第三十一話「移動開始」
二回目ともなると流石に少し気が引けるけれど、これから先、生きるために収奪は必要なのだ。
ここで、躊躇していては、この先へは進めないっ!
さて、それじゃあ収奪しちゃうよっ。
───収奪開始。
ひゃっ!?
脱力感が突然襲ってきた……。
慌てて収奪を停止して、ステータス画面を開くと自分のHPを確認する。
なんじゃいっこりゃあ!?
【スキル;根性】によって一命を取り留めたため、収奪開始前まではHP0.93だった。
しかし、今確認してみると、0.31にまで減少している。
この世界に生まれたばかりの時の最大HPが0.1だったからか、あまり危機感がないという私。
もしかしなくても、アンデッドから収奪するとダメージ受けちゃう?
でも何かエネルギー的なものを取り込んでいる感覚はあったんだけどなぁ。
ステータス画面を見ても、表示されてるものは、いつもと変わらない。
うーん、この世界は謎に包まれておりますな。
それにしても、だ。
これどうしよう。
寄生を解除すれば、主導権掌握から解放された魔族ミミズちゃんゾンビは再び暴れだすだろう。
その上に生えている吾輩は、無事ではすまないでしょうな。
しかも収奪もできないため、八方ふさがりだ。
まーいっか。
頭部破壊すれば無事に解放されるんだろうし、愚直に筋力任せで穴を掘ろうではないか!
そうと決めたら、突撃でござるっ。
突貫!とばかりに無理やり多分頭と思われる部位を進行方向の土に、ぶつけて土を掻き分けるように押し進む。
い、意外に速い……。
身体の大きさの違いもあるけれど、素のステータスが段違いだからスキルの有無に関わらず、髪の毛状態の私より速いよんっ。
生前の魔族ミミズちゃんよりは、効率悪い感じだけれどねー。
でもやっぱり掘るのってなんか楽しいわぁ。
夢中になって掘り続けること、数時間。
魔族ミミズちゃんゾンビの身体は疲労を感じることなく、掘り進み続けている。
うーん?流石にそろそろ、疲れてきてもおかしくないと思うんだけどなぁ。
まったく疲労感というものを感じないのである。
少なくともGちゃんに寄生掌握した時には、移動中に度々休憩を入れないといけない程度には疲労を感じた。
それがこの身体にはまったくないのだ。
おぉう、これは思いがけない幸運かな?
掘るスピードは遅くても、睡眠や休憩をしなくても良い分、長距離の移動はゾンビ化していた方が速いのかもしれない。
ただし、肉体を酷使しているために土を掘り続けてた頭部はボロボロになっている。
もともと頭部破壊の目的があったとはいえ、回復魔法が使えたら治してあげたのになぁ。
あっでもアンデッドに回復魔法はダメージになるお約束の展開があったか。
収奪でのダメージもある意味それに近いのかな?
それにしても生前もそうだったけれど、魔族ミミズちゃんは優秀だわん。
ふぅ、そろそろう赤い草原地帯は抜けたかな?
でもせっかくだし、このまま進むとしようかっ。
この身体が活動停止するまで、ね。
そうしたら、流石に魔族ミミズちゃんを弔ってあげようと思う……。




