エピローグ
海の見える、崖の上。
岬と呼ばれるだろうそこは、色とりどりの花が咲いている。
今の季節は、夏。
塩風に、何本ものひまわりが揺れている。
眩しいくらいの青空を見上げる大輪の花は、その全てが美しい。
柵やベンチ、四阿なども設置されたこの場所は、町の一つの観光名所にさえなっていた。
その穏やかで暖かな、今はひまわりの咲き誇るその場所で。
とある一組の夫婦が、一通の手紙を、肩を寄せ合い読んでいた。
数年前に教会を自らの意志で旅立ち、新たな居場所で頑張っている、ひとりの女性からの手紙だ。
彼女の後継人となった腹違いの兄にあたる青年は、前王の罪を断罪し、その跡を立派に継いでいる。
そんな彼の補佐として日々忙しく暮らしている、大切な仲間の女性。
彼女からの手紙。
それは、隣国の王子と恋に落ち、春にはついに結ばれるという、なんともめでたいものだった。
淡い金髪に、顔に大きな痣のある女性と、黒髪の整った顔立ちの男性。
彼らは仲睦まじく、決して解けぬように手を結びながら、嬉しい知らせに頬をほころばせていた。
End
これにて完結です。お付き合い下さりありがとうございました!
またしても近況報告に蛇足的な説明を書きますので、よろしかったらご覧下さい。