壊れた絆
愛と別れてから一週間が過ぎた…。
愛にはずいぶん辛い思いをさせた。
俺に気を使ってギクシャクしていた。これで良かったんだ…。
愛しているから…。
少し時間が経った頃梨本が俺を訪ねてきた。
別れてしまってからは怒る気力もない。
「俺、昨日橘の家に行ったんだ」
「……」
「あいつこんな俺を許してくれたんだ」
「……」
「俺ずっと橘が好きでさ、お前ならって諦めてたんだ」
梨本の声は震えていた。
「でもお前らなかなか素直にならなくていらついて…そのとき俺の引っ越しが決まったんだ」
梨本は田舎に引っ越すって言ってたっけ。
「だから俺橘に俺の気持ち伝えようと思ってた…なのに当日にあんな事聞かされるなんて…」
あれは卒業式前の…
「梨本…俺と愛…やっと付き合うことにしたんだ」
「えっ!」
「梨本…?」
「いや…おめでとう…」
「ありがと!」
あの時の言葉は嘘だったのか。
だったら言ってくれれば良かった…そうすれば俺は絶対に愛を一人にしなかった。
梨本のことはよく知ってる。だから…絶対…
「俺どうしようって迷ってたら橘が…幸せそうな橘見てたら悔しくって…」
「……」
「ごめん」
「愛はなんて?」
「もうどうでもいいって」
「そっか…」
「ごめん」
「……」
「……」
「俺たち…」
「えっ?」
「俺たち普通に喋ったの何年ぶりだろうな?」
「瀬戸…」
「……」
「ごめん」
「もういいよ」
「ごめん…」
「……」
涙を溢す梨本を見ていたら愛の気持ちが分かった。
愛に逢わなくちゃ行けない。
愛に…。
走り出していた。
僕は…何処に行こうというのだろう。
何処に…。