失敗4
その後、べらんべらんに酔った俺は自力で帰ることもできず、居酒屋から比較的近い先輩のお宅へお邪魔した。どうやら奥さんは両親の体調が良くないらしく、実家に戻っているらしい。
先輩はもはや一人で立つことすら困難な俺をベッドへと放り投げた。
「せんぱ~い。すいませんねぇ~」
「はぁ、お前見た目細いのに重過ぎなんだよ」
「すいえいぶでしたからぁ~。かいぱんいっちょうでバタバタバタフラーイ」
そういって俺は服をすべて脱ぎ去り、ベッドに大の字になって手足をバタバタさせた。全裸になったことに対しての羞恥心はなく、むしろ開放感に溢れていてとても気分がよかった。
「こりゃ完全に酔ってるな……」
どうしてこんなことをしているのだろうか、冷静になっていればこんな風にかんがえたのかもしれない。しかし俺は冷静になりたくなかった。酒の力を無理にでも借りて、すべてを忘れたかった。会社での立場の危うさ、恋人の裏切り、すべてを酒に溺れさせたかった。それでも脳裏に浮かぶのはその二つのことだった。
秋の肌寒さが全身を震え上がらせる。あらわになった陰嚢が萎縮し、今度は陰部に意識が集中し始める。
それと同時に昨晩のことが脳裏によぎる。すると自然と涙が流れた。なにが悲しくて恋人の浮気現場を目撃しなくてはならないのだ。しかも浮気相手が隣の住人だったとは。自宅に帰るのが怖い。しかし、耳に残っている昨日の喘ぎ声は、俺の中の野性の魂を燃え上がらせた。
「なに泣きながら興奮してんだよ。おら」
先輩は俺の股間に綺麗な素足をそっと添えた。
「なにしてんですか、先輩……」
「俺の前でそんな姿を晒したこと、後悔するんだな」
先輩に酒を飲んだ描写はしていません。
していません。