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誰しもが  作者: たこみ
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第五話 Whatever happens

 価値観の違う人と付き合ったことがあるかと、守から問いかけられた。


 彼からそのような恋愛の質問をされたのは初めてのことだった。


「むしろ同じ人となんて付き合ったことないね。そんな人、この世に存在するのか疑問に思うもん」


「そうだよね・・・」



 好奇心を掻き立てられた私はそわそわして、どうした?彼女と何か問題でもあるの?と訊いた。


「彼女、会える時間が決まってるんだ」


「ほーう。門限があったりするわけ?」



 コンビニの店員に『温めますか』と問われた守は、はい、お願いしますとペコペコ頭を下げた。


「門限なのかなぁ。六時以降は絶対会えない」


「ろ、六時!?何それ。夜の仕事でもしてるんじゃない?」



 すると守が弁当を受け取りながら苦笑して華ちゃんじゃないんだからと言ってくるので、コイツも言うようになったなと感心した。


「そうだよなー。彼女はそんな人には見えないよね。普段はウエッジウッドのカップで紅茶とか飲んでそうだもん。だったら夜は何をしてるのか訊いてみればいいんじゃないの?」


「訊いたけど、そういうことを訊かれるのはすごくイヤそうなんだ。あんまりしつこく問いただすと少しの間行方をくらましちゃうし、実家に電話してみても何て言うか・・・、家族ぐるみで娘の行方を隠してる感じがするんだよね」


 怪しい女に捕まったなと思った私は、勢いで彼女のことを非難しようと思ったが、ひがんでいるみたいなのでやめておいた。



「最後に会ったのはいつなの?」


 コンビニを出て少し歩いていると、対向車線からハイビームの車が来たので私は目が眩んで体をひるませた。



 守と私が一緒にいるところを見ると彼の父親は大抵嫌がらせをしてくる。


 交差点に向って高速で走り去った父親の車を振り返った守は、ごめんね、父さんの悪い癖なんだとため息をついた。



「うちの父親も変わった人間だけど、あんたの父親も相当病んでるわ。よくグレなかったわね。あんたも、崇も」


「うん・・・。で、何話してたっけ?」



 なぜかぎこちない返事をした守はすぐに話題を変えた。


「だから、最近はいつ彼女に会ったわけ?」


 偉そうに話す私に守はあ、そうかごめん、ごめんと頭を掻いた。


「先週の平日にお昼ご飯を食べに行ったんだけど、彼女疲れていたのか居眠りを始めちゃって・・・。ふつう恋人と会ってるときにいくら寝不足でも寝たりするかな?僕の話が退屈だったんだろうか」


 寝食いですか!?と叫んだ私は、確かにあんたの話は退屈だが、彼女は礼儀をわきまえていないと怒った。



「できるだけ早く別れなさい!」


 そんな強制的に言われてもと渋る守に、頭を冷やせとカツを入れた。


 そして彼女の話題が出たついでに、今まで気になっていたことを質問してみた。


「ところで・・・、彼女とはその・・・、やることはやったわけ?」


 あ、と言うと守は顔を赤らめながら順序が狂っちゃったけどと言った。


「寝てから付き合い始めたの!?」



 黙って頷く守に、コイツ意外と手が早いなと驚かされた。


気を付けるべし~

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