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冒険はここから始まる

 女主人公の?は今後の展開次第では消えるかもしれないし、そのまま残るかもしれません。

 「う、うわああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」


 ここはSランク魔宮(ダンジョン)週末恒久。凶悪な魔物が跋扈するこの場にふさわしくない、まだ年若い少年の声が響く。


 「グルワアアアアァァァァァァァァ」


 その後ろを追いかける白銀の狼のような魔物の群れその数およそ100。

 (なんで・・・こんなことに!)

 世界に震撼をもたらした《ライセンの亀裂》事件から早1ヶ月。周辺国は調査の結果、これは《次元の亀裂》という数十年に一度様々な場所でランダムに発生することのある突発的大災害だと報じた。

 次元の亀裂とは、ある日何もない空間から突然罅が入り周囲を浸蝕しながら拡大していき、中からは様々な《魔物》が出現する。

 世界には魔素と呼ばれる世の理に干渉し、様々な事象をおこすことのできる力の元となるものだ。人間(亜人)などの魔素と調和を図りながら進化に成功した者たちはこれを体内で《魔力》という力に変換し、扱うことができる。

 逆に、魔物とは魔素に侵され真っ当な進化の道を歩めず変異してしまったものを指す。これらは総じて人間より知能が劣ると言われているが、中には簡単な魔法を使うものや、特殊な能力を持つことがある。

 だが、その中にも魔素に順応し進化したものもいる。人間に対して敵対していることから差別する意味で魔人と呼ばれる者たちだ。

 彼らは独自の国家のような組織を築いていることもあるほどに知能が高く、人間以上の知恵を持つ者もいる。

 そしてこれら魔物や魔人の王にあたるものを人々は恐怖と軽蔑をもって《魔王種》と呼ぶ。ドラゴンなどの一部例外はあるが、基本的にSランクの領域に立つものはこの魔王種のみである。

 これらをふまえて冒頭に戻ろう。現在、丁度魔物が入ってこれず、週末恒久に生える強固な大樹の小さな穴の中でどうにかやり過ごしている少年・・・カイトだが、いくらSランク魔宮(ダンジョン)の中でも最も頑丈なシロクの木とはいえ、同じSランクの魔人フェンリルにかかれば時間稼ぎにしかならないだろう。現に今も少しずつ、獲物を舐る様に木をその大きな牙で削って言っている。


 「ああ、ぼくの人生、短かったなぁ」


 思えばまだ19歳。やりたいこともたくさんあったのに・・・。まさか道端で貴族の家宝盗んだ罪で捕まるなんて。本当に盗んだのは隣にいたあの男なのに。いくら違うって言っても誰も信じてくれないし、まさか「そんなにいうなら終末恒久で財宝の一つでももってこい。」なんていわれるとは・・・。っていうか、そんなに大事なものなら持ち歩かず金庫にでもしまっとけよ!と半ば諦めかけているカイトはある違和感を覚える。

 (ん?何か寝息が聞こえる気がするな。・・・イヤイヤ、それはおかしいだろ。とうとう僕の頭が恐怖でおかしくなったのか)

 と諦めにも似た境地で物思いにふけっていると。


 「ここか?」


 そうやってあたりを見回していたとき、狭いこの空間だから大樹の葉が山のようになっている場所をすぐに見つけることができた。


 「誰かいるのか?」


 こんな場所に人がいるはずがない。僕のような人ならともかく・・・。そう思いながらも自嘲気味に問いかけるカイトはそれは思い違いだと知ることになる。


 「んっ、ぁああ」


 この場所に不釣り合いなほど美しい14,15歳ほどの少女のような声。こんな状況ながら聞き惚れてしまったことにハッとしながらどういうことかと問いかける。


 「な、なん、なんなんだ!?君は!」


 相手に名乗ってもらうにはまずは自分から名乗るのが礼儀ですよ。と厳しく教えられてきたことも完全に忘れてしまうほど、テンパるカイトに少女は名乗る。


 「私・・・私は・・・そう、シェリン。シェリン・リーフィス」


 段々と蘇る記憶を確かめるかのように話すシェリン。

 「私の、配下になりませんか。」



**********



 私は気づけばここにいた。なぜ、ここにいるのかも、自分が何者なのかもわからない。ただ、名前とおおよその一般常識があるだけ。

 幸い、私を起こしてくれた彼の話していたのはこのウェールズ大陸で一般的に使われるウェールズ語だったので、会話をすることができた。

 彼はとてもひ弱で今にも私の索敵に引っかかっている狼型の魔物にかみ殺されそうな顔をしている。

 だけど、そんな彼に私は一瞬、世界の中心に立つあの人物の姿が見えた気がした。・・・きっと、途轍もない、おおきな運命の渦に彼は導かれている。そう感じた私の行動は早かった。


 「私の、配下になりませんか?」


 案の定戸惑う彼にー聞けばカイトというらしいー私は一つの提案をしてみる。


 「配下って。そんなこと言ってる場合じゃないだろ。もっと真剣に生き残る方法をk「なら」

 「なら、私が外の魔物を一蹴してきます。あなたが安心して私の背中についてきてくれるように。」


 その言葉に噴き出すカイトを背に、フェンリルが待ち構える木の外へと歩き出す。


 「まて、行くな!行けば確実に・・・!」


 咄嗟にシェリンの背中を追いかけるカイト。瞬間。


 ブワッ


 その時、静寂が訪れる。

 余裕の表情で唸っていたフェンリルたちは最大の警戒音を発し。森に生きる者たちは、まるで新たなる宿敵を発見したかのように殺意に満ちる。

 絶望の空間のなかで、ただ一人美しい輝きを放つシェリン。近くにいた幼少から魔法を学んできたカイトですら、それがシェリンの放つ魔力だと気づくのには時間がかかった。角度によって様々な輝きをはなつ膨大な量の魔力に周囲は気おされていたのだ。

 「空は蒼く。揺蕩う風に導かれ。その力は純粋なる流れを生み出す真空の刃。」

 久しぶりの魔法を使う感覚。心地よささえ感じるそれにシェリンは身を任せ、言の葉に乗せた魔力に輝きを与える。


 「正常なる天刃(セイン)


 瞬間、咄嗟の判断で配下の狼型魔物を肉壁とし、自らにありったけの魔力で隔壁(シールド)を張る伝説の魔狼フェンリル。

 カイトも咄嗟に顔を守ろうと腕を交差させる中、その光景が目に入る。

 わずかな歪みもない、完璧なまでの真空の刃がフェンリルたちを蹂躙していくその姿が。その中で優美にたたずみそれを見つめるシェリンの姿が。

 (ああ、物語に出てくる英雄の仲間ってすぐ主人公についていってバカだと思っていたけど、納得だね。)

 物言わぬ百匹の魔狼の骸。先程とは違い、畏怖と恐怖で静まり返るSランク魔宮(ダンジョン)終末恒久。


 「僕を、あなたの、シェリンの配下にしてください。」


 シェリンはそれにゆっくりと頷く。もとよりカイトを自分の配下にするつもりであったのだから、当然だ。


 「では、これからどうしますか?」

 シェリンとしてはこの近くに町があったかなど覚えていないので、カイトに聞いてみることにする。

 「えっと、ここから東に15km程行ったところに王都があります。私も少し用がありますし、そこでどうですか?」


 こうして、後にシェリンたちはグランドルディナ王国の王都グランドルへ行くことになった。



**********



 「さあ、行きますよ!」

 「えっ、ちょっ、風で飛んでいくなんて聞いてないいいいぃぃぃぃ!?」


 コメントや感想などドシドシ送ってください。ダメなトコロもドンドン書いてください。作者は泣いて喜びますw

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