言の儘数え歌
白い夜更けに鴉は鳴いた
孵せ孵せと赤子の声で
渇いた眼が緋く濡れ
還せ還せと母が乞う
ひとつ等しく闇夜が降りて
ふたつ祓なる炎を焚べる
みっつ水面に産衣を浮かべ
よっつ四方つを迷いづる
いつつ抱いたおくるみ朽ちて
むっつ無垢なる瞳が閉じる
ななつ名前を御柱みはしらに
やっつ社やしろに姓を捧ぐ
ここのつ言の葉祝詞にのせて
とおで帳が地に臥せる
山の津波が全てを洗い
反せ反せと翁が嘆く
暗い朝日が東に沈み
帰せ帰せと童の声で
言継鳥が唄いだす
これにて終焉さようなら
初投稿にて、生暖かい目で見て頂けたら幸いです。