表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
197/302

196

夕食を摂りつつ剣持さんと打ち合わせをする。途中で合流した弓取さんからは先ほどあったことを話すと我がことのように同情され、無事に切り抜けることの出来た俺をしきりに“尊敬する”と言っていた。


弓取さんは、エドワルドさんとドワーフによって苦しめられた?被害者だからな。自分と同じように苦しい思いをすればいい!なんて思わないのは、彼の人となりが善良だからだろう。


夕食をパパっと済ませ、疲れた体を癒すためいつもより少し長めの入浴タイムの後、やり切ったという充足感を抱きながらベッドの中に入り就寝した。続きが気になるドラマがあったのだが…疲れていたので明日以降に持ち越すことにした。




明けて翌日。いつもと同じように朝の準備を済ませて集合場所に行く。すでに何名か来ているようであり、中にはエドワルドさんを始めとしたエルフ、そしてドワーフの姿もある。


昨日の酒宴も俺があの部屋へと行った時点でかなりの量の飲酒をしていたようであったが、今の彼らからはアルコールの匂いは一切しないし、ましてや体調を崩している様子も一切見られない。


一体、どれほど高性能な肝臓を有しているのだろうか。もしかして血中のアルコール濃度を瞬時に下げる『魔法』やら『スキル』でもあるのだろうか?……ま、無いだろうなぁ。あったとしても、そんな効果が限定されているような能力があってもそれほど欲しいとは思わないケド。


一応エドワルドさんに“昨日はすみませんでした”と謝罪をしておく。思わず社交辞令として『今度機会があれば是非に』という言葉も出そうになったが、嫌な予感がしたので寸でのところで飲み込んだ。


こういった俺の勘は外れることが無い。下手をすればさっそく今日にでも誘われていたかもしれないからな。適当な話を挟み、うしろから来た弓取さんと話があると言ってその場から離れた。


もちろん、弓取さんと話があるわけでも無い。この場を離れるための言い訳だ。ただ弓取さんはそのことを即座に察してくれたようであり、俺の話に付き合ってくれた。後できちんと感謝の言葉を告げておこう。


ほどなくしてメンバー全員が揃い、『新天地』に向けて出発する。


今回俺達の目的地は、昨日と同じ恐竜型のモンスターが跋扈するエリアではなく、『ダンジョン』の比較的近くにあるエリアであった。今回はそこのエリアで『ワイルド・ボア』を狩ることが俺達に課せられた『指名依頼』であったのだ。


『指名依頼』主は以前俺が『前線基地』に戻るときに同乗させてもらった、とのある老紳士が役員を務めている有名企業であった。


早速『ワイルド・ボア』を使った商品開発に多額の費用を計上したらしいのだが、『ネイティブ・ワイバーン』の出現によってか、一部の探索者たちの索敵範囲が狭まってしまったため『新天地』から得られる『ワイルド・ボア』の量が減少してしまったらしい。


計画はすでに動き出してしまったのだ。と、言う事で、多少割高になろうとも『指名依頼』をすることで『ワイルド・ボア』の肉を大量に入手することを優先したとのことだ。


ちなみに俺達のパーティーが指名された理由は俺があの老紳士と顔見知りになったとかではない。そのとある企業から今一番ノりにノッているパーティーを聞かれた『協会』が俺達のことを紹介してのことだ。


『指名依頼』という事だけあって『ワイルド・ボア』の買取単価は割高に設定されている上に、開発中の新商品の中にある、酒に合う試供品の一部を送ってくれるとかでエドワルドさんとドワーフ達の心を鷲掴みにし、この『指名依頼』を受託することがすぐに決定された。


思えば『ワイルド・ボア』との戦いは久しぶりだ。前回戦ったときはエドワルドさんが一撃で倒したので俺の出番も皆無であったが、今回こそ多少なりとも戦う場面があるはずだ。


奴との最初の戦闘では『魔剣』頼りの情けない戦いであったが、奴の戦闘パターンも頭の中に入っているし、あの時よりも『格』も、そして『魔剣』の習熟具合もそれなりに上がっている。タイマンでは流石に分が悪いだろうが、あの時よりは良い戦いが出来るはずだ。自分の成長を確かめる良い機会があったものだと前向きにとらえることにしよう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ