第51話【幽霊船】
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ここから第5章です。
春時雨も過ぎ去り、新緑を爽やかな風が撫でる5月初週の公園で、今日も4人組ガールズロックバンド『ScarletNight』は路上ライブを終え、片付けをしていた。
「───貴女、終緋ちゃん?」
───黒髪のミディアムボブの少女に話しかけられた。少し大人びた顔をしており自分より歳上のように見える。
ギターケースを抱えた彼女は、何も見えていないかのような暗い瞳で緋を見る。
「そうですけど…」
「…これ」
手に持っていたギターケースを差し出される。
「…はい?」
「…貴女に。…何も言わずに受け取って」
「え?」
緋は、強引に押し付けられたギターケースを受け取ってしまう。
「………それじゃ」
「あっ…待って!」
泣きそうなのを堪えるような、歪んだ顔をして、彼女は走り去ってしまう。
「………」
「緋……」
「知り合い?」
「ううん、知らない人」
「…爆弾とか入ってたりはしないわよね?」
「私が開けてみます」
黎は緋からギターケースを受け取り、地面に置くとファスナーを開けていく。
「……!」
中身は、サンバーストのFender・ジャズマスター。
「………先輩のと一緒……」
見覚えがあると思えば、緋の先輩、凪幌歌の持っていたギターと同一のもの。たまたまかもしれないが少し気にかかる。
「先輩っていうと…この前助けてくれた人か」
「……なんでこれを……」
「でも、同じ機種ってだけでしょ?サンバーストのジャズマスなんて別に珍しいものでもないし」
「ファンって感じでもなかったし、何の理由もなくギタープレゼントなんてしないでしょ…」
「………」
「…緋さん……」
「……」
緋はケースからジャズマスターを取り出してみる。
軽く、サイズ感も丁度良い。そして指板の触り心地も良好。凄まじく良いギターだ。
そして、ギターの下に、封筒が。
「封筒…?」
小さな白い封筒。ボールペンで「緋へ」と書いてある。
「…やっぱり幌歌先輩のとしか……」
「………じゃあ、あの人は誰なんだ」
「……調べてみます?」
「………お願い」
黎はSNSで『凪幌歌』で検索をかける。
「……ありました」
「案外見つかるものね」
「…スリーピースガールズロックバンド『星の海の幽霊船』。メンバーは、凪幌歌、ギターボーカル。諸星優鳴、ベースコーラス。椿美海、ドラムスコーラス。…さっきの人は、ベースの諸星優鳴って人だと思います」
「投稿は…?」
緋は恐る恐る聞く。
「……先月に新宿でライブがあったみたいなんですが……」
「……」
「───」
ライブの告知ツイートの次、最新の投稿はこうだ。
『星の海の幽霊船、並びにギターボーカルの凪幌歌を応援してくれたファンの皆様、本当にありがとうございました。彼女がこの先も皆様の心に生き続けてくれることを願います』
「…………」
「……これじゃまるで……」
「……」
黎はさらにリプ欄を覗く。
『絶対に忘れません』
『最高の音楽をありがとうございました』
『ご冥福をお祈りします』
「……先輩が……?」
「緋……」
───楽器ぶっぱなして、歌ってる間だけは私は本当の私でいられた。だから、生涯やめることはないだろうな。…ま、その生涯がいつまで続くかは知らないけどな。
先輩がそう零した時、彼女の顔はどういう顔だっただろうか。
笑っていただろうか。そんな気がする。でもその裏に、この世界に未練があるような、寂しそうな顔をチラリと見せていたような気がする。まるで、そう遠くない未来の死を受け入れるような、そんな。
「……どう…して………?」
先輩は強い人だったと思う。自分では強くないと言ってはいたが、少なくとも私の目には、彼女は強い人に見えた。弱さも受け入れて、それでも諦めはしない強い心を持っていたはずだった。
そんな人が、どうして命を落とすのか。
私に死ぬなとキツく言っておいて、こんな。
「……」
封筒を開けてみる。
『緋へ。この手紙を読んでいるということは、私はもうこの世にはいないんだろう。…なんてな。ありふれた導入だが、実際そうなるんだから仕方がないだろう。突然の事でビックリしているとは思うが、どうか最後まで読んで欲しい。私は不治の病に犯されていたんだが、まあ治療費が出せるわけがなくてね。ずっと放ったらかしにしてたんだが、先日、遂に余命宣告を受けたんだ。あとだいたい1ヶ月しか生きられないみたいなんだよね。でも、あまり実感は湧かないな。生き物というのはいつか死ぬものだ。例えば、人は80年生きるとして、つまりは生まれた瞬間から余命宣告を受けているようなものだ。それと同じだよ。…なんて、そんなことはどうでもいいんだ。…君にひとつお礼をさせてくれ。君という可愛い後輩がいたから、私の音楽は輝いたと言っても過言では無い。この際だから言うけど、私は君のことが好きだった。脆くて危なっかしくて、放っておけない。捻くれてて、冷めてはいるけど、純粋で真っ直ぐで、優しい心を持っている君といると楽しかった。そんな君に先輩と呼ばれても恥ずかしくないような先輩でいられるよう、私は頑張ったつもりだよ。君のおかげで少し寿命が伸びたんじゃないかとも思っている。……まずいな。余計なことしか書けない。伝えたいことを言葉にするのって難しくてさ。…もう言葉にするのはやめるよ。1枚CDを付けておくから、落ち着いたら聴いてくれ。…最後に。私が死んだ後、ギターは君に託すことにした。どうか、大事にしてくれると嬉しい。今の君には仲間がいるからこれはいらない心配かもしれないが、もし万が一、自分に自信が無くなって死にたくなるようなことがあれば、こいつを見て私を思い出してくれ。生きてるうちは死ぬなよ。 幌歌』
ジャズマスターを触る。
「先輩……」
「緋……」
蒼が寄り添う。
「……蒼…」
「…もう帰るわよ。1度休んで落ち着いた方がいい」
「………うん」
帰り道は、蒼に寄りかかって、必死に落ち着きを取り戻そうとした。
突然、あの人は死んだらしいなんてことを言われても、なかなか実感が湧かない。けれど、それを言われた事実に変わりはなく、それに心が追いつかなくて変に鼓動が激しくなる。
幌歌先輩には悪いが…いや、別に悪いとも思っていないが、少なくとも私は先輩がいないと生きていけないとか、そんな風には微塵も思っていない。2度も命を救ってもらった恩や、今に繋がる行動を起こすために背中を押してくれた出来事への感謝はあるが、今の私にとっては、それまでだ。冷たい言い方になるが、本当にただ、それまでの感情しか私は持ち合わせていなかった。大切な人、とまではいかない。私を救ってくれた人、という、私にとって格が上の存在だったから、私なんかに大切にされるなんて違う、みたいな、そんな関係だ。
そんなふうに思っているのだが、知っている人が死ぬというのは、思っていた以上に精神的にキツいものがあると実感した。
別に会いたいとも思わないし、寂しいとも思わない。けれど、ただ『悲しい』と思う。涙も出ないけれど、ただ、ただ、『悲しい』とだけしか、この気持ちを表すことができるであろう言葉を知らなかった。
◇◇◇
「………」
小さな墓の前で、諸星優鳴は膝を抱えてうずくまった。
「これで良かったの?幌歌」
ただの石は応えてくれない。
「…私…弱くてさ……何も伝えられなかった。ジャズマスは幌歌の形見みたいなものでしょ。それを人に渡させるなんて、よくもまあそんな残酷な仕事頼んだね。意地悪。私にくれてもよかったでしょ。…私は幌歌に救われて人生に意味を見いだせたんだよ。幌歌がいたから私は生きていけたのに。…たった2年でも、私は幌歌がいないと生きていけないくらいには幌歌に助けられてた。でも、幌歌の心は私じゃなくて後輩ちゃんに向けられてたわけだ。…ちょっとというかだいぶショック。…どうせなら天国まで持ってけば良かったのに。…あ、あっちでもっと良いギター買えばいい、って?…幌歌らしいけどさ……。…って、私なに石ころに向かって話してんだろ……幌歌はもう灰になったのにさ」
思い出すのは初めて出会った時のこと。
無気力に惰性で息をするだけの日々を送っていた私は、なんとなく入ったライブハウスで幌歌と出会った。
生まれて初めて、生の演奏の音を体験した私は思わず「すご…」と呟いた。それに、隣にいた幌歌は「そうだね。私にもやれるかな」と返した。
「やるの?」
「ああ…。やっぱり音楽でしか生きていけないと思ってね。君は?」
「私は……特に何も。スカスカな人生送ってて」
「じゃあ私と一緒にバンドやってみないかい?」
「は…?」
無理だと断ったが、彼女は何でも知っているのかという程に、真ん中を貫いたような言葉を繰り出す。
「君はこのままでは何者にもなれないまま消えていく。そしてそれを仕方ないと受け入れてしまっている。人間誰しも必ず死ぬ。ならば人生に意味は無いのか?だから何をしても意味が無いと?違うだろ。せっかく命があるんだから使えよ勿体ない。意味なんてなくたっていい。どうせなら楽しんでやればいい。いいか?君のような人に必要なのは“娯楽”だ。音楽というのは人類が生み出した最大の娯楽だ。どんな状況からでも人生に彩りを与えられる、万物へのドーピング剤みたいなものだ。どんなに辛くても、どんなに無気力でも、元気が出る曲というものがこの世に存在する。楽しい気分を更に増幅させる曲もある。ドラッグみたいな中毒性はあるが、体に害はないしむしろ体に良い。騙されたと思ってやってみないかい?人生終わってる奴がドラッグに手を出す感覚で。おっと、最後の一言は余計だね」
そんな彼女に、私は引っ張られるように…言い換えれば、半ば無理矢理に。バンドをやることになった。私と同じように、彼女がどっかで出会ってきたドラマー、美海を仲間に加え、3人体制でロックバンド『星の海の幽霊船』として、私たちは私たちの音楽を人々へ届けていった。
この3人なら、私たちは世界をも取れると思っていた。流石に言い過ぎかもしれないが、それくらい手応えを感じていた。
しかし、それも長くは続かなかった。
バンドを組んで1年と少し。LEVORGERというロックバンドのライブハウスツアーの下北公演のオープニングアクトを任されていたのだが、公演の2週間前になって幌歌の様子がおかしくなり始めた。
歌唱中に咳き込むことが増え、歌うことが辛そうに見えるようになった。
「……まずいな…ちょっと頑張り過ぎたかな……」
「幌歌…」
スタジオで練習中、幌歌はついに膝をついてしまった。
「……幌歌。LEVORGERのオープニングアクト、今からでも辞退しよう」
「美海…」
「……はは…その方が良さそうだね……迷惑かけるわけにはいかない……ギリギリだけど……前日とか当日よりはよっぽど良い」
ギターボーカルを務める幌歌の体調不良で、星の海の幽霊船はオープニングアクトを辞退。その代わりは、ScarletNightというバンドがやってくれることになった。
そして、日が進んでも、幌歌の容態は良くなるどころか悪化していく一方だった。
練習を減らし、ぶっつけ本番でライブをやることで幌歌はなんとか調子を保っていたが、2月、流石に私は我慢の限界だった。
「……幌歌。病院行って」
「嫌だ」
「なんで」
「貧乏バンドマンに、そんなところへ行く時間も金も無い」
「…行くだけでも……」
「行ってどうする。風邪ですねで済まされたら勿体ないだろう」
「そんなわけないじゃん」
「………」
「美海も何か言ってよ。幌歌やっぱりおかしいよ」
「……幌歌は嘘つくの下手」
「……」
「最近の曲の歌詞、明らかに遺書じみた歌詞になってる。…あれはそういうことなんでしょ」
「………」
「………え……?」
私は幌歌と美海の顔を交互に見る。
「………待ってよ………え?は?…意味わかんないんだけど……何、遺書って……」
「私だって考えたくなかった。でももうあれはそういう世界観じゃ片付けられない曲だよ。ストーリーじゃなくてあれは幌歌の本音なんじゃないの?」
「………あはは……流石に1年半くらい一緒にバンドやってればバレるか…」
「………ぇ…?」
「実は病院にはもう行ったんだ。……余命はだいたい1ヶ月らしい」
「……ぇ…」
「嘘……」
「…具体的に言えば、肺癌ステージ4。もーう助からないみたいだ。最初になんとかできれば良かったんだろうけど、無理なお話だったね。身寄りのない孤児、アルバイトとバンドだけやってる18歳には、運命を楽観的に受け入れるくらいしかできなくてね」
「………待ってよ……」
私は思わず幌歌に飛びつく。
「なんで!?なんで言ってくれなかったの!?幌歌のためなら私なんだってしたよ!?バイト代も全部出したし足りないならこの体を売ってでも治療費にしてあげたのに!!」
「…君にそんなことをさせたくないからな」
「ッ………幌歌……ッ…幌歌ぁ……」
「………すまないな。…美海も」
「……人の命は大事にするくせに、自分の命にはとことん無関心なんだ。……最低だよ幌歌は」
「だろうね」
「…私はともかく、優鳴はあんたに相当依存してるよ。…自分で私たちを誘っておきながら、放ったらかしにして消えるなんて許されたものじゃない。幌歌。あんたがやろうとしてること……いや、あんたがやってるのはあんたの親と一緒だよ。子供作るだけ作って捨てる。それと同じようにあんたはバンド組んでそのメンバーを置き去りにしようとしてるわけ。わかる?」
「……分かってる」
「生涯音楽をやめないって言葉に嘘は無いにしても、その生涯が短いんじゃ言葉に重みが無いよ」
「…分かってる」
「美海やめて…」
「やめない。責任もって生きてバンドやるって言ってよ幌歌」
「……余命1ヶ月だよ」
「伸ばせ。気合いで」
「無茶を言う……」
「2ヶ月先まで毎週ライブ出演申し込んどくから」
「もう1ヶ月生きろって?」
「せめてあと60年くらいは生きて」
「無理だね」
「現実なんか見てないで夢を見てよ!!バンドってのは運命共同体なんだって!そう言ったのは幌歌だよ!!黙って私たちの運命一緒に背負えよバカ!!」
「………しょうがない奴だな…君たちは……」
幌歌は私を抱き返し、美海も一緒に抱きしめる。
「…癌に音楽がどれくらい効くのか……私たちで確かめようか」
「…うん」
そう言ったものの、結局、私たちがやることは変わらず、制限時間が曖昧な中で、目に見えないまま迫り来るタイムリミットに怯えながら、幌歌の生きた証を作っていった。
そして4月半ば。2月に申し込んでいた分の最後の公演を終え、幌歌は音を止めた。その後にも3月に申し込んでいた公演が控えていたが、届かなかった。1ヶ月だった余命を2倍に伸ばしたといえば、まあ奇跡みたいなものだろうが、私たちは願わくばこのままずっとバンドを続けたかった。
バンドの要であるボーカルを失い、星の海の幽霊船はその活動を終了した。
「……ねぇ幌歌……私、これからどうしたらいいの?生きる意味を失って……またスカスカな人生に戻っちゃった……」
しゃがみこんだまま、また石ころに話しかけてしまっている。
「…会いたいな……幌歌……」
そのまま、地面に倒れる。白いスカートも上着も全部土で汚れてしまうが、もう何もかもがどうでもいい。
私にとってのドラッグは幌歌だった。薬の切れたジャンキーのように、私の心は彷徨い果てている。
「幌歌のいない世界なんて……私…いたくない……」
◇◇◇
私の腕の中で、緋は私をギュッと掴んで離さない。
「……蒼」
「なに?」
「…離さないで」
「離さないわよ」
精一杯、彼女が不安にならないように抱きしめる。
本当に綺麗な心を持っていて優しい人なら、きっと壊れそうな人をすぐに笑顔にできるのだろうが、私には、緋の不安が薄まるまで、安心するまでゴリ押して塗りつぶすことくらいしかできることがない。
でも、私は誓った。私が緋を守ると。たとえどんなに悲しい出来事があったとしても、そばにいてあげる。緋が心の底から笑って、泣いて、何かを堪えることがないように。本当の感情を全て受け止めてあげられるように。
「…ねぇ緋」
「…ん…?」
「……私はずっとそばにいるわ」
「うん」
「貴女の知らない所で死んだりなんかしないから」
「うん」
「………」
本当は、少し嫉妬している。緋が私以外の誰かと仲良くしていたなんて正直死ぬ程ムカつく。けれど、緋が凪幌歌という人物に救われていたことも事実だ。あまり酷いことは言えないし、むしろ私は彼女に感謝するべき立場にいるのかもしれない。
「……蒼」
「なに?」
「…ありがとう」
「……別に、お礼なんていらないわ。……私、こんな時でも嫉妬するくらい、ダメな人間だもの。嫌われてしまわないかビクビクしてるくらいよ」
「嫉妬…?……先輩に?」
「……私には緋しかいなかった。緋も同じように、私しかいないんだと思っていた。……お世話になった人が亡くなって、悲しいと思うのは普通なのに、それにすら私は負の感情を向けてしまう」
「…安心して。蒼への感情と先輩への感情は違う。先輩には2回くらい命を助けられたけど、先輩をどう思うかっていうと……ただ、凄い存在、っていうか…歌みたいな人だった。…歌そのものみたいな。なにかひとつ、核心を突くようなことを言って、背中を押す。一緒にいて心地良いとか、好きで好きでたまらないとか、そんな人じゃないから」
「…そう。ならまあいいけど。…いいえ、よくないわよね。死んでるわけだし、あまりそういうことは言わない方がいいわよね」
「……うん。……でも、蒼がこうしてくれたから少しは落ち着いた。……だから言えるけどさ。……人って死ぬじゃん。どう足掻いてもさ…」
「それはそうだけど……」
「…きっと、やり残した事とかも数え切れないくらいあると思う。…だから先輩は……私にギターを託したんじゃないかな。本当のことは先輩にしか分からないけど」
「…CD、聴いてみる?」
「……うん」
───CDをCDプレイヤーにセットし、再生ボタンを押す。
先輩のジャズマスターが鳴り、メンバーのベースとドラムが押してくる。
先輩の体から放たれた歌声はかすれていて弱弱しいが、それでも奥には確かな強さがあった。
嘘が下手で、自分のやりたいことを曲げることはしない人だ。ライブに呼んでくれなかったのはきっと、弱々しい姿を後輩の私に見せたくなかったからだろう。強い先輩でいたかった、なんて、そんな意地で、こんな別れ方をさせる。頭が悪いし、きっともっといいやり方があったと思う。けれど、先輩らしいとは思う。
歌詞はきっと私に向けられたものだろう。先輩と過ごした1年間や、廃屋で助けられた時のことを想起させる歌詞だった。
「…………」
余白。
静まり返った部屋で、私は蒼に身を預けた。
「……蒼」
「なに…?」
「蒼はもし私が先に死んだらどうする?」
「すぐに後を追って死ぬわね。…ずっと一緒にいるために」
「…そっか」
「…緋は?私が死んだら」
「私も同じかな……蒼がいない世界なんてひとつも面白くない」
「…音楽はいいの?」
「蒼がいないとなにも始まらないんだもん」
「…そうね」
「……ラブソング書いていい?」
「自由に書いて」
「もう少しこのままでもいい?」
「どれだけでも」
……To be continued




