1 その後のアヴァロニア王国、その後の二人 1
ジャガイモのおかげで、冬の食糧不足を乗り切った私たちは、無事、次の春を迎えることができた。
昼下がり。
学校帰りの子どもたちの、にぎやかな声が辺りにこだまする。
この一年で、国内には随分と多くの学校を建設することができた。
学校には、子どもたちだけではなく、大人たちも通って、読み書きや算盤を習っている。
もう間もなく、大学も開校できるだろう。
王宮内では、恥ずかしながら私も、前世の知識をもとに、官吏や侍女たちを対象にした講演を行うことがある。
おおむね好評だが、もちろん中には、まだ私の存在を快く思わない重臣もいるようだ。
認めてもらえるまで、地道に、国のための努力を続けていくしかないだろう。
聖カトミアル王国から、多くの医師や薬師たちが移住してきたおかげで、ここ最近、医療も随分と充実した。
訪問診療を行ってくれる医師が増えたおかげで、在宅療養をしていた人たちの健康状態が、かなり改善された。
これまで病人や高齢者の介護や家事に一日の大半を割くしかなかった女性たちが、少しずつ外へ出ることができるようになったことは、国に大きな変化をもたらしている。
王宮内の兵や官吏の中にも、女性の姿を多く見かけるようになった。
医師たちの送迎を手伝ってくれているのは、おもにこれまで職にあぶれ、路上で暮らすしかなかった者たちだ。
女性たちが学校や仕事に出ている間、家から出ることが難しい足腰の弱った高齢者を対象に、サンドイッチやハンバーガーのデリバリー事業も始めた。
このデリバリーを担う者たちも、路上で暮らしていた者たちである。
転移魔法のシステムを利用した通信販売も、スタートさせた。
と、同時に国内の道路の整備を行ったので、建設の分野でも随分と雇用が促進できたと思う。
そして、物流も少しずつ盛んになり始めている。
商会のシステムも刷新したので、今後は、新たに起業する者たちも現れることだろう。
これからは、海外との貿易で、国を豊かにすることを考えていかねばならない。
アヴァロニア王国独自の便利グッズの輸出についても準備は着々と進めている。
アヴァロニア王国独自……と言っても、前世の知識を流用しただけではあるのだが。
そして、私自身も新たな勉強を始めた。
ヴィネ様から、魔術を教えてもらっているのだ。
MPはようやく8まで増やすことができた。
午後の公務の空き時間を使って、私はヴィネ様の私室を訪れる。
「陛下!」
「おお、来たか。エレイン」
「はい」
「今日は課外授業にするとしよう」
「課外授業ですか?」
「まだそなたの魔力は弱いゆえ、それを補強するため聖霊への供物を探しに、森へと出掛けることにしよう」
「それは、要するに……お散歩ですね?」
「まあ、そうとも言う。そなたも働きづめではないか。少しは、気分転換する時間も必要だろう。さあ、行くぞ」
ヴィネ様の両腕が、背後から私をそっと包み込む。
「……!?」
息をつく間もなく、私たちは、森の奥深くへと転移していた。
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あと1話で第一部終了の予定です。





