わかれ
いつもの公園で凌を待つ。
来ないでほしいと願っているのに無情にも時計の針は進んでいった。
いつも通りに凌は待ち合わせ時間十分前には到着する。
「あれ?今日早いね」
「うん…」
「今日はどこ行く?」
「今日は…話があるの…」
「話…?」
最初の言葉を言おうとするたび涙で声が渇れそうになる。
『さよなら』
その一言が一番重い。
「愛?」
《勇気》という言葉を盾に告げようとした。
「橘?…瀬戸…?」
声をかけた人見た瞬間躰が一気に震えた。
「梨本…」
凌の顔が険しくなるのが分かった。あんなに優しい凌が…。
「久しぶり…橘…瀬戸」
梨本くんが近付いてきたとき凌が掴みかかった。
「てめぇーふざけんじゃねーよ!よく声かけてこれたな!ぶっ殺すぞっ!」
「凌!」
胸ぐらを掴み壁に押し付けていた。こんな凌を見るのは初めてだ。
「お前のせいでな…」
「凌!!」
私の大声に場が静かになる。周りいる人が心配そうに此方を見ている。
『お前のせいで俺がこんな目ににあった。面倒をみなきゃいけなくなった。』
その言葉を聞くのが怖くて先に取り返しのつかないこと行ってしまった。
「もう解放したあげるから…私の側離れていいから…」
「あ…い?」
「もう私も飽きたし、凌に合わせるの疲れた…重いんだよね」
「本気…?」
「別れてよ」
「……」
お願い。馬鹿なこと言うなって怒って。
「分かった
もう関わらないよ…」
その言葉を残して凌は去っていった。
自分の中が空っぽになるのを感じた。
「橘…?」
「触らないで…二度と私の前に現れないで…」
私はこれから何を頼りに生きていけばいいんだろう。
ただ一つ言えることは凌をやっと解放してあげられて…嬉しいと言うこと。