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<スカスカ>  作者: 連星霊
第4章【渇望】
45/75

第45話【入院とニューギア】

フラッシュシャインフェスティバル、通称『閃光フェス』の1stステージ、音源審査の結果を待ちつつ、ScarletNightは今まで通りコツコツと路上ライブでファンを増やしていた。

「やっほ!私たちのこと覚えてる?」

路上ライブ終わりに、見た事のある少女2人が緋たちの前に現れた。

「Blueloseの…妃乃愛と、凜々華だよね」

「覚えててくれたんだ。良かった」

「紫音の友達だし」

「どうしたんだ?たまたま通りかかったってわけでもなさそうだけど」

「まーね。ちょっとスカナイにお願いがあってさ」

「お願い?」

「──私たち、今年のどっかで主催ライブやる予定なんだけど、もし良かったらScarletNightも出演してくれないかな」

「主催ライブ?出たい出たい!」

「お、意外とあっさりOKしてくれた」

「ライブならどれだけでもやるよ。来る者拒まずだよ」

「風の噂で聞いてるよ。スカナイはライブ大好きらしいじゃん」

「まあ、否定はしないかな」

「あ、会場は新宿のLEFTってライブハウスの予定ね」

「レフトって言ったら結構有名どころじゃねぇか」

「そうなの?」

「まあそうかもね。500人規模だし、中堅には丁度いいキャパなんだよね」

「500人……」

「200人規模の箱でしかやってこなかったから、ワンランクアップって感じになるな」

「チケット捌けるかな……」

「うちらも頑張って集客するし大丈夫だよ。それに、スカナイなら絶対行けると思ってる」

「そう?」

「そうだよ。実力あるバンドだよ。まあ、私に言われてもあんまりピンと来ないかもしれないけどさ」

「ううん。ありがとう」

「ん。あ、連絡先交換いい?」

「あ、うん」

緋は妃乃愛と連絡先を交換する。

「うはは~!緋の連絡先ゲット!!」

「そんなはしゃぐほどか?」

「はしゃぐでしょ。むっちゃ可愛い子の連絡先ゲットしたら女でもはしゃぐよ当たり前でしょ」

「顔が既に最強な上にスタイルまで良いの羨ましいわぁ。どうやったらそんな大きくなるの?」

「そんなこと聞かれても……」

「これは遺伝だと思うぞ」

「あー」

「緋のお母さんもそんな感じなんだ」

「え…うん。まあ」

「顔もそっくりだからな。初めて見た時ビビったぜ」

「へぇ。いいなー、私も見たいなぁ緋のお母さん」

「うち来れば見れるけど」

「え、家行ってもいいの?」

「特に用事が無いならお断りよ」

「えー。……ってか、なんで蒼が…?」

「ああ、諸事情で私とお母さんは蒼の家で暮らしてるから」

「諸事情……。なかなか闇が深そうだから触れないでおこう」

「そうしてくれると助かる」

「まあいいや。あ、ライブにお母さん呼ぶの?」

「んー、どうしよう」

「せっかくですし、呼んでみたらどうですか?」

「そうだね…。うん。来てくれるかどうかは分からないけど、一応声だけはかけてみる」

「おお、サンキュー。緋ママ楽しみ~」

「来るとは限らないからね?」

「分かってるって。…それじゃ、うちらはこれで。詳細は後々連絡するから」

「はーい」

妃乃愛と凜々華は去っていく。

「…Blueloseも頑張ってんだな」

「うん。私達も頑張らないと」

「そうね」

「はい」




◇◇◇




「緋、蒼ちゃん。おかえりなさい」

家に帰ると、緋の母である茜が出迎えてくれた。

「ただいま、お母さん」

「…ふふっ、ただいま」

「蒼?」

「ううん。微笑ましいなって」

「そう?」

「ええ」

「お風呂沸かしてあるからね。一息ついたら2人で入ってきていいよ」

「ありがと」

「ほんとありがとう。何から何まで」

「いいって。蒼ちゃんには感謝してもしきれないくらいに恩があるし、緋には今まで沢山辛い思いをさせてきた。……もう自分を見失いたくない。ちゃんと愛してあげたい。大切な娘を」

「…ええ」

「…だから、できることはなんでもやるし、夢も応援する。…今はまだ少し外が怖いけど、少し落ち着いたら、ライブも見に行きたいな」

「見に来てくれるの?」

「うん。路上ライブとは迫力も違うんでしょ?ライブハウス」

「うん。凄いよ」

「そっかぁ。楽しみ」

「私も。お母さんが来るの楽しみに待ってる」

居間で荷物を下ろす。

「……」

「緋?」

緋は下ろしたギターケースを眺めて固まる。

「……この子にも感謝しないとな、って」

「…そうね。私が緋と再会できたのも、そのギターがあったからだものね」

「うん」

緋はケースを開ける。傷だらけの白いギターが姿を現す。

「…私の恩人……いや、恩ギター?まあ呼び方はともかく、ストラトのおかげで私はここまで生きてこれたんだし。感謝を込めて、そろそろ塗装も治してあげたい」

「…そうね。大切な緋の相棒だものね。…Blueloseのライブに、一次審査通過すれば閃光フェスも控えてるし。綺麗な状態にしておくのは良い事だと思うわ」

「蒼…」

「明日にでも、楽器屋に持って行ってみましょうか」

「うん。そうする」




翌日、緋と蒼は楽器店を訪れた。

「ここって…」

「蒼知ってるの?」

「ええ。…不登校になる決心が付いたのが、この店だったから」

「ここだったんだ」

「緋こそ、この店でギター治してたのね」

「うん。ストラト、最初は本当に酷い状態だったから、そこからの復活で色々お世話になった」

「じゃあ安心ね」

「うん」

2人は楽器店に入る。

「いらっしゃい。…あれ、お嬢ちゃん久しぶり。ストラトの調子はどう?」

「良好です」

「それは良かった。…それと、そっちの青い方のお嬢ちゃんは……どっかで会ったことあるよね?」

「はい。1年くらい前に、この店で人生相談に乗って頂きました」

「ん……ああ、ストラト眺めてた不登校ベーシストちゃんだ」

「え……まあ間違っては無いですけどどういう覚え方ですか……」

「まいいや。お嬢ちゃんたちはどういったご要件で?」

「ストラトのリフィニッシュをお願いしたくて」

「お~、遂に。演奏に関わるパーツは交換し終わったしね。ようやくか。ってことは、2本目手に入れたんだ」

「ふぇ?」

「……あれ、お嬢ちゃん前にリフィニッシュ諦めた時の理由忘れちゃったの?」

「………あ」

「…なに?どうしたの?緋」

「…1ヶ月近くかかるからその間弾けないのが嫌で塗装渋ってたんだった……」

「………ドジ…」

「う……」

「じゃあどうするの?再塗装やめる?」

「うーん……ストラトにも恩返ししたいし……」

「あ、じゃあお姉さんからひとつ提案が」

「なんですか?」

「お嬢ちゃんのお目に叶う2本目を見つけてみたらどうかな?」

「……2本目……」

「見たところ、お嬢ちゃんたちバンドやってるんでしょ?サブ機くらいは持っておいて損は無いと思うな。1本しかないと、もし仮に故障みたいなトラブルがあった時に対応できなくなる可能性もあるし。なにより、ギターを何本も持っておくことで、ギターごとのサウンドの違いとかで表現の幅が広がったりするしね」

「…確かに」

「せっかくの機会だし、どうかな?2本目を選んでみるのは」

「…分かりました。良いのがあれば」

「まいどあり!」

「まだ買ってないですけど」

「その顔は買うね。間違いない。あ、試奏は好きにしていいよ。お嬢ちゃんが楽器丁寧に扱ってくれるのは知ってるし」

緋と蒼はギターのコーナーへ。

「新品?中古?」

「中古でいいかな。同じ値段でも元が良いギターの方がいい」

「そう。予算はどうするの?」

「バイト代入ったし、少しくらい無理してもいいけど、あんまり使うと今後に不安残るからね…。5万かな」

「オーバーしそうなら私も5万くらい出すわよ」

「いいよ、蒼のお金でしょ」

「私はいいから。今はジャズベ1本で足りてるし」

「そう?無理してない?」

「してないわよ。緋のためなら、私に不可能はないわ。神だって殺せるわよ」

「神殺しまで……」

「…ほら。サブ機、選びましょ」

「うん」

中古のエリアへ。

「ストラト…」

Fender Player ストラトキャスター 3カラーサンバースト。

「…この色も良いなぁ」

「サンバーストね」

「…でもストラト2本かぁ…。…ジャズマスターも憧れだな……。あ、敢えてアコギという選択肢もアリかも」

「ストラトが使えない間の代わりでしょ?アコギにするとサウンド一気に変わるわよ」

「んー、確かに…。エフェクターも使えないし……いや、逆にアリかも……」

「アリなの?」

「私の好きなバンドも結構アコギ使ってたしさ。……あ、これとか好きかも」

6万6000円の値札が下げてあるアコースティックギターを手に取る。

「YAMAHA CPX1000…エレアコね。これならライブでも使えるわね」

「……」

サンバーストカラーのCPX1000を手に取ってみる。ストラップは無いので椅子に座って構える。

「蒼、ピック頂戴」

「どうぞ」

蒼からピックを受け取り、感覚でチューニングを合わせていく。

「何弾くの?」

「んー」

適当に音を鳴らしてみる。アルペジオよりストロークの方がしっくり来る。

「…ストロークの響きが良いな。だったら……」


───Shake it all offのイントロを弾く。


「───良い。エレアコ良いね…」


気持ちよく弾ける。サウンドがハッキリ響く。

「……この子良いね…良い…サブ機というよりは別の方向性だけど……ストラト入院中の間はこの子に命預けようかな」

「お。お嬢ちゃんそいつに決めたか」

「お姉さん…。はい。これにしようかと」

「まいど。私も結構気に入ってたんだよね、その子」

「そうなんですか?」

「まあね。それじゃ、ストラトちゃんはしばらくうちに入院かな」

「はい。…お願いします」

「あいよ。カウンター行こうか」

緋と蒼は、店員のお姉さんと共にカウンターへ。

「改めて聞くけど、痛い出費じゃない?大丈夫?」

「まあ……でも、全然です。…むしろ、傷が治るならこのくらいは。またバイト詰め込むだけです」

「そう。…お嬢ちゃんへの敬意も込めて、少し負けてあげよう。ギターと合わせて15万ね」

「いいんですか?」

「いいのいいの。中古価格なんて適当だし」

「え、それでいいんですか…?」

「少し厳しく査定したって思えば。…お嬢ちゃんが楽器大切にしてることは、今までしてきたリペアで分かってるし。このストラトは、良いギタリストの手に渡ったよ」

「そう…ですかね」

「そうだよ。…幸せだと思うよ、この子は。お嬢ちゃんみたいな可愛い子に大切にされて。…だから、私も責任もって請け負うよ。この子の本当の姿、復活させてあげるから」

「…ありがとうございます。よろしくお願いします!」

「ああ。任せろ。そんで、その子もよろしくね」

「はい」

ストラトキャスターを預け、CPX1000を受け取る。

「だいたい3週間から1ヶ月くらいかな。仕上がったら連絡する」

「はい。よろしくお願いします!」




……To be continued

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