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「皆さん、おはようございます。今日も1日頑張りましょう!」


剣持さんの気持ちのいい朝の挨拶もそこそこに、昨日と同じように『新天地』に向けて移動する俺達一行。昨日と違うところは、エドワルドさんという規格外の人物が俺達のパーティーにいることを事前に知っていることと、彼の喜びそうな強そうなモンスターの情報を俺たちが調査しているという事だろう。


すれ違う同業者たちと軽く挨拶をしながら移動し、『新天地』に着いた俺達は昨日とは全く別の目的地に向けて歩みを進める。


「どうした?今日は『サーベル・ライガー』とかがいた狩場には行かんのか?」


そんなピクニックのような感覚で言われてもなぁ。エドワルドさんには手も足も出なかったが『サーベル・ライガー』であるが、あいつらはかなり強いモンスターだ。その証拠に『協会』に持ち込まれている数が少なく、結構高値で買い取りしてくれた。


「実は他の方々があまり行きたがらない、手ごわいモンスターがそこかしこにいるエリアの情報を手に入れましてね。今日はそこに行ってみようと思います」


「ほほぅ……それは楽しみだな」


その狩場は、俺が『新天地』で支援業務に当たっていた時には発見されておらず、『新天地』に挑戦する探索者が増え、捜索範囲が広がってからしばらくした後に発見された場所であった。


『サーベル・ライガー』よりも巨大かつ獰猛なモンスターがかなり生息しているらしく、その場所を発見したパーティーも命からがら逃げ帰ることが出来たとの情報であった。


そんな危険な場所、一刻も早く他の探索者にも広く伝達し注意を呼びかけるべきなのでは?とも思ったが、『協会』がかなり忙しくそういった注意喚起が疎かになっていることも否めないが、少し距離も離れているという事もあってどうしても後回しになってしまっているとのことらしい。


「もしかして、つい先日狩られたという『ネイティブ・ワイバーン』もそこから来たモンスターなのですか?」


「さぁ、そこまでは…ただ、そういった情報が分かっていないほど謎に満ちたエリアで、エドワルドさんのお力添えがなければ碌な調査が出来ないままとなっていたことは間違いないでしょうね」


『ネイティブ・ワイバーン』とは東条さん達が倒したワイバーンの種族名だ。どこからきて、普段どのような場所にいるのか全然分からないままであったが、俺達のパーティーにはエドワルドさんがいるので『何かあっても彼が何とかしてくれるだろう』という恐ろしいまでの他人任せな気持ちがあるので今もそれほど恐怖を抱かずにいられた。


それにしてもエドワルドさん達エルフも、ダルグさん達ドワーフ達もあの『暴力の塊』と言うべき『ネイティブ・ワイバーン』の姿を目で見て確認していたらしい。まぁ、あれだけ騒ぎになっていたからな。知らない方がおかしいと言えるか。


「近いうちに祝勝会が開かれるらしいな。そっちも今から楽しみだ」


エドワルドさんはこれから行く危険なエリアのことよりも、『ネイティブ・ワイバーン』の肉が提供される予定の祝勝会の方に興味があるらしい。モンスターなど、ものの数ではないという事か。不遜すぎる考えでもあると言えるかもしれないが、今の俺達からすれば頼もしいことこの上ない。


しばらくは『獣道』すら無い、草木に覆われ歩きにくい道なき道を進んでいく。方向感覚が狂ってしまいそうな環境であったが、そう言った感覚が鋭いドワーフに先導を任せておけば目的地が狂う事も無い。ほどなくして鬱屈とした場所を抜け、切り立った崖の上のような場所に出ることとなった。


「ここから下に見える景色の場所に、強力なモンスターが多数生息しているとの情報でした」


崖下から見える景色も先ほど俺達が通ってきた場所のような鬱蒼とした森の中のといった雰囲気であったが、時折“ギャーッ!ギャーッ!”という、怪鳥が鳴くような気味の悪い鳴き声が聞こえてくる。


恐怖のあまり思わず委縮してしまいそうにもなるが、依然として平然とした様子のエドワルドさんを見ることで俺も心の安定を取り戻す。


「崖下の安全を確認した後、降りることにしましょう」


この場所の地盤が固いことを確認し、地面に杭を打ち込んで固定する。その杭にロープを通せば降りる準備は完了だ。ロープを伝って崖の下へと移動した俺達に待ち受けるものは一体何なのか!……と、どこかの冒険バラエティのようなナレーションを頭の中で流しつつ、ひとまずは周りにモンスターがいなさそうなことにほっとした。

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