単に済ませといて。
この人たちの相手はまとめてオイラーにやらせよう。
礫を喰らって昏倒したヤツらは、人質だったおなごらがミノムシにしてくれた。
中々手馴れてるなぁ。
聞けば、彼女らも冒険者で、「山猫と森林蝶」という名前の徒党らしい。
そしてこの身なりの良いおにーちゃんが、ミオウ=アドキンという名前の豪商で、彼女らはこの人のキャラバンの護衛をしてたようだ。
他にも、「嚙み付きピラニア」っていう名前の徒党が居たらしいケド、そいつらは別の所に連れ去られたそーだ。
困ったときのそこのお前という事で聞いてみると、ミオウさんは割と有名で、今回の襲撃は付近の賊が合同で計画してやった、との事。
なるほど、多勢に無勢って訳ね。
しかし、そーなると「嚙み付きピラニア」の人たちも探さんといかんね。
んー、まぁ、後で考えよう。
・・・・ハッ、そういえば、こいつ等奥にひと財産隠し持ってんじゃね?
いやでも待てよ、流石にカツアゲみたいな真似はどうなんだろうか?
馬車とかも多分ミオウさんのだよね? 奥の金品はどうしよう?
とあたしが聞くと、ミオウさんは、
「こういう時は討伐した人に全ての戦利品の所有権がありますよ」
と言った。
なるほど、クラッシクノベルでよくある設定だ。
ヨシ!
これでクレジットの問題も解決じゃあ!
やったぜ。
さて、残党の掃討を兼ねて、現場検証と洒落込みますか。
あたしは洞窟の中に入ってみることにした。
洞窟内はしゃれこうべが転がってる訳でも、動かないサソリが襲い掛かってくる訳でもなく、至って静かだった。
どうやら、賊は表のミノムシで最後だったようだね。
中はそんなに広くなく、中央に大き目のスペースがあり、そこから放射線状に通路が伸びて、小さめのスぺ―スに繋がってる、っていう感じの構造だった。
あと、思ったより整理整頓されててキレイだった。
・・・・あたしのキャビンよかキレイなのは内緒だ。
ただ、妙にアンモニア臭いのが気になるね?ナンデ?
そこのお前のナビで、こいつ等の戦利品を集めた部屋に行くと、同じく棚にキチッと物品がカテゴリー別に収められてて、中々分かりやすかった。
・・・・いやほんと、何でこいつ等盗賊やってんの?
倉庫業やれよw
あと、ラックとは別にチェストがおいてあったので開けると、袋に詰められたコインがそこそこの数入っていた。
一先ずはコイツを箱ごしもらってくか。
ラックの製品(?)はどーすんべと眺めてると、一緒に入ってきてたミオウさんが
「ウチに持ってきてくれたら査定しますよ」
って言ってくれたんで、表の馬車を三台程借りて、全部回収する事にした。
その時、
「馬は良いの?」
って聞かれたケド、要らないって言った。
だって、この程度なら手で曳けるからね。
だんぢりみたいに。
その後、他を回ってみたケド、もう誰も居なかったので、一旦戻る事にした。
救出した人たちと元の広場に戻ったあたしは、彼らをオイラーに預けると、洞窟にとってかえして、馬車の荷台に戦利品を積み込み、荷台を引いて元居た広場に戻ってきた。
その時、ミオウさん達が滅茶吃驚してた。ナンデ?
彼らの事情は後でまとめてオイラーから報告を受けよう。
ミオウさん達は、残った馬車を使って、一足先に城塞都市に帰るようだ。
白わんことそのツレの天高くケツ突き出してたおなごらも一緒に連れてってくれるみたい。
どーしようか考えてたから丁度いいわ。
ミオウさんに押し付け・・・・任せよう。
ついでに、ごほーびとしてそこのお前は自首させてやる事にし、ミオウさんについていく事を許してやった。
このやっこは初犯らしかったので、多少は減免されるだろうとの事だ。
何でも、山奥の田舎から出て来たはいいケド、仕事が見つからなくて自棄になってるトコにケヒ賊がスカウトしたらしい。
アイツ、見る目あんな。
まぁ懲役は免れないだろうケド、その後はそこのお前次第だ。
是非とも心を入れ替えて真面目に働く様になってもらいたい。
地頭は悪くないしね。
・・・・スペースローグになってしまったうっかりさんも、更生した後に一角の人物になった人だっているんだよね。
でも、その時に捨てたNAVI=OSは絶対に帰ってこないんだ。
これって、自分の半身を捨てたのと同じ事なんだ。
「自分殺し」の罪を一生背負っていく事になる。
それでも尚、前に進む人には、もう一度ナヴィオセラフィムが生まれるかも?
という話をわが師から聞いた。
何でそんな猛烈なハンデを率先して負う様な真似をするんだろうか?
それには、わが師が
「スペースローグになる様なやっこは、例外なく人間が下手くそだからな。攻略法を誰かが教えてやらねばならん」
って言ってたよ。
そこのお前も、多分そーなんだろうね、下手くそなんだよ。生き方が。
まぁヤツは宇宙のおバカさんじゃないだけまだましだ。
だって、自分殺しじゃないもん。
なら、ハンデなしだ。
攻略法を見つけ出せばそれでいい。
ヤツなら出来るだろう。
と、そこのお前の事を考えてたら、益体も無い事を連想しちゃった。
らしくない。
パレットに残ったモヒ賊を荷崩れしないようにバイオニック荷造り用ラップを使って固定する作業してたんだけど、何でかこういう作業って変な事考えちゃうんだよ。
「おーい、姉ちゃん! 巻き杉内ですよ、巻き杉内!」
「(* ´艸`)クスクス」
おっと、ちょっと巻きすぎた?
考えながらも体は勝手に動いてたらしい。
物流業界の人間じゃないのに何でながら作業出来る位に手馴れてるんだよw
この事実だけでも、ライダーのお仕事が如何に幅広く闇深いかが窺えるねw
ん?
モヒ賊がストッキング被ったみたいな顔になってるよw
うはは、変なのwwww
はー、まぁいいや。
コイツらは馬車に格納してと。
ヨシ!
これでこの場は片付いたね。
一息ついてると、
「姉ちゃん、俺らも街に行くんか?」
とオイラーがウズウズしながら聞いてくる。
コイツ、どんだけ楽しみにしてんだよwwww
まだやる事はある。
今思ったんだケド、正直この惑星、治安悪すぎじゃね?
この周辺だけでも何とかしないと、今後の作戦に支障をきたす事は間違いない。
そう思ったあたしは、わが師に相談すべく通信回線を開くと、わが師のNAVI=OS、光無比女命が対応してくれた。
わが師は手が離せないようだ。
この人は目隠しをしてる、エロい恰好をした巫女さんみたいなアバターだ。
梔子と違って、ちゃんと会話できる。
まぁそれが普通だね。ウチのが変なだけだ。
ともあれ、ヒナシの姉貴に盗賊の一件と、治安の問題を相談すると、
「「だったら、いっその事追加ミッションを発令して、堂々と殲滅すればいいじゃないの?」」
という「その手があったか!」な、目から鱗な助言を賜った。
早速、梔子を通じてお上に報告すると、秒でミッションが発令された。
こうしてお上の指令という、天下御免の免罪符を得たあたし達は、一切の自重なくドローンや宇宙電探を駆使して城塞都市周辺の盗賊拠点を発見、殲滅し、追加ミッションを見事達成した。
ヤッター!
(勿論、制圧した後の拠点は衛星軌道上の摂津から砲撃してブチ壊した)
結果、ミオウさんに借りた馬車は戦利品でパンパンになり、パレットに積みつけた賊は20枚にものぼった。
240人近くいたのかよ!
そりゃ治安も悪くなるわ。
あたし達はギッチリお宝が詰まった荷車を曳いて、意気揚々と目的地に向かった。
おっぱいの大きさはメイン>パストラなんじゃあ~




