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第四十六話「同化」

 

 魔族の男たちが来た後、檻から出された橙色の髪をした女の子……ひとまずオレンジちゃんと呼ぶ。

 オレンジちゃんは、彼等に連れられて出入り口に繋がる階段とは別にある階段を登っていった。

 

 その先に見えてきたのは、小さめの部屋で中央にテーブルがあり備え付けられている椅子に数人ほど座れるようになっている。

 水くらいは飲めるようで、魔族の男の1人がコップに水を注いで女の子に手渡した。

 

 女の子は可哀想になるくらい手を震わせながら気を落ち着かせようとしたのか、水を一口だけ飲んだ。

 

 うーん、Eランク冒険者っていうのがどの程度の強さなのかわからないけれど、スキル構成を見るからにはビギナーって感じなのかね。

 採取スキルだけ突出しているし戦闘経験はあまりないんだろうね。

 

 お姉さんのステータスがあれだけ高かったことから、ここにいる男の魔人族達も近い能力を保有していてもおかしくはない。

 そう考えると、オレンジちゃんの種族である人族からすると彼等に囲まれているこの状況は絶望的だよなぁ……。


 外からは何を言っているのかわからないけれどマイクで音量を上げたような音声と、それに呼応するように観客と思われる人々の歓声が聞こえてくる。

 マイクなんてあるとは思えないし、これも魔法なのかな?


 なんて思っていると、魔族の男たちもそのマイクのような音声を待っていたかのような風に立ち上がり、卑下た笑みを相変わらず浮かべながらオレンジちゃんを強引に立ち上がらせ、闘技場へと向かうと思われる暗い通路へと押し出し、何やら大声で怒鳴るように叫び始めた。


 その怒声から逃れるようにオレンジちゃんは、暗い通路を小走りに移動し舞台へと繋がる最後の階段を登った。


 

 オレンジちゃんは階段の先の光の中、闘技場の舞台へとその姿を現す。

 その途端、闘技場の観客たちの歓声は一段と高まり、彼女の身へと重圧となって降り注ぐ。

 オレンジちゃんはそれに耐え切れず、巨大な檻に囲まれた舞台の中で腰を抜かしてしまった。


 さて、ここらが潮時かな。

 私は【スキル:侵蝕 LV.1】を発動し、彼女の肉体の主導権掌握に取り掛かる。


 そこらの魔物達とは違い、人間はやはり精神力が強いらしい。

 今までよりも強い抵抗感を感じる。

 しかし、平常時はどうか分からないが今の彼女は完全に気が動転している。

 そんな彼女の精神を突き破り、その肉体を支配するのは私には難しいことではなかった。


 主導権を掌握したことによって彼女の四肢に私の精神が染み渡るかのように、人間としての感覚を認識する。

 

 ふふっ、やっぱり人間の体はよく馴染む。

 私の精神が元人間だからなのかな?

 

 もはや転生前の自分の事は、あまり思い出せなくなってきたけれど、この人間としての感覚だけは懐かしさを覚えつつ未だに思い出せる。

 オレンジちゃんはお姉さんの肉体よりも、よく馴染むように感じる。

 種族の違いなのか、それとも体格が近かったのか。

 

 まっ、今は考えている時間はないよね。

 私は【スキル:同化】を発動させると、ステータス画面を開いて効果の確認をする。



──────────


種族:人族アンノウン・ブラックヘアー


称号:【冒険者:Eランク】【村人】【愚者】【天性の勝負師】【寄生虫】【主客転倒】【草刈り職人】【魔族殺し】【ヘンタイ】【追放されし者※解除】


LV.18+59


HP:112/154

MP:0/0

筋力:39.8

耐久:49

敏捷:26.1

魔力:0


スキル

【採取 LV.3】【短剣術 LV.1】【死力】【根性】【天運】【吸収 LV.7】【勤勉 LV.7】【マゾヒズム LV.3】【匍匐前進 LV.1】【寄生 LV.7】【光合成 LV.2】【ウルシオール】【毒耐性 LV.1】【病気耐性 LV.1】【悪臭 LV.1】【頑丈 LV.1】【タフネス LV.1】【闇合成 LV.1】【毒針 LV.1】【穴掘りLV.5】【掘削 LV.1】【怪力 LV.1】【発火能力 LV.2】【火耐性 LV.1】【跳躍 LV.1】【堕落※解除】【火魔法 LV.1】【水魔法 LV.1】【溶解 LV.1】【変化 LV.1】【俊敏 LV.1】【硬化 LV.1】【斬撃 LV.1】【同化】【侵蝕 LV.1】


────────── 



 これは強い。

 ステータスの値からすると、(私の能力うp系スキルを加算した値+オレンジちゃんの値)+称号の効果という感じなのかな?

 ちなみにオレンジちゃんの称号である【冒険者:Eランク】と【村人】の効果は特にないですん。

 でも、充分すぎる能力値だと思うんだよねー。


 私は、お姉さんから引き続き女の子の肉体を支配した喜びを不気味な笑みとして表情に浮かべながら、闘技場の舞台に立ち上がった。

 

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