第37.5話 疲れるんですけど
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えーーーー。
この感じ。完全に作る気満々じゃん。
エプロンなんかつけちゃったりしてるもん。
こんな姿見ていいのかな?
彼氏みたいじゃん。
そこまで、サービスするなら、服脱いで、エプロンつけてくれよーー。
てか、誰か二人を止めてくれーー。
正直、こんな経験は学校ではできないだろう。
美人姉妹の手料理が食べられるんだ。
でも、その後の答え方で死にそうだぞ??
知らないんだよ。学校で習ってないから。
二人は慣れた手つきで息ぴったりで料理を始めた。
誰も止めてくれる人がいなかったので、淡々と料理を作っている。
妹の方は、チャーハンを作るようだ。
そして、姉の方は、パンケーキを作っるようだ。
まあ、それはそうだろ。
普通、審判の好みの甘い物作るよね??
俺でも姉の方の戦力を取るよ?
別に、真剣勝負じゃないのはわかるけどさ。
なんで、妹の方はルンルン気分でチャーハンを作ってるの?
自分の食べたいものを作ってくれていいんだけどさ??
どこぞの少年漫画で見る量だぞ。
てか、俺全部食うわけじゃないよね?
これって、昼食も兼ねて作ってるんだから、俺の分少しだよね。
だから、妹はチャーハンを大量に作ったのか。
妹よ。
途中で、ルンルン気分からやっちまった感で、姉を見るのはやめてくれ。
本当にポンコツだな。
どんどんと料理が完成されていく。
もしや。このまま毒殺されるのではないか??
いや睡眠薬を入れられて、犯罪に仕立て上げられる可能性もあるな。
もう死んでもいいからさ。
頼むから料理対決はやめようよ。
待てよ?
2人がダークマターを出してきたらどうする?
まあ、その時は食えばいいか。
それなりの時間で二人ともの料理が完成した。
目の前に美味しそうなチャーハンとパンケーキが出来上がった。
妹の方が、スプーンでチャーハンを掬った。
「あーん」
え。これって自分で食う制度じゃないのか。
中華街でやっているからまだいいけど、あんまり好きではないんだよな。
俯瞰して見た時の自分がキモくて。
まあ、とりあえず、口を開けるか。
「あらあら〜〜。月城くんが『あ〜ん』しているよ〜〜」
姉の方がいじる材料を見つけて喜んでいる目をしているぞ。
そんなこといったって、俺と姉の方だって、口に運ぶくらい……
あれ。やっべ。
姉の方とはしてなかったか!?
記憶力はあるがむずいなこれ。
同じ顔はキツイぞ??
口に運ばれた。
うまい。普通にうまい。
ご飯はパラパラで、しっかり味付けされている。
珍しく甘いものでなくても、ずっと食べられそうだ。
「うまいぞ」
「やったね!!」
「じゃあ、次はわたしの番ね〜〜?? ほら『あ〜ん』して??」
「自分で食えるから!!」
「え〜〜。ひどいよ〜〜〜。シクシク」
わざとらしく嘘泣きしやがってイジりやがって。
ただ、妹の方とやったのに姉の方とやっていないという状況に負い目も感じてはいる。
仕方がないな。
口を開けた。
「おお〜〜。やってくれるのね〜〜?」
どっちだよ。
そう言いながらも、口に運んでくれた。
うまいな。
生地もふわふわだ。
使っているのは市販のやつのはずなのに、なんでこんなふわふわ感が出せるのだ。
「うまいぞ」
「じゃあ、どっちが美味しい〜〜?」
「じゃあ、どっちが美味しいーー?」
二人とも今か今かと審判を待っている。
なんでそんなキラキラした目で見てくるんだ。
普通に困ったな。
どっちもうまいぞ。
差はないぞ。
差があったら、まずい方を選ぼうと思ったのに。
そしたら、うまい方が妥協するシーンを漫画で読んだもん!!
まあ、本当に思ったことを言えばいいか。
「引き分けだな」
「え〜〜〜。ちゃんと結論出してよ〜〜」
「えーーー。ちゃんと結論出してよーー」
こうなったら仕方がないか。
やりたくはないがいいか。
「この程度で満足とはまだまだですな。はい。二人とも口開けて」
「え?」
「え?」
「ほら。いいから」
「あ〜ん」
「あーん」
俺は左手で妹の料理を姉の口に
俺は右手で姉の料理を妹の口に
ゆっくりと運んだ。
両利きでよかったな俺。
ちょっとエロかったとは思った。
いや、かなりエロかった。
まるで、二人で…俺のを口を開けて……いややめていこう。
「え。陽菜ねーのおいしいよ?」
「うん。 深月ちゃんのも美味しいよ〜〜?」
「いやだから言ったろ。二人ともうまいって。 ほんとうに勝負は引き分けでいいね??」
「仕方ないな〜!」
「うん!」
ふう、なんとか丸く納められた。
なんか、超絶に疲れるんですけど!!!!!
二人揃うとこんなに疲れるの??
あれ。間接キスになっちまった??
一回間接キスしているからな。
あれ。姉の方とは初めてか??
まあ、いいか。
いいのか!?
味見の時間は終わり、俺は少し、チャーハンとパンケーキをもらい、3人でご飯を食べた。
話題は学校のくだらない話とかだった。
ご飯も終わり、勉強が再開あれ、妹がトイレに行っている間に、俺は姉の方に聞きたいことがった。
「姉として偉いな。 俺を呼んだのは、妹の勉強のヘルプをして欲しかったんだろ?」
「ちょっと元気なかったからね……。月城くんなら、優しいからやってくれるかなって。もちろんバレないようにね! ……ごめんね?」
「ん? その程度ならいつでもやるぞ? やっぱり、姉なんだな」
「でも、勘違いしないで。 わたし自身、月城くんと勉強したかったんだよ〜〜?? 深月ちゃんとも仲良いならいいことに越したことないしね!!」
「はいはい。そう言うことにしておくよ」
残りの時間は、姉の方の課題をやりながら、妹の方を観察していた。
一生懸命取り組んでいる。
正直、妹に勝ってもいい。
どうせ、誰も、俺を倒すことはできないし。
それで、一位は俺だと言ってもいい。
ただ、それをしてしまうと、妹の方がどこか遠くへ、いなくなってしまいそうな気がする。
今回は手を抜くしかない。
夕方くらいになったので、お暇した。
楽しかったな。
二人には言えなかったが、料理は人生で食べた中で一番美味しかった。
一条家がどんなに金をかけても辿り着けない味だったな。




