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近頃では『エルフ』が『ダンジョン』を飛び出して地上にまでその活動範囲を広めつつある。もちろん不測の事態に備える為、『協会』が主導し護衛などを付けさせてという条件付きではあるが。


人とエルフの交流がより活性化させるための、つまりカンフル剤的な目的の1つなのだろう。テレビのバラエティー番組に出演したり、ネットの無料動画配信サイトなどを利用してエルフの生活様式などの配信など積極的に行っている。


逆に日本からもトゥクルス共和国に積極的に働きかけ、トゥクルス共和国内に外交官を派遣したり、領事館の設置などにも成功している。そしてそこを起点に、日本の品々を紹介をしているとのことだ。いずれはトゥクルス共和国だけではなく、他のエルフの国にも拠点を築き交易なども積極的に取り組むことになるだろう。


聞けば、それもすべては毛利さんの頑張りのおかげなのだとか。大きな仕事を見事やりとげ、プレッシャーに負けず素晴らしい成果を上げたわけだ。無論彼女1人の成果ではなかろうが、彼女の頑張りが無ければこんな短時間でこれほどの成果を出すことは不可能だったと思う。


そんな感じで慌ただしくも充実した日々を送りつつあるダンジョン協会とその関係者。それを傍で観察しながら、「人が一生懸命働いているときに、のんびりと過ごすのは楽しいぜ!」そんな下種な考えを持つ男がいた。そう、何を隠そうこの俺だ。


何せ、自分は何もしなくても周りの人が頑張ってくれているおかげで俺の『ダンジョン』の価値がグイグイと上がるのだ。まさに、この世の春が来たと言っても過言ではないだろう。日増しに増える貯金の残高を見て、お茶でも飲みながら俺はこのビッグウェーブにただ乗りしてやるぜ!そんな甘っちょろい考えでいたわけだが、残念ながら世の中そこまで甘いものでもなかったみたいだ。


「エルフとの交流の一環として、ダンジョンを攻略してこい…ですか?」


「その通りです」


いつものような笑顔で服部さんが俺に言ってきた。ただ、いつもよりも笑顔が冷たく、そして言葉に棘を感じたのは気のせいではない気がする。


「え~俺じゃなくても、もっと他に適任の方がいらっしゃるんじゃないですか?俺の強さって精々中の上ですよ?」


俺の実力ではエルフの護衛をするにも少しばかり心もとないのも事実だ。それを口実に、何とか逃れようと試みるが…彼女がそこまで甘い相手ではないことも十分以上に理解している。俗にいう『味方であれば心強いが、敵に回ればこれ以上ないほどの強敵』という奴だ。


「もちろん、檀上さんよりも強く、適任の方はいらっしゃいます。ですが…」


「…ですが?」


「残念ながら、仕事が忙しくてそこまで人手が足りないのですよ。()()()()()()()エルフの護衛とかで各地を飛び回っていますので」


()()()()()()()……暗に、俺がグータラしているのを責められているような気がした。…いや、気のせいではないか。確かに、自分たちがヒーヒー言いながら働いているのに、傍で何もせず、のんびりとしている奴を見かけたら腹が立つのも仕方ない。


これはある意味俺自身が蒔いた種だ。彼女らをこれ以上刺激しないようにしよう。生えて来た草は早いうちに刈り取らないと、大きくなってから刈り取るのは大変なのだ。これは俺が山の管理をするうえで学んだことの一つだ。


「分かりました。それで、どこのダンジョンの攻略に向かえばいいですか?」


「檀上さんが、剣持さん達と最初に潜ったダンジョンではどうでしょうか?難易度もそれほど高くありませんし、何より協会が所有しているダンジョンですからね。色々と融通を利かせることも出来ます」


難易度がそれほど高くないダンジョンを勧められたという事は、主な目的は攻略ではなく『人間とエルフが協力して何かを成し遂げた』という、両者の融和に繋げるための何らかの実績が欲しいからであろう。それなら俺のダンジョンでもいい気もするが…難易度が低すぎては駄目だと言われそうだな。


「メンバーはアウラさんとライラさん。そして藤原さんと作田さんとハヤテ君の計6名でお願いします」


藤原さんと作田さんが選ばれているということにかなり安堵した。彼らがいればどんな不測の事態にも対応できるはずだ。……あれ?だったら俺、いらなくね?…いや、護衛対象と護衛の人数が同数では不安が残るのかもしれない。単なる数合わせなのだろうが、そちらの方がプレッシャーを感じなくて済みそうだ。


そしてエルフ側からアウラさん達が選ばれたのは、俺と色々と接点があるためだろう。共同戦線を張るのは今回が初めてではあるが、人となりは知っているのでこちらとしてもありがたい。問題は…


「ハヤテ君も、ですか?」


「ええ、藤原さんが訓練の成果が見たいから是非にと言うことで。協会としてもハヤテ君の成長具合を知る良い機会だからと、喜んで許可を出したそうです」


最近ではハヤテ君のように俺のダンジョンで『格』を上げるペットをちらほらと見かけるようになっていた。動物がどのような成長を見せるのか、『協会』としても結果が気になるのだろう。エルフとの融和も目的の一つだろうが、そちらにも気を配らなければ。

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― 新着の感想 ―
うーん…これって、地主の主人公に任意とは言え強制労働させて、死亡したらなんやかんや誤魔化して協会がその土地と利権を奪いそうだなあとしか考えられないんですけど…むしろこの凄いダンジョンをがめつくなくのん…
[気になる点] なぜ突然協会の下っ端みたいな扱いになってるんでしょう?
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