クリアライフ―――出会い―――
僕の短編小説2作目です。
魔法を使ったやつやりたいなぁーと思い作ってみました。そんな感じで始めたので書いてる途中から内容が二転三転しました。(汗)
では、誤字脱字多いため読みにくいと思いますが、どうぞご覧ください!!
追記
この話の次話を書いたため多少内容を変更いたしました。(6月10日)
「ですのでx=yとなるんでx=36となります。以上今日の授業はこれで終わります」
やっと今日の授業も終わった。僕はあくびをかみしめ、帰りの用意をした。
「おい、富本帰ろうぜ」
そういって僕、富本 秀一を呼びかける僕の友人達の姿があった。僕に呼びかけていた石田 湊人ともう1人の友人、福田 海斗に返事を返した。
「悪ぃー、今日駅前の方に行くんだ」
「また駅前の方にいくのか?最近つきあい悪いな、富本」
「あ、あぁーそうだな。悪い」
僕はそう言って苦笑いをうかべ、鞄を持ち上げ教室を出ていった。そしてそのまま私立 南里学校の校門を後にして‘駅裏’の方へ向かった。
僕はあいつらに嘘をつき駅裏につき周りに誰もいないことを確かめた。もともと駅裏の方は駅前にデパートが出来てから廃れてシャッターが閉まりっぱなしの店や廃ビルが立ち並んでいるので人があまりいなかったが僕のこれから会う娘の格好があまりに奇抜すぎるので少々神経質のなる。
僕は一つの廃ビルへ入った。
「シュウイチやっと来た。今日もやるよ」
「わかってるって」
僕はそう言って目の前にいる、白色の生地に黄色や赤色が描かれた服を着る魔女、ミント=クリア=ライトに答えた。
「ところで今日は何すんの?」
「とりあえず精神を集中させて簡単な魔法、物体浮遊魔法の練習。じゃーこれ浮かして」
そう言って一つの人形を投げてきた。僕は素早く魔法定義を唱えた。
「逆らうは重力。力の動きはすべて我のものとなる。 物体浮遊魔法!!」
僕が叫んだ瞬間人形は、落下するのを止め空中にとどまった。普通ならありえない現状、しかし僕はそれをたやすく作り上げた。
「ほらやったぞ。次はミントのばんだ。 魔法削除」
僕がそう言うと人形は落下を再開してきたのでそれをキャッチしミントに投げ返した。
「えっ、ちょっちょと待ってよ。 逆らうは重力。力の動きは我のものとなる。 物体浮遊魔法!!」
ミントが焦ったように魔法定義を唱えた。しかし人形は、一瞬動きを止めただけでまたすぐに落下しミントの頭に当たった。僕はそれを見て笑った。
「むー、笑わないでよ。ミント頑張ってるんだから。それにちょっとだけ止まったんだから」
「あぁ~1週間連続連続ちょっとだけな」
「何よそのいいかた!!シュウイチのいじわる」
そういってツンと後ろを向いた。僕は苦笑しながらミントに謝った。
「悪い、悪い。っさ続きやろ」
「本当にそう思ってんの?まぁ~いいわ」
そう言って人形を宙に投げた。
「逆らうは重力。力の動きは我のものとなる。 物体浮遊魔法!!」
ミントはそう言って手をかざした。しかし結果は同じでまたしても人形が落ちてきた。
「なんでできないのよ~。シュウイチには出来るのに~!!」
ミントの悲痛な叫びがビルの中にこだました。僕は苦笑しながらミントに近づいた。
「しかたね~じゃね~か。少し休憩しようぜ」
僕はそう言ってミントの頭に手をポンと置いた。
「うん、わかった」
ミントは短く僕に答えた。これが最近駅裏に来ることとなった僕の理由だ。魔法を使えない魔法少女ミント=クリア=ライトと魔法の練習をするためだ。
僕とミントの出会いはちょっとしたことだった。
僕が駅前のデパートに行ったとき、買い物に疲れ屋上の自動販売機でジュースを買いふたを開けようとした瞬間駅裏にあるビルから強い光が瞬いた。
僕は驚いてビルの方に向かった。駅裏に光が発するようなビルはないはずだからだ。もしかしたら誰かが火を放ったのかもしれないそう走りながら考えた。
僕はすぐに駅裏についた。そして光が瞬いていたビルに入った。そこには、一人の少女が横たわっていた。僕は急いで彼女の方へと走って行った。すぐに彼女の息を確認する。
「すぅーすぅー」
彼女から寝息が聞こえた。ほっと息をついた。どうやら生きているようだ。
僕はジュースのふたを開け口に含んで彼女に呼びかけた。
「大丈夫か?目覚ませ」
「うっうーん。なによ~、えっここどこ?ミントなんでこんなところに?っていうかあなた誰!?」
彼 女は目を覚ました。そして僕を見て驚いた。
「おっ落ち着け。俺は別に変な奴じゃない。ただ、たまたまここから強い光が出てきたから来てみたら君がここで寝ていたんだ」
「強い……光?」
「あぁ~きゅうにピカッて」
「なんで、あなたにはその光が見えたの?」
「見えたってあんな光見過ごすわけないじゃん」
「でも、そんな強い光なのにあなたしかここにいないのよ?」
「えっ?あっそういえば、なんでだ」
「ねぇーこれから私の言う言葉、復唱してみてください」
「はぁ?どうして」
「いいから」
僕は少女の真剣な顔にうなずくしかできなかった。
「いくよ?震えるは空気」
「震えるは空気」
「音の力は我のものとなる」
「音の力は我のものとなる」
「音放出魔法!!」
「音放出魔法!!」
僕は彼女の後を追ってわけがわからないまま叫んだ。その瞬間突如音が鳴り響いた。いや音ではない、僕が知っている音楽だ。
「嘘……まさかと思ったけど魔法が使える人がいたなんて……」
「何のことだよ?しかもこの音どこから……それに魔法だって?」
何が起きているのかわからなかった。魔法?アニメじゃあるまいしそんなものあるはずない。だけど今の状況、魔法以外で証明できるだろうか?いやできない……
「ごめんね、驚かせちゃったね。あっそういえば自己紹介してなかったね。私はミント=クリア=ライト」
「えっあ富本修一です」
「ふ~んシュウイチっていうんだ、よろしくね」
「あっあー、よろしく」
僕はわけがわらないまま自己紹介をかえした。
「それで、シュウイチの質問だけどこれから言うこと落ち着いて聞いてね?いい?」
「わっわかた」
「うん、じゃあいうね。今あなたが使ったのが魔法。わかった?」
「いや、わからない。まず魔法というのがこの世に存在するのか?」
「うん、あるよ。ただし使うには呪文と魔法名を唱えなきゃだめなの」
「マジックワード?マジックネーム?」
「うん、呪文と魔法名を言わないと魔法を引き出せないの。この二つを合わせて魔法定義っていうの」
「じゃーその魔法定義さえ言えば誰でも魔法つかえんのか?」
「普通なら使えないんだけど、何万人かに一人の確率で魔法を使える人が誕生することがあるの」
「何万人に一人って……あっもしかしてあの強い光があったのに、僕しかこなかったのって」
「うん、たぶんそう。あの光は、魔力を持った人にしか見えないの」
「じゃー、ミントも何万人に一人の子なのか?」
「違うよ。ミントの家系はね、代々魔法を使えるの」
「どうして、ミントの家だけなんだ?」
「ううーん、それを話すととてもながくなるよ?いい?」
「あぁー別にいい。今は理解がしたい」
「うん、わかった。実はね昔はみんな魔法を使えていたの。昔っていっても、旧石器時代よりもずっと前。さらに本当のことを言うとね人類が誕生してから一度今ぐらいのハイテクな時代になったことがるの。」
「そんな、まさか」
僕は絶句する。歴史は得意な方ではなかったが、苦手でもなかった。そんなことならってない。しかし魔法が存在するならばありえない話でもない。
「たぶん、そんなこと習ってないぞって思っているんでしょ?でも本当のことなんだよ?」
「いや、うたがってないよ。じゃ~どうしてそこまで文明が発達したのに旧石器時代に戻ったんだ?」
「うん。実はね、文明の発達とともに魔法が悪用されるようになったの。そうして大きな戦争に発展したんだって」
「戦争?」
「うん、戦争。だからね私の先祖は人々から魔法の使い方を、記憶うしなわさせたの」
「記憶を?そんなことができるのか?」
「うん。私の祖先、ミリス=クリア=ライトがあみだした魔法、消失記憶魔法をつかえばできるの」
「記憶消失魔法?」
「続けていい?記憶消失魔法を使ったミリスは、人々から記憶を失わさせたの。そうしてこの力をもうこの世に出ないように魔法のあった形跡を消してミントの家系だけに代々受け継がれてるの。そして、ほかの人々は、代を重ねることに魔力を失ったの」
「その中でも、何万人に一人は、魔力ってやつを持って生まれてくるんだな?」
「うん、そうだよ。まぁ~魔力を持っても魔法定義を知らなかったら意味ないんだけどね」
「んじゃー、ミントほかの魔法使えるのか」
「えっとその……魔法定義は、いっぱい知ってる」
「だから、魔法見せてくれよ?」
「……つかえないの。ミント、今魔法使えないの」
「えっなんでだ?ミントの家は魔力持ってるんだろ?」
「えっと……ミントね魔力持ってるんだけど、その魔力の量が普通よりも多いの。それで制御ができなくってね、うんそれで使えないの」
「つまり、宝の持ち腐れってやつか?」
「うっ……痛いこというな~シュウイチは」
「いや、ただのツッコミだ」
「むっ……じゃー、シュウイチが魔法つかってよ」
「なっなんで僕がつか―――――――」
「逆らうは重力。力の動きは我のものとなる。我のものとなった力は人を動かせ。重力は我の力となる。 人物浮遊魔法!!」
「わっわかったよ。逆らうは重力。力の動きは我のものとなる。我のものとなった力は人を動かせ。重力は我の力となる。 人物浮遊魔法!!」
僕がそう言ったとたん、体が浮かび上がった。
「わっわー!!なっなんだよこれ助け、いたー」
僕がそう叫ぼうとした瞬間、頭に衝撃がはしった。痛い、でも何とか空中でとどまった。
「あはは、はは。サイコー、シュウイチ」
下を見るとミントが笑っている。
「おっおい!ミント、これどうしたらいいんだ」
「あはは、ごめんね。えっと頭の中でどこに行きたいのか念じてみて」
「あっあ~」
僕は頭の中で地上に降りたいと念じると本当におりたった。でもまだ少し浮いている。
「おい、まだ少しういてるぞ」
「えっ、あっ~魔術削除って言って」
ミントはまだおかしそうに僕を見ながら言った。
「あっそう言えばその魔術削除ってなんだ?」
「う~ん、自分の魔法を削除する魔法名だよ。いいから早くいって」
「魔術削除」
僕が言うと少し浮いていた感覚がなくなった。
「あっできた。」
「あ~おもしろかった」
ミントは目元に涙をためてそういった。
「今のが魔法か?」
「うん、でもすごいよ。魔法にはC・B・Aの三つのランクがあって、どんどん上がっていくの、呪文が2文だとC、3文だとB、4文だとAなの。だから、シュウイチは今Aランクの魔法をつかったの」
「まぁ~それはいいとして、ミントお前どうすんだ?」
「う~ん、あっそうだ。シュウイチここで一緒に魔法の練習しよ」
「はぁ~なんで!?」
「お願い!!ミントも近くに魔法を使える人がいるとたすかるの!」
「わ、わかったよ」
ミントの上目遣いに少し顔を赤らめてししぶしぶ承諾した。
「やったー!!」
ミントは嬉しそうにピョンピョンとびまわっていた。
これが僕とミントの出会いだ。
「ねぇ~シュウイチ、シュウイチ達のなかで流行ってる音楽ってなんなの?よかったら聞かせてよ、音楽放出魔法だったらすぐ聞けるし」
僕がミントとの出会いを思いだしボーとしていると、僕の横に座るミントがこういってきた。
「なんだよ、藪から棒に」
「シュウイチと、いっしょに魔法の特訓してから結構たつでしょ?だから、シュウイチの好きな曲ってなんなのかな~って思ってさ」
「ふ~ん、そういうことか、ならいいよ」
僕はそういっていま流行ってる音楽を頭にイメージしながら魔法定義を言う。
「震えるは空気。音の力は我のものとなる。音放出魔法!!」
僕がそう言うと、音楽が流れ始める。
「へぇ~こういう曲がシュウイチたちの中で流行ってるんだ」
ミントはこの曲が気に入ったのか聞き入っている。でも次第に眠くなってきたのか、まぶたを閉じ、すぅーすぅーと寝息を立て始めた。僕はそれを見、苦笑しつぶやいた。
「寝ちまったか。しゃーねーな、転移魔法で僕の部屋におくるか。 魔法削除」
僕は一度、音放出魔法をとき再び魔法定義をミントが起きないように小声で言う。
「動くは体。光と同じ速さで移動せよ。我のしめしたところえ行け。人体転移魔法」
僕が魔法定義を言い終わると僕らはベッドの上にすわていた。私立南里学校は全寮制だから、親に見つかる恐れもない。僕はミントを横にさせ毛布をかぶせてやった。
「う~ん、シュウイチ~」
どうやら夢を見ているよだ。寝言を言ってる。僕は微笑んで、明日の学校の用意をした。
「んで、今日はなんの魔法を練習するんだ?」
僕はミントに尋ねる。今日も学校が終わり駅裏でミントに尋ねる。
「うん、今日は新しい魔法をシュウイチに教えるね」
「新しい魔法?」
「そう。実は魔法にも種類があってね、いままでシュウイチが使ってたのって形がなかったでしょ?」
「形?まぁ~目には見えてなかったな」
「そう見えないの。だからね、次は目に見える、ちゃんと存在する魔法をつかうの。あっ、ちなみに今まで使ってた魔法が無形魔法で、今回使う形ある魔法が実在魔法って言うの」
「実在魔法っか、どういったところが特に違うんだ?」
「う~んとね、いろいろ違うけど一つ言うとしたら魔法に意思があるの。だから追跡や新たな道を切り開いたりしてくれたりするの」
「魔法に意思?」
「うん、だから魔力と意識が残っている限り一緒に戦ってくれるの。いつもね別の魔法使うたびに魔法削除してたでしょ?いってなかったけど同じ種類の魔法は一個しか発動できないの。たとえばね、実在魔法で意思のある魔法が敵に攻撃しているすきに無形魔法で逃げることも可能なの。でも、どちらもAランクの魔法だと魔法の種類に関係なく一つしか出来ないんだけどね」
「へぇ~すげ~んだな」
「うん、じゃ~魔法定義教えるね。 戦うは牙。物を貫く攻撃をしよ。 魔法犬!!」
ミントの言った言葉をを僕は覚える。もちろんミントから魔法が発動することはない。ミントは少し、しゅんとした表情を見せた。これ以上だまっているとミントがかわいそうなので魔法定義を言う。
「戦うは牙。物を貫く攻撃をしよ。 魔法犬!!」
僕が叫ぶと目の前に強い光が発する。その光は徐々に形となって子犬になった。色は黒色で少し赤みがかかっている。
「わん!!」
その子犬がほえた。僕はミントに尋ねる。
「これが、実在魔法か……この犬本当に強いのか?」
見た感じで言えば確かに弱そうだ。ほかの犬と混ざったら見つけるのが大変そうだ。
「見た目とは裏腹に強いんだよ。ほら、呪文の2文目に物を貫くは牙ってあったでしょ。だから大抵のものは牙を貫通させることができるの。たとえばあれとかね」
そういって床に転がっている鉄の棒みたいなものをさした。
「あんな固い物をこいつが?」
「うん、噛みつかせてみて。今は戦ってるわけじゃないから魔法を出した人、魔法発動者っていうんだけど、魔法発動者が命令しなくちゃいけないの。だから命令してみて」
「あぁ~わかった。 あれにかみつけ」
僕が言うと子犬、魔法犬が走りだし噛みついた。するとバキッという音とともにあの鉄が砕け散った。
「すげ~な、あいつ」
僕はさっきの光景に苦笑しながら言う。魔法犬は何事もなかったように僕のもとに戻ってきて「わん!!」と鳴いた。
「そうでしょ、あっそろそろ魔法消したら?実在魔法は、無形魔法より魔力の消費がはげしいから」
たしかにいつもより疲労をする感じがある。でも、まだまだ大丈夫だ。この魔法なら5、6時間は持つだろう。
「わかった。 魔法削除」
僕がいうと魔法犬は光となって消えた。
「すげ~んだな、実在魔法って」
僕は率直な意見を言う。
「まぁ~ね、Cランク魔法であれだから、Aランクはもっとすごいよ。あっそれと実在魔法だけだけどね、新しい魔法を自分で作れるようになるの。このことを新出魔法っていうの」
「新出魔法?」
「うん、自分の思い描くものを呪文に乗せてそれにぴったりの魔法名を言うと新しい魔法を作れるの。たとえばね、ミントが作った魔法なんだけどね魔法名は伝言鳩魔法って言う魔法あるんだ」
ミントは嬉しそうに自分の作った魔法について話している。しかし僕は一つ疑問を感じミントに問う。
「ミント、魔法使えないんじゃないのか?」
とうぜんの疑問だ、魔法を使えないミントが新出魔法など作れるはずがない。
「あっ……えっとね、ミントのお母さんに頼んで魔法定義を言ってもらったの。だからね、形式的にはお母さんが新出魔法をしたことになるんだけどね、実際はミントが発案者なの、うん、そうなの」
「そういうことか、で、その伝言鳩魔法ってどういう魔法なんだ?」
僕は納得してミントに問う。
「うん、これはね自分の思いを相手に伝える魔法なの、だから口頭でいうより早く伝わるし敵とかいてもばれにくいの」
「へ~そうなんだ、じゃ~呪文の方を教えてくれよ、なんかあったとき使えるかもしれね~しな」
「わかった。いくね。 伝えるは思い。形を作り相手へ気持ちを伝えるものとなれ。 伝言鳩魔法!!」
ミントが叫ぶ、やっぱり魔法は発動しないが……
「やっぱりでないか……シュウイチに届かせるつもりだったのに……」
「えっ僕に何を伝えるつもりだったんだ?」
「あっあのえと……この魔法すごいでしょって、ははは」
ミントはなぜか頬を赤らめていう。
「ふ~んそっか」
僕はあいずちを打つ。するとミントが小さい声で何かつぶやいたように聞こえた。
「何かいったか?」
「べっべつに何も言ってないわよ」
「そっか、それならいいんだけど」
僕は空耳かと思いそう答える。なぜかまだミントは顔が熱を持っているように見える。別に熱を発する魔法など使ってなかったはずだが。
「そっそれより今日は疲れたでしょ?もう今日はいいよ、人体転移魔法で部屋に戻ろ?」
「あ~わかった。 動くは体。光と同じ速さで移動せよ。我のしめしたところえ行け。人体転移魔法!!」
僕は魔法定義を言う。
「っ!!」
ミントは何かを感じたように魔法を発動する直前何かを見つけびっくりしているように見える。しかし、僕が振り返ったときにはもう魔法が発動していた。僕は気になったがミントに尋ねるのを止めた。きっと人に見られてしまったんだろう、仮に見られたとしてもその人は見間違いだとおもうだろう。
「よ~富本、今日暇か?暇だったら久しぶりに遊びに行こうぜ。テストも終わったことだし」
そう言って呼びかけるのは、福田だ、後ろに石田の顔も見える。
「あっあ~そうだな」
僕は二人に曖昧に返事をする。ミントとの修行もある。しかしいつもいつも断るのは不自然だ
「わかったいいよ」
「よし、よくゆった」
親友二人は嬉しそうにはしゃいでる。久しぶりに誘いに乗ったのだからとうぜんか?僕は二人に「ちょっとトイレいってくる」と伝えトイレへと向かう。目的はばれないようにミントにこのことを伝えるためだ。
伝え方は魔法、伝言鳩魔法でだ。伝言鳩魔法は後からミントに教えてもらったのだが、往復も可能らしい。僕は一番端の個室に入り窓を開け魔法定義を唱える。
「伝えるは思い。形を作り相手へ気持ちを伝えるものとなれ。伝言鳩魔法」
僕の思い、伝書鳩魔法は、ミントのもとへと行く。時間としては数秒だろうか、すぐに白い鳩が僕のもとに戻ってきた。僕はそのハトへ手を伸ばし思いを確認をする。
『え~ミントとの約束やぶるの~仕方ないなー。わかったよ、今日はお休みでいいよ』
ミントらしい返事に僕は苦笑したがなんとか承諾を得た。魔法削除を言い伝書鳩は光となし消え去った。僕はトイレを出、鞄を持って、福田と石田と僕で街へと繰り出した。
「ん~楽しかった、富本お前やっぱり、音痴なんだな」
僕らは先ほどまでカラオケで歌っていた。そして福田は僕にからかいの言葉をかける。僕が音痴だという事をしって、いやがる僕を二人が強制連行したのだ。福田の横で石田も笑ってる。
「しかたねぇ~だろ。それにお前らが無理やり連れてきたんじゃね~か」
「まぁ~な、でもよ歌ったのが一曲だけってどうよ?ドリンクバーで飲み物ばっかのんでさ」
僕はいつもカラオケに行くと一曲は絶対歌わされるので仕方なく歌うがそれさえクリアしたら後は飲んでばっかいる。ちなみに今日はアイスコーヒー8杯だ。
「んなこと言うなら、こんなとこ連れてくるなよ」
僕は二人に反論する。ゲーセンとかにしたらいいものを……
「まぁ~な、でも今回は絶対カラオケだなって思ってさ」
「はっ?なんで」
「お前最近俺たちの誘いずっと断ってたじゃね~か。だからその罰もかねてな。ていうか、いつもどこ行ってんだよ。俺たちも時々駅前行くけどお前となんかあったことね~ぞ」
「まっ、まぁ~さ広いんだし見つからなくて当然といえば当然だよ」
僕は苦し紛れに答える。こいつらに本当は駅裏に行ってましたなんて言えるはずがない。ましてやそこで魔法少女と魔法の修行をしているなんて言えないので適当にごまかす。
「まぁ~別にいいけど……あれ、あれなんだ?」
福田が何とか納得してくれたのでほっと息をついていたら急にいぶかしげな声を上げる。
「どうしたんだ、福田?」
石田が福田に問いかける。
「なんか一瞬大きな犬、狼みたいな犬が一瞬見えたんだ。見間違いじゃない、黒い何かがいた」
「はっ?狼、んなもんいねーぞ」
「いや、確かにいた。こっちだ」
そういって、福田が走り出す。目的地は駅裏のようだ。僕はここで一つ心当たりがあることを思い出す。まさか、実在魔法なのか?福田が見てという狼は黒色だといっていた。そして、魔法犬も黒色だ。あれのAランクぐらいの強さにしたら、狼になってもおかしくない。でも、僕は今魔法など使ってないしミントも魔法を使えない。
僕は二人にきずかれないように走りながら魔法定義を唱える。
「伝えるは思い。形を作り相手へ気持ちを伝えるものとなれ。 伝言鳩魔法」
伝える思いは、『魔法犬をさらに強く、Aランクにしたら狼みたいになるのか?今僕の友達が狼を見たって言ってるんだ。狼なんて町の中にいるはずないだろ?だから、もしかしたらって。あっそれと、今駅裏の方にその友達先頭に向かってるんだ』、だ。
突然現れた白いハトを二人に見られないように空へと飛ばす。僕は走りながら返事を待っていると、白いハトが僕のもとへとやってきた。
『シュウイチそれ本当!?詳しい事情は後で話すから今は私をいつものビルに転移させて!!』
僕は事情というのが気にはなったがミントの切羽詰まった声に負け魔法定義を再び小さな声で唱える。
「動くは体。光の粒となり移動せよ。空間を乗り越える者となれ。光の速さと同化し我の想う場所へと行け。 強制転移魔法」
強制転移魔法は自分以外の人物を強制的に転移させる魔法。自分の半径5メートル以内だと人体転移魔法でも転移可能なのだが、それ以上だとAランク魔法を使わなければならない。たぶん魔法は成功しただろう、手応えがあった。
「はぁーはぁー、おい、こんなとこまで来ても何もないぞ。やっぱり見間違いじゃないのか?」
僕の少し前を走る石田が問いかける。もうすぐ駅裏の方へとつく。
「いや、確かにいたはずだ」
「んなこと言っても、何もいねーぞ。ほら、もうすぐ駅裏だ」
石田が言い終えてすぐに駅裏の通りへと出た。僕らは足を止め周りを見渡す。僕も見間違いだと思うがそれだとなぜミントがあんなに焦っていたか説明がつかない。
「どこだ……確かにいたん――――――」
「魔法削除!!」
福田が言い終わる前に少女の、ミントの声がなり響いた。
「なっなんだ、今の声?」
石田が困惑気味に言う。魔法削除、自分の魔法を削除する魔法。魔法の使えないミントが言うはずがない。ないはずなんだが……
「あっちからだ、行こう!!」
石田の呼びかけに僕らは再び走り出した。いやの予感がする。
「ここから、声が聞こえたんだが……」
僕達は声が聞こえた、いつもミントと修行しているビルの前に立つ。すると、「ぐるるるる!!」と何かようなものが聞こえた。
「なにか……聞こえた?」
「こっちだ!!行こう」
僕は二人に声をかけ、中に入る。この中にミントがいるかもしれない。すると思ったとうり、入ってすぐに白色の生地に黄色や赤色が描かれた服を身につけている少女の姿を見つける。
「ミント!!」
僕はその少女にこえわかける。
「シュウイチ、詳しいことは後で話すから今はあの狼の足止めをして!!」
「わかった!!」
僕は簡潔に答え、魔法定義を唱え始める。後ろで石田と福田が僕たちの会話を唖然とした様子で見つめている。
「放つは光。光は力となり打ち砕け。光よ我に力を貸したまえ。 光弾魔法!!」
僕が魔法定義を言い終え手をかざすと、手の先からぼんやりとした光の玉が発生し、狼のもとへと行く。狼は光弾を受け痛そうに後ずさりをしたがすぐに体制を立て直した。
「おっおい、富本いっ今のなんだよ?しかもあの娘も誰なんだ?」
福田が僕に問いかける。
「悪い、今は説明できない。とりあえず二人とも外に避難していてくれ!!」
僕はそう言いつつ光弾魔法を撃つ。
「あっぁー、今は逃げるよ」
石田は僕の真剣な声に少しおじけついたように福田をつれ、外へと出て行った。
「ミント、こいつはなんだ!?」
僕はミントに問いかける。
「あれは魔法なの。魔法名は刃牙狼魔法Aランク魔法なの。そして、この魔法の魔法発動者は……ミントなの……」
「ミントが魔法発動者!?ミント魔法使えないんじゃ……」
ミントは魔法が使えない、だから僕と魔法の修行をしている。それが、今になって魔法を使える!?そんなはずない。だってミントは幾度も魔法を出そうとしては失敗してそのたびに残念そうにしていた。
「あれはね、本当にミントの魔法なの。でも、Aランク魔法を制御できなくって、それで刃牙狼魔法が暴走してしまったの。それで、ミントに襲い掛かってきて気を失ったみたいで、気がついたらシュウイチがいて……」
「そうか、あの日みた光はあいつを作り出す時に見えたミントの魔法だったのか」
僕は光弾を撃ちながらあの日のことを思い出す。
「そうなの、だからずっとあのこを探してたの……」
「なんで、僕に教えてくれなかったんだ?」
「シュウイチに迷惑かけたくなくって。ごめん……」
ミントは顔を伏せ謝った。
「そういうことか、なら別にいいよ。 うわっ、なんだあいつ!!」
僕がミントに励ましの言葉を送ったてすぐに狼は光弾をかわして僕のもとへと襲ってきた。
「っ!!やっぱりAランク魔法は強いんだ。Bランク魔法じゃ無理なのね……いえ、たぶんAランク魔法でも無理ね……」
「くっ……無理なのかやっぱり。魔法削除をしても無理なのか」
「うん、さっきからやってるけど、もうあの魔法にミントの意識はつながってないみたいなの」
「えっ、意識がつながってないんだっら魔法は消滅するんじゃ」
「うん、普通なら消滅するんだけどね、あのこは自分の意識が強すぎるみたいで自分で魔法を維持しているの」
「そういうことか……なんとかならないのか」
「うん、魔法を削除しないと無理みたい。ミントも魔法使いたいんだけどあのこを出しているから無理なの」
「そんな……4文のAランク魔法でも無理ならミントが魔法削除で消すことも無理……あれっ」
僕は一つ疑問を感じた。僕は再び光弾を狼に撃ちながらミントに問う。
「なぁーミント、魔法削除も一応魔法なんだよな?」
「えっ、えぇー。そうよ」
ミントは質問の意図をつかめないのかきょとんとしている。
「だとしたらおかしいじゃねーか。Cランク魔法でも2文の呪文が必要なのになんで魔法名だけでいけるんだ?おかしいじゃないか」
僕はさっき感じた疑問を、矛盾をミントに問う。
「えっ、あっそっか。シュウイチ聞いて。魔法にはA、B、Cの3個のランクがあるって言ったけど、実はこの二つ以外にもあと2つランクがあるの。一つはDランク魔法、Dランク魔法は魔法名だけでいいの。それが魔法削除なの。そしてもう一つのランクがSランクなの」
「Sランク?」
「うん、Sランク魔法ってのはね、呪文がたった一文で完成する最大ランクの魔法。ミントも昔一度ちょっと聞いただけだから忘れてたけど今はっきり思い出したわ」
「そうか、そのSランク魔法教えてくれ」
「Sランク魔法の一つには自分のじゃない魔法を消すことができる魔法があるの。魔法名は、魔法消去」
「魔法消去か。呪文教えてくれ」
僕はその魔法を試そうと思いミントに問う。
「わかった。いくね。 消えゆるは魔法。魔法削除っていうの。わかった」
「あぁ~、魔法消去」
僕は光弾魔法を解除して狼の攻撃を紙一重でかわし、一つ呼吸をして魔法定義を唱える。
「消えゆるは魔法」
呪文唱えながら攻撃をかわし腕を狼にかざしながら魔法名を叫ぶ。
「魔法削除-!!!」
僕の声がビルに反響する。
「「っ!!」」
僕とミントは狼、刃牙狼魔法を見る。刃牙狼魔法は光をだしながら消えていく。苦しんでいるようにも見えなぜか消えたくないと叫んでいるようにみえる。
「なぁーミントあいつ自分の意識が強かったんだよな」
「うん……そうだけど」
「もしかしたら、ただ消えたくなかった、それだなんじゃないか?」
「えっ……消えたくなかった?」
「たぶんそうだ。僕だって消えたくない。それと同じじゃないのか?」
僕は刃牙狼魔法を見て思った感想を言う。ミントは少し驚いたように僕の顔を見ていたがすぐに顔を下げ答える。
「そう……かもしれない。でもさ……あのこが消えないとミント困るもん」
たしかにミントの言うとおりかもしれない。だから僕はミントに問いかける。
「だったらさ、もしあいつがミントの言うことをよく聞く、そういう魔法のなったらどうだ?そうなってもミントは困るか?」
「困るわけないじゃない。あんな子がミントの仲間になってくれるんだったら嬉しいもん」
「だったら、またあいつを出すか?」
「うん、出すに決まってるよ!!」
「だったら、あいつにミントの気持ちを伝えろ。そうしたらきっと消えてくれるはずだ」
「そう……なのかな?でもミントに気持ちを伝える方法なんて――――――」
「ある」
「えっ」
僕はミントの言葉をさえぎり言う。
「今、僕がちょうどいい魔法を考えついた。魔法名は、思想伝言魔法」
「思想伝言魔法?」
「あぁーそうだ、いくぞ、ミント伝える気持ちを用意しとけ!!」
そういって僕はミントの頭に手を乗せる。ミントの気持ちを伝えるために。
「伝えるは思い。気持ちは形となり相手へ伝わる。感情を隠さずすべてを伝えるものとなる。我らの気持ちよあなたへ届け。」
呪文が完成する。そして最後に魔法名を唱える。ミントも刃牙狼魔法を見つめている。伝える気持ちは完成したらしい。
「思想伝言魔法!!」
僕が叫んだらミントの頭の頭上から、白い大きな鶴が飛び立つ。あれがミントの気持ち。鶴は狼の、刃牙狼魔法のもとへとたどり着き消える。ミントの気持ちが一瞬見えた。
『ねぇー大丈夫だから。ミントは絶対あなたを出す。ミントね、あなたをキ。ライになったりしないのでもね今はあなたに消えてもらわないと困るの。あなただって苦しんでるじゃない。お願い、絶対にまたあなたを出すから、ミントを信じて!!』
僕はミントの気持ちを感じる。刃牙狼魔法(ブレイク。ビック・ドック・マジック)も感じ取れたんだろう。急におとなしくなった。そして刃牙狼魔法は光となって消えて行った。
「終わったな……」
「うん、ミントの気持ちも伝わったみたいだし」
「そうだな」
僕はそう言ってミントの頭に手を置いた。ミントは少し恥ずかしそうに僕によりそった。
「なっなぁー、もういいか。なにがあったんだ」
僕は声をかけてきた方を、ビルの入り口側をみた。そこにはまだ状況を理解していない二人の姿があった。僕はミントの頭から手を放した。ミントも寄り添っていた体制をたてなおした。
僕は二人にどう説明すべきか模索し始めた。
「えっとな……その」
僕が二人に説明する言葉を探しているとミントが僕の服をひっぱてきた。何か言いたいことがあるらしい。ミントは少し背伸びし僕の耳元で話しかけてきた。
「シュウイチ、二人に魔法の存在言わないで。それに記憶を消す魔法あるから、ミントがね人体転移魔法で姿を消したらそれをやって。」
僕もミントに小声で問い返す。
「大丈夫なのか?それって、記憶消去魔法なんだろ?全部の記憶消えたりしないのか?」
「えっとね、記憶消去魔法の威力を抑えたやつがあって。魔法発動者の消したい記憶を一時間だけなら誰でも消せるの。魔法名は喪失記憶魔法っていうの」
「喪失記憶魔法だな。呪文教えてくれ」
「わかった。消えるは記憶。我に従い記憶を消せ。我の考えるようになれ。喪失記憶魔法っていうの」
「あぁ~OK」
僕はミントから聞いた言葉を頭の中で反芻しながら二人へ視線を戻す。
「なんなんだよさっきの。しかもその子、誰?」
福田がミントに目を向けて尋ねてきた。しかしミントはそれを無視し、魔法定義を唱え始める。
「動くは体。光と同じ速さで移動せよ。我のしめしたところえ行け。人体転移魔法!!」
「はっは?なっなんだよ?きっ消えた?」
石田も福田も突然消えた少女にびっくりしているようだ。
「うーんと、まぁ~わすれてくれ。消えるは記憶。我に従い記憶を消せ。我の考えるようになれ。喪失記憶魔法!!」
「ちょっ、なんだ……あれ、なんでこんなとこいんだ」
僕が魔法定義を言い終えると二人の記憶は本当に消え去ったようだ。僕は記憶をつなげさせる。
「お前がなんか狼見たっていうから来たんじゃねーか。結局いなかったけどな」
「あっそっか。でもなんか変な気分だな。まるで記憶を抜き取られたみたいな」
「俺もそんな感じだ」
二人とも不思議そうに頭を掲げている。僕は苦笑しながら二人を無理やり納得させ、帰路についた。
あれからもう、2週間がたった。僕は一人っきりの部屋を見渡し、ベッドに腰を掛けた。ミントは人体転移魔法で僕の部屋に行ったと思っていたが、本当の自分の家に帰ったみたいだ。それもそうだろうな、ミントはもう魔法を使えるようになったんだから僕と一緒に修行をする必要などない。
僕は立ち上がり窓を開けた。空は澄んだ青色をしていた。そこに一羽の白いハトが飛んできた。僕はそのハトになんのためらいもなく手を伸ばした。ハトは手を触れた瞬間消え去った。
僕はすぐにあのハトが魔法、伝言鳩魔法だとすぐきずいたからだ。僕は2週間ぶりのミントの声がひどくなつかしく感じた。
『シュウイチごめんね、勝手にかえっちゃって。でも、もしあそこで帰らないと名残惜しくなっちゃいそうで……でもここからだけど、シュウイチに言いたいことがあるの。ミントはね、シュウイチのことが好きなの。だから次会えたらその返事聞かせてほしいな。返信はしなくていいから。じゃあね、シュウイチ』
ミントの気持ちが伝わる。僕はすぐにまたハトを飛ばしたくなったがなんとかこらえた。ミントは返信はいらないって言ってたから。だから次会ったときに言うんだ。 僕も好きだよって。
次回予告
平穏の日々を繰り返していた僕に突然の攻撃。
「これは太陽の集結!?」
平穏の世界が突然崩れた僕はどうする!?
次回『クリアライフ2―――戦い―――』お楽しみに!!
「魔法消去!!」




