1 異世界での始まり。
『ある日,目覚めてみるとそこは知らない場所であった。』
「えっと...これはおはようございます...でいいのか...?」
いつものように目が覚めると,全く知らない謎の場所に来ていた。
そこはとても幻想的な景色が見える崖だった。
「てか,ここがマジでここがどこかわからない話は一旦置いておくとして,そもそも今日って何年何月何日だ?」
僕,月下蒼は初めにそんな考えが頭を過る。
「とりあえず...どこにいるかもわからない。何をしたらいいのかもわからない。こんなときは探索がRPGのきほ――」
その時,声が聞こえた。
「助けて!!」
僕はひとまず急いで声のした方へ行ってみることにした。
――自分には何もできないかもと思いながらも。
「大丈夫で――」
その一言をかけようとした瞬間,気づいた。
ここは,間違いなく元の世界ではない。
ただ森が広がっているはずなのに,明らかにRPGゲームの序盤に出てくるようなモンスターがいたからだ。
「あー......」
「失礼しました」
僕は逃げるように去ろうとした。
「助けに来てくれたんだったら先に帰ってどうするの!?」
捕まったのかはわからないが動けなくなっている少女が一言。
それを聞いて,なんとかできないか考える。
「とりあえず...物理攻撃しかできることが無ぇ!」
「なんでこんな森に来るのに魔法の一つも覚えてないうえ武器もないの!?」
時間さえあれば武器の一つくらい作れそうだけどな...と思いながらただひたすらに殴り続けた。
「やっと...倒...せた」
「休んでるところ悪いけど早く助けてくれない?」
助けてもらう身としてその態度はどうなんだろうか。
初対面なんだがな。
「助けてくれてありがとう。とりあえず礼は行っておくわ」
「で,君は一体誰でなんでこんなところにいるんだ。。。」
「それについては移動しながらで話しましょ。ここにそう長時間もいたらまた残機が減っちゃう」
残機が減るって...一体どういう原理なんだ...
そんな謎をそのままにして,彼女とともに森を抜けた。
「それじゃあ改めて。私はベラン。駆け出し魔法使いにして,超級魔法を操る者よ!」
――魔法使い。その一言でさっきの気づきが確信に変わった。
「それで,君の名前ってなに?」
「あぁ,そうだな。僕は――。僕の名前は蒼だ。」
「あおって言うんだね!よろしく~!」
軽い自己紹介も終えたところで疑問を投げてみることにした。
「というか,いくつか気になることがあるんだが......超級魔法って一体?」
「そんなことも知らずにここまで来たの!?君の疑問の内容も含めて一体どこからやってきたの!?」
「とりあえず今は僕が聞いた疑問に答えてもらうターンだ。」
「...仕方ないなぁ。それじゃあ魔法についてから説明しないとだめかも~?」
「魔法ってあれだろ?体内にあるふしぎパワーでいろんな超常現象起こすやつ。」
「ふしぎパワーっていう謎語彙は置いておくとして,だいたいそんな感じ。魔法にもランクとか,属性概念があって~...」
淡々と魔法に関して説明をする彼女。
「魔法のランクとしては,上から『神級』『超級』『上級』『中級』『初級』『見習い』があるんだよ~。」
――さっき駆け出しって言ってたよな。超級って駆け出しで扱える程度のものなのか?
「属性でいうと私は炎と闇が得意だけど,ほかには水,土,風,光,影,草,爆,呪とかとか,いろいろあるんだよ~。」
追記するように発言する
「もっとも属性には適正があって適性がないと魔法自体使えないんだけどね~。私には炎と闇しか適正ないからそれしか使えないんだ~。」
「詳しく聞くと長くなりそうだなぁこれ...」
「魔法についての研究は書籍とかでもあるからそれで勉強してもいいかも~。」
「遠回しに投げ捨てたな!?」
「だって君が長くなりそうとかいうから~...。」
「じゃあせめてこれだけ教えてくれ。」
「なに~?」
一息ついてから疑問を投げる。
「ここって一体どこなの?」
「ここはエーラル王国の外れにある魔獣の森だよ~。」
エーラル王国。そんな国は聞いたことない。
「もしかして君って~?」
(異世界から来たことが透けたか...?これは...)
「もしかして君って――」