エピローグ
『赤い傘?』
『ジンクスの!
好きな人と二人の大切な場所で赤い傘のあいあい傘をすると永遠に一緒にいられるっていう…』
『ばかばかしい…』
『えーなんでですか!?』
『世の中そんな甘いもんじゃないんだよ。』
『でも、橘先輩もやったって…』
『それ…つけたししたあげよっか?』
『えっ!?何ですか?』
『そのふたりは永遠にふたりで協力して愛を育むのでした。めでたし、めでたし』
『なんですか!それー!』
ー…5年後…ー
目覚まし時計と携帯のアラームさらにインタンホーンの騒音に目を覚ます。
頭がガンガンする。
ボロボロの顔の私を見て宅配員が眉をひそめながら宅配物をあたしに渡す。
「あっ!橘先輩から手紙だ」
薄い桃色の和紙の手紙には《結婚式招待状》と達筆な字で書いてある。
「えっとなになに…」
手紙の初めには『拝啓三浦美嘉様』と丁寧だ。
(先輩にしては真面目だなぁ)
『今年5月10日に私達の結婚式を致します。急な事で申し訳ありませんが是非ともご出席くださいませ。』
手紙の最後には二人の幸せそうな写真が飾られている。
合コンで恥をかきおまけに二日酔い今ののあたしには吐気がする。
しかし二人のこんな姿は誰もが予想をしていた。
だけどちょっと遅すぎただけ…すれちがっていだけ…。
ふたりは卒業後同居。順調に愛を育み交際をすすめていった。
凌先輩は学校の先生に。橘先輩は保母さんに。結婚後は退職し専業主婦へ。
金銭面で式はあげられず籍だけをいれた。
そしてやっと晴れて式をあげることができる二人。お腹が目立たないように早めに式を挙げるのか。
普通の幸せが二人にとっての最高の幸せなんだろう。
やっぱりあたしもかなり大人になったのかな!なにせこの五年間いろいろあったし…。
「何が大人になったよ!花嫁より目立ってる仲人がどこにいるんだよ!」
「あっれ〜?あはは。なにわともより…カンパーイ!」
「先輩…覚えてる?前に赤い傘のジンクスの話したでしょ?あたしもなんとなくだけど分かるようになってきました」
「美嘉…?」
「幸せは二人で築きあげることで本当の幸せが訪れるってこと!」