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純愛小説  作者: 櫻井文乃
8/9

であい

波の音…静かで穏やかでときに激しく…まるで貴方みたい。

赤い傘をさし私は貴方をまっている。

決して来ることのない貴方を…。

ねぇ聞こえますか?

もしもう一度貴方に伝えることが許されるなら今すぐに伝えたい。

ー…愛してる…ー


「海?」

「行こーよ!行きたい!」

「なんで海なんか…」

「……」

「愛?」

「私ね、海に行ったことないの」

「海に?」

「うん…うちお父さんもお母さんも海が嫌いで連れっててもらったことないの」

「へー…」

「でも私…海の優しくて広大で深い哀愁があるところが大好きで…一度でいいから行ってみたいの!」

「……」

「何笑ってんの?」

「いや…愛みたいだなぁって思って…」

「はっ?何それ?」

「まっ、愛の小さい脳みそじゃ理解するのに一億万年かかるね」

「ムッカツク!ま、いーやせっかく付き合えたことことだし…」

「愛…高校最初の夏休みに行こうか…海」

「うん…」

最初の夏休みに…ー

今なら分かる。

凌の言ったことが。

凌の深くて広い気持は海に似ているよね。

「愛」

その言葉を聞くだけで躰の奥底が熱くなって細胞が活発に動く。

振り返ると愛しい人がいた。誰よりも愛しき人…。

「凌…?なんで…?」

「やっと二人で来れたね…海」

涙腺が壊れたみたいに涙が出てきた。

「ごめん…遅くなって…」

「なんで…ここ…?」

「家に行ったら愛いなくて…俺もよく分からないけど愛がここにいるような気がして…」

「凌っ…!」

言葉が涙で詰まってでてこない。

こんなときになんてもどかしいんだろう。

「愛…俺にもう一度伝えさせてくれないか?」

凌の目を見ればなにが言いたいのかわかった。

あの時と一緒だ。

私は頷いていた。

「橘愛さん、貴方を愛しています…僕ともう一度始めましょう」

大丈夫だ。私達は。

あの頃に戻れている。

私達は自然に手を繋ぎ抱き合い唇をふるわせていた。

止まっていた時間が動きだした。

あの時間できなかったことを今から始めるんだ。大丈夫。またはじめられる。

凌は海にも負けない熱く溢れだす感情も持っていた。

私達はやっと幸せになるための階段を登り始めた。

凌とならできる。二人で歩みはじめよう。

さぁ、ふたりで手を繋いで帰ろう…ー

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