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0 ある日の一日。
「今日こそは絶対にクリアしてやるぞ~」
僕はいつものようにゲームを起動しようとした。
「あっ,でも今日は新しいゲームの発売日じゃん!買いに行かなきゃ!」
身支度を済ませ,外に出て行った。
「いや~買えてよかった,人気がすごいから買えないかと思った。さ~て帰って遊んでみるとしますか!」
帰り道。車に轢かれそうになっている猫を見つけた。
今から助けようとしても間に合わないかもしれない。
そう思っても,すでに体が動いていた。
「危ない!!」
そう言って飛び出した瞬間。背中に痛みが走る。
やっぱり車に轢かれたらしい。
朦朧とする意識の中で,ただ「猫を助けられてよかった。」それだけを思った。
「おい,お前さん!大丈夫か!?」「誰か!救急車を呼んでやってくれ!!」
そんなような会話が聞こえた。
数時間後,僕はわずかに戻った意識の中で,いままでの人生を振り返りながら,心で親に感謝を伝える。
(どうやら僕は,
死んでしまうらしい。)
この一瞬が人生最後になるかもしれない。そう思いながらも目を閉じた。