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ともみとかず

「はっ!?!?おいかずおま・・・お前名倉のともだ……」

竜也は驚きを隠せず椅子から再度立ち上がりかずの方へと向いた。


「いや私はこいつなんか知らないけど」

しれっとかずは答ええる。なぜか目は半目で本当にどうでもよさそうな顔をしていた。

周りはそれを信じられないというような雰囲気を見せつけそれと同時に悪気は無いだろうがかずをにらんだ。しかし何か不満を口にするものは居ない。

「覚えてないのも仕方ないよね~私よくみゆきさんにお世話になってたんだけどもね」

「はぁ?なんで私の母親のこと知ってんの?」

「そりゃぁ私ら昔子供のころお隣さんだったでしょ?」

クラスの生徒と先生たちはただその真実に驚きを隠せず黙って会話を聞いている。

かずのどうでもよさそうな顔がもっとどうでもよさそうな顔になりいっそう暗さが増す。

「あぁそう。覚えてないけど。」

もう会話終わらせいいよね?と呟き再び窓に顔を向ける。

先生が咳払いをしてこの雰囲気を一度整える。

「ごぉっほん。とりあえずかずの隣の席に座りなさい。知り合いなんだったらまぁいろいろとやり易いだろうからな。」

「かずちゃんは私のことしらなそうですけどね。」

すこし困惑した表情をしながらかずの隣に座った。

「かずちゃんよろしくね?まぁあなたのお母さんから聞いてたからここの学校にきたんだけどね。」

かずは一瞬ムッとした顔をしてともみのほうを見る。

「お母さんから何聞いて此処に来たかしらないけど私のテリトリーに侵入しないでね。学校では誰ともかかわりたく無いの。」

その会話を聞いていた周りの生徒たちはいやな顔をしてかずを見たが一瞬にして表情を変えともみに話しかけていた。

「気にしなくていいよあんなやつ。この学校一つよいけど一番孤独なんだから。」

ともみの前に居た女子生徒はぼそっと呟いた。

「かずちゃん昔はこんなにひん曲がってなかったはずなんだけどなー……。」

不思議そうな顔をしてともみはかずを見つめていた。


『ん~……なんか朝から疲れるなぁ』

ふっとため息をついて一時限目が始まった。

教科書を広げながらふと考える。

確かに私は小さい頃いろいろな場所を転々としていたけどそれも小学生の頃だけだ。もし名倉が言っていることが本当ならあの子は本当に近所の子で知り合いだったのだろう。でも転々としすぎてあの少女のことの記憶はさっぱりだ。まぁ関係ないしこのまま平穏な日々を壊さないでほしい。


やはり名倉という人物は有名なのだろう。休憩時間からお昼休みまでいろんな人々が彼女を囲んでる。

なぜ活動休止したのかとか三ツ村という俳優と付き合っているのかとか本当中身の無い話ばかりだ。

必然的にも彼女の席が私の隣になったため会話が筒抜けに聞こえた。

うるさいのが好きじゃない私は終始機嫌が悪かったが、誰とも会話することもないので気を使う人も居ない。とわいえ……あの名倉とやらどうでもいい質問をすべて笑顔で答え続けてる。

『すごいな。』

私は心の中で思いつつ名倉のほうに視線を落とした。

するとちょうど名倉と目が合った。

「かずちゃーん。私のことほんっと覚えてないのー?」

かずはしまったと思いながら機嫌悪そうな顔に表情を変えた。

「覚えてない。」

しれっとしたかずの態度はやはり名倉の周りに居た生徒たちの気を悪くした。

名倉の机に囲んでいる人間はかずに聞こえないようにひそひそと呟きだした。

「あの子って昔からこんな感じだよね。」

「あぁ確かに……。」

「でもうちの学校の番長倒したしなぁ。」

「怖いよね~」

そんな会話を聞いた名倉は疑問の思いを口にした。

「え?かずちゃんってそんな性格だったの~?」

周りのみんなは知らなかったのといわんばかりの表情でかずの態度について語りだした。

「あの子笑顔で友達としゃべったこと見たことないし」

「え?ってかあの子友達いたっけ?」

「いないでしょ。あぁでもあの宮崎だけはあいつにかまってるよな。」

「あぁでもかずは相手にしてないよねー」

周りの人達の言葉を聞いてすこし驚いた顔を見せるともみ。

「そっかー……。」

ともみは何か物足りなさそうにかずの姿を見つめた。

しかし、そんな表情とは裏腹に口角をみんなに見えぬようゆっくり上げていった。


キーンコーンカーンコーン・・・・・・。

「やっとおわったか。さっさと帰ろう。」

私は無造作にかばんをもちさっさと教室を出ようとすると例のめんどくさい彼女が呼び止めた。

「かずちゃーん一緒にかえろー?」

冗談じゃない。

彼女と居たら私の大切な空間は崩れ落ちてしまうし、第一あの子の取り巻きだけでもうるさくて第一嫌いなのにそこに寄り添って一緒に帰るなんて言語道断。

「ことわる。」


「ほんっとかずは何時からこんなにそっけなくなったのー?」

ともみはあきれたような顔をして両手を挙げてギブアップポーズをした。


これがともみと私の再会だった。

というより私にとっては初対面。まさかこのあとあんなことがあるなんて思ってもいなかった。

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