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記憶喪失剣士と金髪JK  作者: 不二ノゾミ
第一章
6/6

覚醒


少女の悲しい顔を見た瞬間、アレンの目に激痛が走る。


『ぐっ......うぅ!』


『どうしたの! ねえ! 』


少女は不安そうにアレンを呼びかける。


『おい、さっさといくぞ』


オズは不機嫌そうに怒鳴り少女を拘束している結界をきつく閉めた。


少女は心配そうにアレンを見つめながらオズに連れられていく。


『うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!』


アレンは大きな声で叫びながら大剣を持つ方の手を振り下ろし片腕を切り落とした。


勢いよく噴出する大量の血はあたりの地面にこぼれ落ちて止まる気配を見せない。


痛みをこらえながら大剣の剣首についた赤い布飾りを切って腕に強く巻き止血する。



『アレン!』


少女は振り返り駆け寄る。


痛みを振り切った様子をみせるアレンは少女を自らの背後に庇うように誘導していく。


『こりゃあ、たまげたよ! まさか自分の腕切り落としちゃうなんてね!』


オズは新しい結界を作り出そうと手を合わせる。


『片腕くらいくれてやる!』


そう叫ぶとアレンの大剣は真っ赤に燃え上がる、そしてアレンの瞳が紅に染まり輝きを魅せる。


『てめえ、魔術師か!』


『ここで終わりだオズ・ストランド!!』


アレンはそのまま剣を振り下ろした、炎は物凄いスピードで木々を燃やし一直線にオズを飲み込んでいく。


追い討ちをかけるように剣はさらに巨大な爆炎をあげていく。


炎がおさまった頃には彼女の姿はなかった。


『帰るぞ、くそガキ』


駆け寄る少女にそう言い残したアレンは紅い瞳を閉じてその場で気絶する。




ーー翌日の朝


アレンは自宅で目を覚ました。


身体中の痛みと熱で悲鳴をあげている、自分でも昨日のことがあまり思い出せない。


『やっと起きた?雑炊できたから食え』


アレンに皿を差し出す少女は機嫌良さそうに悪戯な笑みを浮かべる。


アレンは金髪を2つ結びにし大きな瞳で愛嬌のある女の子に少しみとれていた。


『もしかして誘拐?』


と笑い飛ばしながら起き上がりアレンは雑炊に手をつける。


『いーえ、違います!私の名前は一ノ瀬ゆき! 』


ゆきは手を優しく差し伸べる。


『アレン・ローン! アレンでいいよ』


しっかりとゆきの手を握りしめたアレンはそのまま立ち上がる。


そしてお互いに腹の底から笑いあった。


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