7/7
戒め
「またやってしまった……」
本社ビル七階の男子トイレ。俺は個室にこもって頭を抱えていた。顔面蒼白である。
昨日のことははっきりと憶えていた。いや、記憶の片隅にも置きたくない。ただ、俺はとうとう一線を越えてしまった。それは確実だった。
「もうおしまいだ……」
もはや後戻りできるよな余地はなかった。おろしているロングズボンからせわしなく携帯電話を取り出し、メールボックスを確認する。今朝届いた新着メール二件を読んでまた項垂れる。
心はやつれていたが、身体は滾っていた。
諦めて心も染まってしまえばいいのだろうか。
半ば自暴自棄になった俺は、トイレから出て仕事に戻った。
何事も勢いでやってはいけないと痛感した出来事だった。
秋のわびしさは俺の心に木枯らしを吹かせた。
はっと思いついて3時間でかいてしまった小説。俺はなにをしているんだ……。
思いついてしまったものはしょうがない。