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誰しもが  作者: たこみ
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第六話 好対照

 「最近はあんただけじゃなく、俊介まで親に歯向かってくるようになったわよ」


 居間のテレビにかじりついて、女子アナの下着の線が透けているとはしゃいでいる弟を眺めながら母がこぼした。

 私は母が煮物に使う予定のさやえんどうのひげ取りを手伝っている。


「まあ、いいんじゃないの。俊介はバカだけど性格は明るいし、あれでいて人脈がありそうだし」


 俊介の周りにはどういうわけか小さい頃から人が集まってくるので老若男女を問わず、友人や知人がいっぱいだ。


 親に口答えをすることはあるが、家庭内暴力をふるったり、非行に走るタイプではないだろう。



「あの子ってちゃんと高校に入れるのかしら。一芸入試するんだとか言ってるのよ。特に何ができるってわけでもないのに」


 さすが私の弟と思いながら、私だって高校を卒業できたのだからあまり期待しないで見守ってやればと言った。


母は急須に残っているお茶を私に入れてよこすと、大浦さんのところの崇くんみたいに何でもそつなくこなせるといいんだけどねえとこぼす。


「崇と比べたら俊介が可哀相よ」


「そうだけど、あの子は小学生の頃から勉強がよく出来たじゃない?進路はどうするんだろうね。この町の出世頭になりそうだね」


 うちの母と崇の母親も父たちほどではないが、あまり仲がいいとは言えない。


 だが母も崇の出来の良さを否定したことはない。


「崇くんは俊介みたいに成人映画を観たりしてないんだろうね」


 崇のことをまるでどこかの王子様のように語る母に私は苦笑いし、いいや崇だって絶対見ているよと言ってやりたかった。


 うちの弟のように友達と嫌いな先生にイタズラをして喜んだりはしないだろうが、たばこの件といい、崇はけっこう俊介より陰で悪いことをしていると思う。


 俊介と違って世渡りが上手いので大人には気が付かれないだけだ。



「中学に入ってから俊介と言葉を交わしてるのを見たことがないねえ」


 ではそれ以前は俊介と崇が少しでも話をすることがあったのかと母に訊くと、小さい頃は仲がよかったじゃないと言った。


「ただ、お父さんたちの件があるからお互いの家では遊んだことがなかったけどね」



 へえ、と思った。


 表情豊かな弟と、いつも無表情な崇がむかし一緒に遊んでいたなどと想像することができなかった。



イタズラ、楽しいですよね♪

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