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午後の『調査』も、午前中以上の濃密なスケジュールをこなし、午後5時前にようやく前線基地のある『ダンジョン』に戻ってくることが出来た。


「皆さん、お疲れさまでした。本日の『調査』は終了となります」


「「「お疲れ様っした~」」」


そんな感じの軽い別れのあいさつの後、各自解散していくこととなる。彼らにとっては、これが日常なのだろう。俺とは違い、今日の『調査』が終了したこと以上の特別な何かを感じている様子は見られない。


では俺はどうなんだ?と聞かれれば、一瞬の迷いなくこう答えるだろう。「やっと、一日が終わった。もう2度と、調査隊に同行したいなんて言わない」と。


もちろん調査隊のメンバーとそりが合わず人間関係でギクシャクしただとか、一人だけ実力が劣っているので陰口を言われたり文句を言われたわけでも無い。むしろ、リーダーである東条さんには何かと気を遣ってもらえたし、疲労困憊であった俺を見かねてイケメンエルフさんからは、さりげなく何度も何度も<回復魔法>をかけてもらったりしてくれて、俺を取り巻く環境は非常に良いものであった。


それでも2度と参加したくないと思ってしまったのは、やはりモンスターとの戦闘回数の多さに起因するだろう。


午後の調査を開始する直前に東条さんが“午前中は軽く流したので、午後からは少しハード行きましょう”何て言っていた時は自分の耳を本気で疑った。


その言葉通り、午後からの『調査』はより多くのモンスターが生息するエリアに足を延ばし、そこでひたすらサーチ・アンド・デストロイを繰り返した。


退治するモンスターの数が少数なら前線を張るメンバーで難なく対処出来ていたのだが、『アーミー・アント』のような群で行動するモンスター相手だと、後方にいた俺も戦闘に参加させられる機会もあったのだ。


<支援魔法>を使える俺を失うのは部隊全体の死活問題になるとかで比較的弱いモンスターの相手しか回されなかったが、それでも体力的には常にギリギリの状態であった。それでも、こうして無事に前線基地まで戻ってくることが出来たという事は、俺の戦闘力とモンスターの戦闘力を図り、何とか対応できる範囲内で俺に任せたと言う事なのだろう。


戦闘の最中にそういった冷静な分析が出来るという事は、それだけ東条さんが優秀なリーダーであることの証明である気がした。


こうして前線基地に無事に戻って来ることが出来たという事で今まで張りつめていた緊張の糸が切れ、溜まっていた疲労感が一気に押し寄せてきた。解散の号令と共にその場に座り込んで小休止をしていたわけだが、疲れが少し癒えて来たので俺も移動を開始することにしよう。


当然腹も減っているが、まずはお風呂に行くところから始める。ハードなスケジュールであったので体中汗まみれ泥まみれだ。こんな状態でご飯を食べたくはない。


と、言うわけで、意気揚々と浴場に向かう。お風呂セットは常に〈収納〉の中に入れているのでわざわざ自室にまで戻る必要はない。改めて〈収納〉のありがたさに気づいた瞬間だ。


かくして浴場に付いた俺は、まずはシャワーを使って体に付いた泥を落とし、シャンプーとボディーソープを使ってベタベタとした汗を洗い流す。よほど汚れが溜まっていたのだろう、1度目の洗浄ではシャンプーもボディーソープもあまり泡立たず、2度目の洗浄でようやくたくさんの泡に包まれることが出来て心身ともにスッキリした。


洗い残しのないことを確認し、浴槽の中につかる。あまりの心地よさと疲労感からか眠ってしまいそうになるが、何とか眠気を堪え、そろそろ出ようかと言うタイミングで浴場に来た人がいた。つい先ほどまで一緒に行動していた東条さんだ。


「おや、お疲れ様です、檀上さん」


何となく浴槽から出るタイミングを逃してしまい、その間に彼が体を洗い浴槽に浸かる。小休止していた俺とは違い、彼は解散するとすぐにその場を後にし、行動を開始していた。多分『調査』後すぐに、狩ってきたモンスターの買取の為に『協会』の職員に渡して行っていたのだろう。


「檀上さん、今日は1日どうでしたか?」


「思っていたよりもすっとハードでしたね。調査部隊の人たちのすごさ、この身をもって体験することが出来ました」


「これでも、檀上さんの〈支援魔法〉のおかげで、いつもよりは大分楽になったんですけどね」


そういえば、東条さん達にとっては〈支援魔法〉の無い状態の方がデフォルトであり、〈支援魔法〉がある今日の状態が特別なのであったわけだ。つまり、普段から彼らは今日以上の激務をこなしているという事。改めて彼らのすごさを思い知った。

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