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第二十九話「蚯蚓の果てに」

 

 思いついたら即行動とばかりに、私は移動を開始したった。

 方角を確認して、赤い草原を目指しますん。

 幸いなことに前に刈ったエビレグファイちゃんの居た方角なので、あの時の穴を利用しようと思う。

 だって、また下穴掘るの面倒くさいんだもんっ。

 

 考えてみれば、あの時の収奪刈りしたエビレグファイちゃんは、例の赤い草原出身だったのかもなぁ。

 こう、たんぽぽの種みたいにフワフワ飛んできた感じを予想する。

 でもそうだったら、もっと広範囲に広がっているかなぁ。

 アイツだけ、はぐれちゃんだったのかねぇ。


 などと、勝手な妄想を広げていると以前の穴の地点に到着した。

 さぁーて、行くとしますかねっ。

 私は……、華麗に穴の中に舞い降りる!

 ヒラヒラと漂いながら落ちていくと、その下から何かが動いている音が聞こえてきた。

 

 うん?この穴の中には何も居ないはずだけどなぁ?

 あっ、もしかして魔族ミミズちゃんmk2ですかいっ!?

 それなら好都合ですわー、さすが【スキル:天運】の持ち主の私。

 ご都合主義な展開に、心の中でニヤニヤとした表情を浮かべていると、何やらおかしいことに気がついた。

 

 この音は……暴れている?

 そうもう少しで辿り着きそうな、この真下。

 そこで何かが暴れているっぽいぽい。

 目を真下に出現させて覗き込んでみるけど、真っ暗で何も見えない。


 こんなことなら、洞窟で光る苔の収奪をしておくんだったーっ!

 アイツを収奪していたらきっと、なんか身体が光り出すようなスキルを手に入れられたに違いないっ。

 って言っても今更後悔しても仕方ないしなー。

 おーっと、そろそろ見えてきたぜい。

 

 上からの微かな光を浴びて、ぼんやりとそれが視界に浮かんできた。

 そう、あの時私が自らの糧とした魔族ミミズちゃんの成れの果てがっ!

 あの綺麗なピンク色だったお肉は、緑っぽい感じの色が混じった気色悪いものへと変貌している。

 柔らかかったお肌も、ところどころが破れ、黄色い液体が滲み出ている。


 うわー……。

 これはゾンビですね。

 生前のミミズとしての本能も忘れてしまったのか、土を掘ることもできずに、ここで無闇矢鱈に動き回っていたらしい。

 ここがファンタジー世界なら、こういう死体のアンデット化なんてことも、あり得るよね。

 洞窟で収奪しまくったGちゃんズの巣も、酷いことになっているんだろうか。

 あーでも洞窟は、蟻さんがいたしなー。

 良いお食事になったことを祈ろう。


 さて、脳内での現実逃避もここらにして、魔族ミミズちゃんゾンビに備えるとしようかいっ。

 見たところアイツは私に気づいている気配はない。

 それはそうだろう、ただの髪の毛が落ちてきただけだからなっ!

 キミは自分の死因すら理解していないだろうし恨みを向ける相手すら分からないんだろう。


 可哀想だが、情けをかける余裕は私にはない。

 私は魔族ミミズちゃんゾンビに、無慈悲に毛先を向ける。

 意識を集中して【スキル:発火能力 LV.1】を発動。

 毛先のすぐ前に、小さな赤い光が生まれ、それは熱を帯び始める。

 二度目の死を味わいなさい!火球っ、撃てえぇぇえい!!


 毛先から放たれた赤き光を放つ火球は、高速で腐った肉体に直撃。

 魔族ミミズちゃんゾンビのお肌に、僅かな焦げ跡を残したのだった。

 

 ですよねーっ!私の大きさに見合う火球でスキルレベルも1ですもんね!

 僅かなダメージを認識したのか暴れ狂う魔族ミミズちゃんゾンビ。

 私の視界には、その太ましい尻尾だか頭だか、よく分からない部位が広がっている。

 

 ベシンッ!


 そして私は、二度目の死を迎えた。


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