第六話「クネッと、匍匐前進?」
クネ、クネ、クネ……。
移動し続けること、二時間くらいだろうか。
視界の彼方にある、俺に大地に根ざすことを教えてくれた雑草さん。
彼を目指して俺はひたすらクネクネと移動し続けていた。
ちなみに、この洞窟は薄暗いが光は僅かながら存在する。
その理由は、壁に生えている苔のようなものが仄かに発光しているからだ。
その摩訶不思議な植物が気になり、壁を登ろうとしたが筋力が足りず、落ちてしまったということがあったりなかったり。
あと少しで、雑草さんに辿り着けそうだ。
【スキル:匍匐前進 LV.1を獲得しました】
おほお!
これまた単調な動きに飽きてきた頃に、やってくれましたなシステム様。
我輩、あなたの事をお慕い申し上げております。
それでは、いつもの様に拝見させていただきマッスル。
ステータス!
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種族:アンノウン・ブラックヘアー
称号:【愚者】【天性の勝負師】
LV.1
HP:1.53/1.99
MP:0/0
筋力:0.81
耐久:1.09
敏捷:0.69
魔力:0
スキル
【死力】【根性】【天運】【吸収 LV.3】【勤勉 LV.4】【マゾヒズム LV.2】【匍匐前進 LV.1】
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おほっう!
いつの間にかHPが二年生になろうとしている!
移動するだけで、かなりの負担を体にかけているしトレーニング効果もバッチリだったらしい。
うむ、お次は今獲得したスキルの確認といこうかの。
スキルである【匍匐前進 LV.1】、お主に説明を求めるわい。
おふざけ半分だったが、システム様はちゃんとご期待に答えてくれた。
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【スキル:匍匐前進 LV.1】(パッシブスキル)
匍匐前進による移動速度が早くなる。
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むう。
そうですか。
少し手を抜き過ぎではないですかな?システム様?
でも、これを匍匐前進と言っていいのかどうかは分からないですが、
今のところこの移動手段しか持たない、我輩は嬉しく思いますぞ?
クネクネと移動を再開してみると、確かに早くなっている。
これでもまだ「俺に足りないものは、それは!!」などと絶叫したくなるくらいのスピードではあるけども。
そんなことを考えながらも移動し続けた結果、ついに私は、雑草の元へと辿り着いたのだった。
道端の雑草のところへ移動するだけなのに、長距離マラソンでもしたような疲労感でござるよ……。
ふーうむ、そびえ立つ雑草を見上げるが大したものだ。
母なる大地に俺などは、到底及ばないほどに強く根付き、養分を補給しているのだろう。
でも光合成はどうしているのだろうか。
謎でいっぱいだ。
試しに毛根を、雑草の茎に付着させてみる。
【スキル:寄生 LV.1を獲得しました】
あらっ!
まさか本日二回目のスキル獲得をできるとは思いませんでしたわ。
ふふっ、どんなスキルなのでしょう?
それでは、ステータス、オープン!
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種族:ウルシウィード(アンノウン・ブラックヘアー)
称号:雑草(【愚者】【天性の勝負師】)
LV.1(1)
HP:9/9(1.37/2.01)
MP:3/3(0/0)
筋力:0(0.82)
耐久:5(1.09)
敏捷:0(0.73)
魔力:1(0)
スキル
【光合成 LV.3】【ウルシオール】(【死力】【根性】【天運】【吸収 LV.3】【勤勉 LV.4】【マゾヒズム LV.2】【匍匐前進 LV.1】【寄生 LV.1】)
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なんじゃ、こりゃ?