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<スカスカ>  作者: 連星霊
第6章【Chandelier Supernova】
69/75

第69話【Where's My Story?】

 ライブハウスRAIN OF BOW、通称『レイボー』。キャパシティ約170人の、少し勢いの付いてきた頃合いのインディーズバンドに愛される箱だ。

 2月中旬。某日。<Chandelier>の運命を決めるライブが始まろうとしている。

 今日の出演アーティストは4組。<Chandelier>のアクトは3番目。出番の直前まで、4人は物販コーナーで店番をしていた。

「2ndアルバムください!」

「ありがとう。1000円ね」

「はい!」

 2ndアルバムの売れ行きは好調。サブスク配信もしているうえ、かなり攻めた値段設定だと思っていたが、以外にも買ってくれる人は多かった。今日は2ndアルバムを20枚持ってきていたのだが、もう既に半分が売れていた。まだアクト前。正直こんなに売れるとは思っていなかった。

「…そろそろいく?」

「…そうね。もうそろそろ出番が近いし、準備しておかないと」

 ひいろたちは立ち上がる。

「出番近いので離れます」

「うん、行っといで。後は私が見とくから」

 物販は受付の夏姫なつきに預け、<Chandelier>の4人は階段を降りて楽屋へ。前のアクトのバンドの放つ爆音の裏で、<Chandelier>は準備を進める。

「チューニングおっけ」

 今日のギターは純白のストラトキャスター。1番の相棒である。

「モノローグもおっけ」

 そして、今や<Chandelier>のバンドサウンドの定番となった、アナログシンセのモノローグ。

「皆は?」

「私は大丈夫よ」

「私もです」

あたしも。…ま、特に準備しするようなものは無いけど」

 と言いながら、みどりが手に持つのはドラムスティックと、シンバルとそのスタンド。

「ふふっ」

「なにひいろ

「いや、シンバルだけ持参するって、よくよく考えると変だよね」

「なに、今さらバカにしてんの?」

「いいや、全然。こうでなくちゃ。普通じゃ面白くないよね」

「そーだね。その通り」

 碧は背伸びをする。

あたしもそうだったんだけどさ。このバンドを見つけた経緯が“SKYSHIPSのくもり紫音しおん”だったって人も一定数はいると思う。…もしあたしあたしじゃないそういう誰かだったとしたら、『曇紫音の方が良かった』って容赦なく言ってたと思うよ。だから、そんなふうになりたくない」

みどり…」

「だからさ。少しでもインパクト残したいわけ。バカのっぽのシンバルって、ボーカルの真後ろにいても目立つし、如何にも『只者じゃない』ってカンジしない?」

「うん。只者じゃないって感じするよ。…だからこそ、合間合間にドラムソロとか入れたくなっちゃうんだよね」

あたしひいろのそいとこ好きだわ」

「ありがと」

「私はひいろの全部が好きよ」

あおい、張り合うところじゃないから」

あおいはいつも通りだね」

あおいさんに限らずですよ。皆さん、このライブが私たちの運命を決めるライブってこと忘れてませんか?」

 ES-335を構え、黎は少し困ったような顔で3人を見る。

「忘れてないよ。むしろ、だからこそ、いつも通りやることが大事。私たちらしさ、<Chandelier>らしさ全開の、いつも通りのライブをやる。もちろん、前回よりも良いのをね」

「……。まあ、それもそうですね。私もいつも通り頑張ります!」

「頼むね。任せたよ、れい

「任されました」

「……と、もう彼らも終わりだね」

 碧がステージに目を向ける。

 引き伸ばしたアウトロが終わり、「ありがとう」と感謝を言うと、各自機材を片付け始める。

「お疲れ様です」

「お疲れ。シャンデも頑張んな」

「はい」

 転換へ。ステージへと進み、アンプにシールドをぶっ刺す。ストラトキャスターをスタンドに置いて、モノローグも真ん中の若干下手(しもて)寄りにセット。碧は持参したシンバルスタンドを伸ばしてセットする。アンプとシールドを繋いだ黎は、サウンドを確かめるため適当にコードを掻き鳴らす。緋と蒼はマイクスタンドを調整し、喉のチューニングも兼ねてマイクチェックを行う。

 ドラム、ギターふたつ、ベース、マイクふたつ、シンセ。全てのサウンドをチェックしながら、深呼吸してフロアを見渡す。

 約8割は埋まっている。その中で見える、1人の女性。

「……」




 ───店がオープンして少し経った時。蒼と共に物販コーナーでCDとグッズを売っていたところへ、1人の女性がやってきた。ほんの少し紫が混じった黒髪の女性。とてもお淑やかな雰囲気を感じる。

「始めして。<Chandelier>さんですね」

「はい。もしかして、GRプロの…?」

「はい。GR.PROJECTの日陰ひかげすみれと申します。本日はよろしくお願いします」

「いえ、こちらこそ……。えっと、来ていただいてありがとうございます。とても嬉しいです。……最高のライブにします」

 名刺を受け取って、緊張したまま返答をすると、すみれは上品に笑って、緋と蒼を見た。

「はい。どうか、いつも通りの素敵なライブをお願いしますね」




 ────正直、あんなお淑やかな大人の女性が<Chandelier>のようなハードなロックをたしなむとは思えず、それによる不安が無いわけでは無い。

 しかし、彼女は言った。「いつも通り素敵なライブをお願い」と。ならば、こちらはその通りにやるしかない。元より、それ以外のやり方は知らないのだが。


 ステージの準備を整えた緋たちは1度ステージ裏へと戻り、円陣を組む。

みどり

「うん」

れい

「はい」

「…あおい

「ええ」

「……私たちは<Chandelier>。最高のロックバンド。今までに積み上げてきた全てをかけて、このライブ、絶対成功させるぞ!!」

「「「「おぉ~ッ!!!!」」」」

 まるで学校の運動会のようなノリで掛け声をして、ステージに上がる。

 スタンドに立てかけられたストラトキャスターを手に取り、ストラップを肩にかける。

 マイクスタンドからピックを抜き取り、三本指でしっかり持つ。

 デビューがかかっているとか、難しいことは気にしない。日陰菫さんのことも、気にしない。いつも通りでいい。いつも通りの、最高の<Chandelier>のライブを見てもらおう。本当の自分を認めてくれる人を、私は探しているのだから。

「───」

 ギターをひと撫でし、メンバーと目を合わせる。

 顔を上げて振り下ろすと同時に、『No Limiter』をぶちかます。

 全身を使い、限界なんて知らず、ただもっと熱く、もっと上を目指し、更なるロックを求めて、このライブハウスという箱の中で放つ爆音を超える激音をぶっぱなす。くと言うよりハジけるように、歌うと言うより叫ぶように、全力をさらけ出し、無茶苦茶に暴れるような、本当に大規模な花火大会のようなサウンドを轟かせる。

「ッあぃ!!!」

 暴れまくって、2番、そしてアウトロへ差し掛かるところでMCを被せる。

「こんばんは<Chandelier>と申します!!他のバンド見に来たって人もいると思うんですけど今日はどのバンドよりも私たちが1番良いライブぶちかますんで40分間よろしく!!」

 ストラトキャスターを振り下ろしてラスト。

「歌えますかRAIN OF BOW!!」

 もはや<Chandelier>のライブでは定番となった『No Limiter』アウトロでの煽りが始まる。

「Yeah Yeah Yeah!!、レイボー声出せェ!!」

「Yeah Yeah Yeah!!!」

「もっと!!」

「Yeah Yeah Yeah!!!!」

「アンプに負けんな!!」

「Yeah Yeah Yeah!!!」

「もっといける!!」

「Yeah Yeah Yeah!!!」

「いいねレイボー!!」

「Yeah Yeah Yeah!!!」

「Yeah Yeah Yeah!!!」

「Yeah Yeah Yeah!!!」

「ラスト1回!!!」

「Yeah Yeah Yeah!!!!!」

 ───計9回目のコールを以て『No Limiter』を〆、続けざまに碧の4つ打ちドラムソロが入る。

「みんなのおかげで最高のノーリミでしたありがとう!そんでもってもっともっと動きたいよなレイボーのみんな!!」

 そうマイクに声を入れて、できるだけステージぎわまで前のめりになってオーディエンスを煽る。

「『Crap&jump!!』…踊れますかEverybody!!?」

 歓声を浴びて、緋は笑うとストラトキャスターを掻き鳴らす。黎はエフェクターを踏み、より歪みを増したサウンドで奥から脳へと殴り掛かる。より激しく、ヘビーなサウンドへと大幅なアレンジを入れた『Crap&jump!!』を披露し、そして流れるように繋ぎのセッションへと移行。

 緋はストラトキャスターをスタンドへと降ろすと、モノローグの鍵盤に手をかける。そして流れる、重たく神秘的なフレーズ。それがループする中で、緋はさっと水を飲むとスタンドからマイクを抜き取る。

「まだまだおどりないですか?」

 皆が声を上げる。シンセサイザーとベースと小さくなり続けるシンバルロールが奏でる荘厳な雰囲気の中で、少しボリュームが落とされた返事。しかしながら、心の奥底でふつふつと滾ってくるグルーヴ感は確かにある。

まれて来たでしょ?<Chandelier>のせかいに」

 照明さえ、もはや芸術。まるで水族館にいるかのような感覚になる。

「『Nadeshiko』という曲です。味わってって下さい」

 緋が体を揺らすのと同時に、一斉にイントロに入る。

 圧倒的なチームワークと、それがもたらすグルーヴ。<Chandelier>の真価を惜しみなく出し切る。

 アンビエント・和・ロックとでも言おうか。シンセサイザーの電子音と、淡い照明による神秘的な雰囲気。メンバーで仲良く喧嘩しながら作り上げた、今までのハードロックとはまた違う方法でサウンドを体と脳に浸透させる。

 原型を留めないほどにアレンジされた『Nadeshiko』を披露し、アウトロから続けて『SkyBurst』。さらにこの雰囲気を纏ったまま『Scar』へと移る。これも、『Scar - Ambient Version.』と銘打っていいほどのアレンジバージョン。元々の激しいロックとは打って変わって、幻想的な雰囲気で『Scar』の演奏は進み、そのアウトロの〆を以て一旦MCを挟む。

「…改めましてこんばんは、<Chandelier>と申します!」

 声を上げてくれるオーディエンスの反応を見ながら、話を進める。

「えーっと、私たち<Chandelier>は、バンドのコンセプトとして、最っ高にオシャレなロックを掲げているんですけど、どうですか?オシャレだなって思ってくれてますか?」

「オシャレ!!」

「ふふっ、ありがとうございます。…それで、もちろん知ってる人もいると思うんですけど、私たちの曲って、ライブのたびにアレンジを重ねていって、気がついたら歌詞以外全くの別物になってるっていうことが結構あるんですよ。ね、蒼」

「そうね。最近だとやっぱり『Nadeshiko』がライブの定番曲になってるけど、最初のバージョンを覚えてる人はいるのかしら」

「ね。私も正直思い出せないくらいなんだけど。…でも、それくらい私たちは音楽が好きで、もっともっと良いライブがやりたい、みんなと一緒に盛り上がりたいって想いでバンドやってます。なので今日も最後まで全力で皆さんのこと楽しませてくので。最後までお付き合いください!!」

 水を飲んでストラトキャスターを拾って4フレットにカポタストをはめる。

「───」

 息を吸って、アルペジオを弾いていく。ほんの数十秒のソロ。そこからジャラジャラと掻き鳴らして、マイクに向かう。

「こっから上げていくぞ!!」

 歓声に答えるように、曲名を告げる。

「This one's called,…『Shake it all off』!!」

「──ッ!!!」

 ──ドロッドロの油に着火させる。そんな、激しくはじける爆竹のような凄まじいイントロをこの世界に叩きつける。

 感情を掻き立てるメロディと、英語で語られる熱くも優しい歌詞。蒼のコーラスも添えられ、もはや無敵とも言えるバンドサウンドでフロアを飲み込んでいく。リズムとメロディの根幹に陣取るベースとボーカル。本来あるべきバンドの常識から逸脱した、ボーカルのリズムに合わせに行く脅威のドラム。

 このバンドの始まりの曲。起源にして頂点とも言える『Shake it all off』をさらけ出し、ラスサビ前。

「──行くぞ下北ぁぁあ~~ッ!!!」

 これまた恒例となった、蒼によるシャウト。そこから繰り出される最高潮の盛り上がりをキメるアウトロを引き伸ばしてシームレスに『どうか、天空の星まで』のイントロへと繋げる。

 緋の歌声に続き、カポタストを取り払った黎のES-335のタッピングにより津波のように押し寄せる強烈なエモが色々な感情を刺激する。

 最高潮の昂りを迎えたところで、もうこのライブも最後の曲へと移る。

「これで最後の曲になります!!皆さん今日は本当にありがとうございました!<Chandelier>でした!!」

 ストラトキャスターを頭上まで持ち上げて弾き、スタンドに降ろしてマイクを手に取る。

「『スターゲイザー』!!」

 緋の体の動きと蒼のベースが取るリズムに黎のアルペジオ、そして碧のドラム捌きが合わさる。

 寂しさと切なさ、情熱とエモさを絶妙なバランスでブレンドした音色が響き渡る。

 観客が上げてくれる手。ノってくれる手。一体となって、最後の最後まで<Chandelier>の作り上げる世界観に没頭する。蒼と、黎と、碧と。3人と目を合わせながら、体の動きを共有して、演奏を進める。

 本当に一瞬だった。『スターゲイザー』を歌い終わって、アウトロが終わっていく。この40分が、本当に一瞬のように感じた。ほんの刹那の閃光のように、消えていった。

 音が止んだのと同時に、名残惜しい気持ちと、やりきってやったという気持ちのふたつを半分づつ持ち合わせながら、感謝の言葉を告げる。


「──ありがとうございました!!」




◇◇◇




 全力を出し切った。ストラトキャスターとモノローグをケースにしまって椅子に座ると、緋は緊張が解けて蒼の肩にもたれかかる。

「やりきった」

「ええ。お疲れ様」

「ん。…でもまだ……倒れるわけにはいかない……」

「そうだね。すみれさんの評価、すなわちあたしたちの今後のバンド人生の是非を聞くまでは、リーダーにくたばってもらうわけにはいかない」

「…だね」

 緋は立ち上がり、ペットボトルの水を飲み干す。

「ふぅぅ……。ライブ前より緊張するけど、大丈夫。私たち、最高のライブができたよね」

「ええ。間違いなく過去最高のライブだったわ」

すみれさんの心も、きっと掴んめたはずですよね」

「うん。さぁ、行こう!」

 ……と、楽屋から出たその瞬間にはもうそこにすみれが陣取っていた。

「す、すみれさん!?」

 4人は彼女の顔を見る。目は真っ直ぐ。何かを確信したかのような、綺麗な目をしているように感じた。

「どうでしたか?私たちの、<Chandelier>のライブ───」


 ───菫は緋の肩に手を置き、グッと近くに寄った。


「!?」


「───是非うちからデビューして下さい!お返事はすぐにとは言いませんから、どうか、考えて下さると嬉しいです!」


「は、はい……!」


「……。それでは。いいお返事を期待しています」


 それだけ告げて、すみれは階段を登っていく。


 そして、誰もいなくなったその空間を、4人はただただ見つめていた。

「……認められたの……?私たち……」

「そうですね…!だと思いますよ…!」

「私の音楽が……?」

「そういうことでしょ…!」

「ほんとに……?夢じゃない?」

「夢みたいだけど、夢じゃないわ。現実よ、緋!」

 蒼のその言葉を聞いて、これが本当に現実で、自分の音楽が認められて、今までにやってきたこと全てが報われたのだと実感した。

「~~~~ッやったぁぁぁあッ!!!!!ありがとうみんなぁ!!!!」

「わ!?」

「うぁ!?」

「もうっ!」

 緋は思いっきり3人を抱き締めた。

「やったやったやったやったやったぁぁあっ!!!」

「私も嬉しい!!!」

「子供かって!!もう!!」

「はしゃがないで下さいよ!!ここ廊下なんですからね!!」

 なんだかんだ言いながら、緋と蒼を中心に4人だけのモッシュをかなり長い間続けていた。




◇◇◇




 ───翌朝、朝一番に返事のメールをした。



「蒼!もういても立ってもいられないの!路上ライブやろう!!」

 昨日の興奮は一晩明かしても収まりきらず、嬉しさのあまり私は蒼と2人で路上ライブに駆り出した。

 平日の昼間ぴるまから、公園へ駆け出して、ただ子供が遊ぶように、全力で音楽を奏で散らした。

 どれだけやっても、この熱が治まることはなく、むしろもっと、もっと、と貪欲になり、溢れ出した衝動は体の無理を無視してただ音楽だけを貪り食うようにやり続けた。


「……ひいろ。少し休みましょう?」

「えぇ?……まだやり足りないんだけど」

「体壊すわよ」

「大丈夫だって。こんなに元気なんだ…し……?」

 ふらりと体が平衡感覚を失って蒼に倒れ込む。

「あ…れ……?」

「……言わんこっちゃない。さっきから少しおかしいと思ってたのよ」

 蒼は緋の額に手を当てる。

「熱があるわね」

「えぇ…こ…これは体動かして火照ってるだけだし」

「体が震えているわ」

「これは……武者震い」

「明らかに顔色が悪いし寒気さむけを感じているわよね。鼻声だし」

「………あおいとライブやりたい」

「それは嬉しいけど……ひいろ。体調が万全じゃないきゃ、いいライブはできないと思うわ」

「むぅ……」

「今日はこのくらいにして帰るわよ」

「………はぁ。わかった」

「よろしい」

 緋と蒼は片付けをして、帰路につく。

 少し歩くと頭がグワングワンと揺れるように視界が揺れるようになり、とても真っ直ぐには歩けず蒼に寄りかかりながら家を目指す。

ひいろ、大丈夫?」

「うん………大丈夫………」

 そう言いながら、行動は矛盾しておりその場で倒れた。

「…あたまいたい……」

「あと少しだから……もう少しだけ頑張って…!」

 蒼に寄りかかりながらなんとか家までたどり着く。

 家に着くと、心配そうに母が駆け寄って来てくれた。

ひいろ!?どうしたの!?」

「熱を出して……。すぐ寝かせます」

 靴を脱がされ、機材を玄関に置くと、あおいは階段へ向かおうとする。

「まって…先お風呂入ってから…」

「だめよ。危ないわ」

「ぇぇ……」

「……はぁ。しょうがないわね…」

 蒼は断れず、緋と風呂場へ向かう。

「シャワーだけよ」

「……うん。入らないよりマシ…」

 こんなわがままを聞いてくれる蒼には本当に頭が上がらない。

 フラフラのまま蒼と一緒にシャワーを浴びて、髪を乾かして、それでようやくベッドで横になる。

「……あおい…」

「なぁに?ひいろ

「……私……ほんと、ダメ人間だけどさ……」

「そんな事ないわ。私は貴女のことをダメ人間だなんて思ってない。私がいてあげないとダメだとは思ってるけど」

「……ずっと一緒にいてね……」

「ふふっ、今さら何を言い出すかと思えば。…私からもお願いさせて。ずっと一緒にいてね、緋」

「ん……」

 目を閉じる。蒼に寝かしつけられて、少しずつ楽になっていく。

「よく頑張ったわね。…よしよし」

 優しい声と、撫でる手。

「貴女と出会えて、本当に幸せなの。それなのに、更に一緒に音楽までできて、デビューも約束された。…こんなに貰っちゃっていいのか、私もよく分からないけど……。でも、良いわよね。この世界には、全く同じ生き方をした人間はいない。だから、『1番』ってものがあると思う。私はこの世界で1番幸せな人なのよ、きっと」

「…………なら、私も……そう…かな……」

「そうできるように頑張るのが、私の使命。貴女を、私が世界で1番幸せにしてあげる」

「……うん。……あおいなら、できるよ。絶対に……」

「ええ」




……To be continued

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