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第47話 文化祭実行委員ってなんだよ

とりあえず【文化祭編】スタートです!!


文化祭編は、妹メインというのか……姉メインというのか……といった感じですね。

夏休みも終わり、2学期がスタートした。


約1ヶ月ぶりの学校は、どこか知らないところに行くようで緊張するものではあるな。

ただ、今までとは異なり、色々な経験をしたから、少し成長した気持ちで登校できた。


教室に行くと、陽菜さんがもう先に来ていた。


改めて学校で会うと、変な感じだ。

夏休みは、何かいけないことをしていた気もする。


今日の1限は授業ではなく、色々なことを決めるらしい。


中でも、気になっているのは、席替えだ。


せっかく主人公席になったのに、前の方に飛ばされては、色々できなくなる。

それに視線も気になる。

陽菜さんと離れてしまうのは寂しいものである。


席替えが始まった。

まずは男子。出席番号順にくじを引いていく。


頼む。

もう一度、主人公席を……。

きっと俺は、主人公に相応しい男だ!!


陰キャだからそれはないか……

ならせめて、後ろの列であってくれ……


全身全霊でくじを引いた。

結果は、主人公席!! 


から1つ前にずれた席であった。


まあ、いいか。悪くはないか。


女子のメンツを待っていると、後ろは陽菜さんだった!!


運は俺に味方していた。

2学期も頑張れそうだ。


机をほんの少し動かし、席替えは完了した。


「また近いね〜〜!!」

陽菜さんは嫌な顔をしていなかった。


「これなら安心して、背中を任せられるな」と少しボケてみたりもした。


俺にとって、合宿はやはり大きかったな。


実際に座ってみると、陽菜さんは、シャーペンでこそっと背中を刺してくるので、全然安心できないが、まあ、一種のプレイとしておこう。


次に決めるのは【文化祭実行委員】

各クラス男女1人ずつ。


クラスの出し物を企画したり、他クラスと協力して、文化祭自体の実行を盛り上げるそうだ。


これだけ聞くと誰もやりたがらなさそうだが、その代わり、文化祭での出し物や飲食を半額や無料で利用できたり、【後夜祭】とやらでいい待遇を受けれることができるらしい。


例年、陽キャが率先してやるそうだ。

前の学校でもそんなような気がしたな。


このクラスでは、もう存在も忘れかけている、馬込くんあたりがやってくれるだろう。


そう思って、男女に分かれて、実行委員を決めることになった。


いつも通り、馬込くんが率先して、男子をまとめている。


「申し訳ないんだけど、サッカー部は夏の試合で勝って、今後も練習をしなければならないから、ちょっと、僕は出来なさそうなんだ……」


あれ??

野球部も練習があるらしいぞ??


これは話し合いだな。

長引きそうだ。

まあ、授業よりはいいか。


きちんとした理由なので、みんなも、仕方ないなと割り切る。


そんな中、話し合いをする前に、馬込くんがアイディアを出した。

「僕はこのクラスで誰でもいいと思うんだ。話し合いだと時間かかるし、じゃんけんなら平等だと思う!!」

と言い出し、じゃんけんで決まることになった。


自分はやらないくせに……

そう思いながらも、人望が厚い馬込くんに逆らえるわけもない。


じゃんけんか。

人とやったことあったけ??


あまり人としたことはないが、きっと腕の動きを見ていけば、勝つことができるだろう。


部活が忙しくない人で集まり、じゃんけんをした。


ただ、みんなの視線の中では、そんな余裕はなかった。

それに人多すぎて、よくわからなかった。


1回目は普通に負けた。


残り5人まで一気に減った。


5人でじゃんけんするぞ。

ここで負けたくはない。


そして、思いっきり負けた。


どうやら俺は、席替えで運を使い尽くしていたようだ。



『まあ、いいんじゃね? 頭もいいし!!』と周りの男子も何故か反対することはしなかった。


期末がそこそこいいと知られてたのか。


いやいや。


『陰キャだからやり直し!!』とか言ってくれよーーー。


俺は文化祭実行委員になってしまった。


不幸中の幸いか、女子の方は数井さんだった。


俺がなったのを見て、陽菜さんが変わろうとしてくれた。

ただ、実行委員は忙しい。

モデルの仕事もあるし、放課後とかは難しいしからな。


それに、いつまでも迷惑をかけることはできない。


確かにこないだ、成長するとか誓ったけど……急すぎだろーー。

他クラスと交流なんて無理すぎるだろう……


あーあ。まあ、頑張るしかないな。

でも、文化祭に参加したことがない奴が、委員やるなんて皮肉すぎるな。



昼休みには、久々の図書室に向かった。

2学期は来ないのではないかと心配になっていたが、少ししたら来てくれた。


俺は深月さんに愚痴った。


「……ってなわけで、文化祭の実行委員になってしまったんだ。最悪だよ」

「じゃんけん弱いんだねーー!!」

「いや!弱くない!!根拠ないけど……」


相手の手の動きを見て、勝つ手を出す。

俺ならできると思うんだけどな……

さっきは緊張して、いいパフォーマンスができなかっただけなはず。


「じゃあ、私とじゃんけんしよーー?」

「いいぞ」


せっかくだし試したいな。

深月さんなら、緊張しないな。


「最初はグーじゃんけんぽん!!」

「最初はグーじゃんけんぽん!!」


俺の勝ちだった。

やはり見えるぞ??


机上の空論ではなかったんだな。


「うーーー。もう一回!!」

「おう」


「最初はグーじゃんけんぽん!!」

「最初はグーじゃんけんぽん!!」


2回目も俺の勝ちであった。


そして、10回くらいやらされたが、俺は連勝し続けた。


これはすごい発見だ!!


野球拳で無双できるではないか!!

合宿の時に気がついていれば……


ああ。

何が浮ついた心で接しないとか言ってたんだ。



「勝てないーーー!!!」

「弱すぎだな」

「強いのになんで負けたのーー?」

「深月さんが弱いのさ。てか、2組はもう決めたの??」

「まだだよーー。今日の6限のあと決めるよーー!!」

「もう、深月さんがなってくれ……。他のクラスのやつなんて知らないし」

「なろうかーー?」

「それならマジ助かるよ……。まあ、冗談だがな」

「ふーん」

「あ、そうだ。昼休み来れないことも多いかも。まあ、その方が集中できるだろ?」

「え、そうなの?」

「なんか昼休みとか、放課後とかにも集まるらしいぞ?? 早速、明日からかな?」

「うん……わかった!!じゃあ、私は勉強してるね!!」

「頑張ってくれ!!」


ちょっと、寂しいな。


仕方がない。

元々、学校行事を頑張る目的で編入したんだ。


次の日の昼休み、俺は、図書室に行きたい気持ちをぐっと抑えながら、俺は数井さんと多目的室に向かった。


多目的室を開けると、もうそれはそれは神々しいぞ。

各クラスの陽キャの集団じゃないか。


馬込くんが、じゃんけんなんかにするからだよ。

陽キャの中で決めさせれば良かったんだよ……全く。


隣の数井さんは、すごい人気だぞ。

『お久〜〜』とか言われながら、各クラスの陽キャから声をかけられている。


そうだよな。

結構仲良くなったから忘れていたが、数井さんは1軍だったな。


俺は『政治的なことは奴に任せるか』と心の中でカッコをつけて、1組の席にこそっと座った


ところどころ、『あいつ足速い奴じゃね??』聞こえる。

俺は陽キャに、一応は認識されていたようだ。


人間を観察していると、次にドアを開けたのは……


えーーー。

マジかよ。

なんでお前なんだよ。


鬼頭よ。


気まずいな。

あいつも俺と目が合うと、少しびっくりしながら席についた。


集合時間になった。


あれ。

2組の女子が来てないな。


全く。集合時刻になったのに来ないとは。

そんなに昼飯が好きなのか。

まるで、深月さんではないか。


最近すぐに2人のどっちかを考えてしまう癖をどうにかしないとな……


そう思っていると、ドアが開いた。


「遅れてすみません!!!」

聞き慣れた声。


深月さんだった。


え??

嘘だろ??


何かの間違いか?


そして偶然にも、2組であるから、俺の左隣に座ってきた。


深月さん、実行委員になったの??


「なんで??」


俺は配られた資料に筆談をした。


左手で書いたが、そんなことはどうでもいいか。

深月さんは気がついていないようだったしな。


「びっくりしたーー??」

「それはものすごく」

「やったね!!」

「わざわざなったの?」

「うん!! つまらなそうだったし?」

「すごいありがたいけど、勉強とかの時間が……」

「大丈夫!!」


すごい申し訳ない。

図書室で愚痴った時に、俺はどっかできてくれないかなと思って、愚痴ってはいた。


ただ、本当に来てくれるとは思わなかった。

すごく嬉しい。


なら、こっからが難関だ。

こうなったら、深月さんと同じ仕事に就きたい。


実行委員といっても、色々な仕事があるようだ。


ただ、難しい。

深月さんが入ってきた時、他のクラスの男子たちは、隣にいる陽キャ女子をガン無視して、深月さんを見ていた。


規定人数以上になったら、じゃんけんやアピールで投票という制度。


今の俺にそこまでできるか??

深月さんの隣を奪われるくらいならできるか?


じゃんけんだったら……。

いや。この視線では負けそうだな。


てか、そもそも、深月さんが一緒にやりたいと思ってないかもしれないではないか。


「何するのーー?」

深月さんが筆談してきた。


「人がやりたくない感じで、裏方のかな?」

「警備か準備とか?」

「警備はしないから、準備かな」


警備はおそらく、鬼頭と被る気がする。

それに、ガラの悪い奴らに絡まれるのも好きではない。


その点、準備は、男女一人ずつで他クラスとの交流も少ない。


もし取り合いになったら、じゃんけんとか演説を頑張ってみよう。


「警備は怖いもんね! じゃあ、私も準備にする!」

「一緒のでいいのか?」

「今更でしょ」


同じ気持ちだったか。

それくらい、合宿は意味あることか。


仕事は次々と決められていった。


『じゃあ、準備やりたい人ーー!!』


先生の発言を聞き、俺は勢いよく手を上げた。


えーーーーー。


俺一人だけ勢いよく手あげちゃったんですけど。


深月さんなんて、そっぽ向いて、手あげてないし。


なになに??

陽菜さん??

ほくろ2つだぞ?


俺と違うのがよかったのか??

なんだよ。せっかく思い出作ろうと思ったのに。


『あれやるの?? 大変だし、つまらないからみんなやらないんだよ??』

隣の数井さんがコソッと教えてくれた。


完全に嵌められた。

深月さんは俺のことが嫌いだったのか。


調子に乗っていた……。


『じゃ、じゃあ、1組の月城くんが決定ということで……』


先生も少し引いてるぞ??

勢いよく手あげたからな……


『女子いませんかーー?? いなそうですね……。最後になりそうだなーー』


司会の先生が困っていると、「あ、私やりたいです!!」と深月さんが手をあげた。


え?

なんで今頃??


なんなの?

わからないんですけど。


絶対、陽菜さんだろ!!


いじりたいだけとかだろ??


入れ替わっている可能性しかないな。

あとで、裸にして比べてみよう。


あ。俺、裸見たことなかった。


『おお! じゃあ、早乙女さん決定でいい??』


女子から反論はでなかった。


周りの男子からは『チッ』という舌打ちが聞こえた。


深月さんは、「うまくいったね!!」と筆談してきた。


え。

まさか?


すごいな。


深月さんが先に手を上げたら、他の男子たちも手をあげる。


じゃんけんの弱い俺が負ける可能性がある。

演説にしても同様だ。陰キャだし。


だから、先に俺を確定させる。


やりたくない仕事、そして場違いの陰キャ、他の女子がやるはずもない。


だから、確実にペアになれるってこと??


ポンコツのくせにすごいな。

ポンコツだよね??

だてに、いつも下ネタを言っているわけでないな。


まあ、気のせいかもしれないな。


「てか、よかったの? 俺は一緒でありがたいけど」

「一緒ならなんでもいいよ!!」



よかった。

合宿は意味があった。


文化祭も楽しめそうだ。


楽しそうだけど……大丈夫かな……。


地獄にならないといいけどな……



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― 新着の感想 ―
久しぶりの更新おつかれさまです。 ついに波乱の2学期編スタートですねw 姉回と言いながら書いてた通り妹回でしたね 帰った後姉妹でどんなやり取りがあるのやら無いのやら はたまた新学期クラス入れ替わって主…
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