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第四十八話「対スライム戦」

 

 ふぅ……、ゴブリンたちを全て倒したことを確認して私は一息ついた。

 一応、何とかなったかな。

 思い返してみると、ここまで戦えるなんて自分でもビックリだよん。

 

 私の戦いぶりに、観客たちは驚きとともに、怒りを露わにしている。

 なんで、そんなに可愛い女の子が嬲られるさまを見たがるかなー。

 

 さて、残りのモンスターは5匹。

 お次は、どなたが出てくるのかね?

 先ほど手放した槍を回収し、右手の片手剣は近場の地面に突き刺す。

 

 戦ってみて実感したけれど、戦いにおいての間合いは、とても重要だ。

 相手の攻撃が届かない距離から、一方的に攻撃できるという利点は、大きすぎる。

 先ほど獲得した剣術にオレンジちゃんの短剣術スキルを保有しているとはいえ、槍による突貫は安心感が違う。


 なんて素人なりに考察をしていると、先ほどゴブリン達が出てきた柵が開き、その中からネチョネチョとした音を立てながらスライムが三匹現れた。

 

 奴らの動きはゴブリン達よりも遅い。

 それは巡回の時に、ステータス画面にて確認済みなので間違いない。

 槍術スキルも手に入れたことだし間合いに気をつければ何とかなるだろう。


 先手必勝、いくよっ!

 私は左端にいるスライムに槍の穂先を向けると、ゴブリンにした時のように突貫する。

 【スキル:槍術 LV.1】の効果なのか槍が手によく馴染むような気がする。


 これなら、いけるっ。

 スライムの身体に勢い良く槍を突き刺す。

 ネッチョリとした感覚とともに、槍はスライムの身体を貫通した。


 よし、次っ!

 スライムの体内を薙ぎ払うようにして、槍を右に振るいながら引き裂き、残りのスライムに注意を向ける。

 動きが遅いとはいえ、近すぎたか。


 だけれど、まだ間に合う!

 直ぐ様、両手で持つ槍に力を込めるように身体を捻じる。

 そして全身の力を解放し、途中で左手を離して右手に持つ槍に全ての力を乗せるように突き刺す。


 なんとか間に合ったっ!

 あとは最後の一匹を残すのみ!



 そう、思った次の瞬間。

 背後から生温かい粘液が私を包み込んだ。


「あばぼばっ!」


 これはスライム……!?

 さっき体内から槍で薙ぎ払ったやつが生きていたのか!

 しかも思わず口を開いてしまったら粘液が口の中に入り込んできたった、気持ち悪い……っ。


 しかも、二匹目も生きていたようで一匹目の上から包み込むように覆いかぶさってきた。

 スライムの体内は粘液質なため水中よりも身体の動きにかかる抵抗が大きく、満足に手足を動かすこともままならない。

 そうこうしている内に三匹目も覆いかぶさり、私は三匹が合わさった巨大なスライムに飲み込まれているような形となってしまった。

 

 スライムは私を溶かそうとしており、全身からヒリヒリとした痛みを感じる。

 更に、まるでプールの中に潜った時のような聴覚に、闘技場の観客達の嬉しそうな歓声が届いてくる。

 私がこんな思いをしているというのに……、忌々しいっ!


 動転して反応が遅れてしまったけれど、この状況は二度目だ。

 私は【スキル:ウルシオール】を発動。

 全身からウルシウィードちゃんと同じ特製の液体を分泌する。


 すると、巨大な固まりとなって私を包み込んでいたスライムたちは、不味いものを口にしてしまった赤子のように私を体内から吐き出した。

 

「ごめんよ、オレンジちゃん」


 吐き出された私の服装は、スライムの粘液によって大部分が溶かされており、上着はほとんど用を成さず、下着も一部分に穴が開いてしまっている。


 これ以上やられる訳にはいかない、奥の手を使うとしますか。

 ステータス画面を開いて一時的に【称号:愚者】の設定を解除する。

 私は立ち上がると、ウルシオールによって未だに蠢き続けている、巨大なスライムの固まりに左手をかざす。

 

 【スキル:火魔法 LV.1】、発動。


 お姉さんの肉体の主導権を掌握した時に学んだ、魔力の扱い方を思い起こす。

 あの時、確かに感じた『魔力』の存在。

 

 それは確かに、髪の毛である私の本体も、そして、この世界の住人であるオレンジちゃんも保有している。

 それを左手の先に集めるようにイメージする。


 すると私の左手の先には赤く光る魔力が発生し、それは一定のラインを超えると激しく燃え上がる火の玉の形状を創り出す。

 オレンジちゃんの肉体に刻まれている経験が、それの使い方を私に伝えてくれる。

 私の……、オレンジちゃんの口は自然と、その言葉を口にしていた。


 火属性下級魔法。


「ファイアボール!」


 その魔法名を唱えると、左手の先で燃え上がっていた火の玉は、一段と激しく燃え上がり、火球となって巨大なスライムの固まりに放たれた。

 

「これは……、すごいっ」


 スライムに着弾した火球は、その全身を包み込むように広がり、燃え続けている。

 あの粘液状のスライムの体は可燃性らしく、彼らの全てを燃やし尽くすまで炎が消えることはなかった。


【スキルのレベルが上がりました。火魔法 LV.2】


 ファイアボールは【スキル:発火能力 LV.1】(今はレベル2だけれど)で創りだした火球よりも威力が高いように思われる。

 応用性は自由度の高い発火能力、使い方は固定されてしまうけれど威力は魔法、といったところなのかな?

 

 まだ分からないことが多すぎる。

 いつか色々と試してみないといけないねー。

 

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