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純愛小説  作者: 櫻井文乃
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大切な人

行き交うカップルを通りすぎながら二人で公園を歩く…。

周りにはいちゃつくカップルがいる。これほどのシチュエーションはないだろう。

しかし私の隣の雄は何もしない。

手を握ろうとしない。

『付き合ってほしい』

と告白された日以来好きとは言われてないだろう。

《あんな事》があったんだからと期待はしていない。

一定の距離を保ちながら凌は家まで必ず送ってくれる。

帰りのキスが当たり前なのはきっと私だけだろう。

「それじゃ」

「また明日ね」

凌の『それじゃ』を聞くたびにこれで最後なのかと不安になる。

私は『また明日ね』にすがる事しか出来ない。

ーまた…明日…。

凌の後ろ姿を見送るたびに、義務みたいな送り迎えが虚しくなる。

今まで本当に何もなかった。

毎日の送り迎えや長期休暇。もちろん話題のテーマパークでデートもした。

でも凌は私の隣にいるだけで何もしない。もうお守り状態。

そろそろ潮時なのかもしれない。

『潮時…』

一番聞くのが怖かった言葉。

でも凌は言わない。

凌は優しすぎるから。

今まで凌の優しさを利用してすがっていた。

凌を手放したくはなかった。

《可哀想》な私に同情して付き合ってくれていた。

好きでもない女に今まで付き合ってくれた凌には何か賞を送りたい。

虚しすぎて涙が止まらない。

もう『今までありがとう』と言わなくてはいけない。

凌を想うだけでこんなに胸が暖かくなる。

「…嫌だ…やだ…よぅ…」

ーあぁ、私こんなに凌が好きなんだぁ。

最初から知ってた。

私だってもう愛なんかないって思わなきゃ凌の前で泣きそうだったから…。

でも、最後くらい面倒くさい女なんて思われたくない。

明日は笑顔でさよならするんだ…。

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