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ハヤトには今日1日自由行動だと伝え、準備を整えた。


念のため、知り合いの『協会』の職員さんにハヤトを気にかけておいて下さいと頼んでおき、時間にはまだ余裕はあったが、ゲスト参戦と言う立場であるので他の人よりも早く集合場所に向かうことにする。


流石に1番乗りかな?とも思ったが、俺よりも早く来ている人もチラホラといた。その中にこの調査隊のリーダーさんと、見知った顔のエルフもいる。まずはリーダーさんに挨拶をしておこう。


「東条さん、今日はよろしくお願いします」


「ええ、こちらこそ。檀上さんは色々と有用な『スキル』をお持ちですからね、期待していますよ」


「ぜ、全力を尽くさせてもらいます…」


彼とは前線基地で初めて顔を合わせたわけだが、俺はその前から彼のことを知っていた。


まぁ、そこに深い理由もあるわけでも無ければ因縁めいた何かがあるわけでも無い。単に彼が探索者の中でもかなりの実力者として有名であり、ネットやテレビとかでもその姿を拝見したことがあったというだけの話だった。


有名な探索者だと、そういったメディアで取り上げられるという事も度々ある。探索者にとっては自分たちの名前を売ることができるし、運が良ければ大きなスポンサーがつくという事もあるからだ。


有名な探索者だと、女性5人組の上級探索者のパーティーが上げられるだろう。そのメンバー全員が2級探索者以上の実力を持ち、また、容姿も優れていることからたちまち有名になりスター街道を駆け上ったパーティーだ。


そのパーティーも結成から10年以上が経過しており、メンバー全員が30歳前後と言う年齢でありながら『格』をあげたことによるアンチエイジング効果により、全員が10代後半から20代前半といった若々しい見た目であるため、眉目秀麗なエルフの登場と言った強敵が出現して以降も未だに根強い人気がある。


「ま、あまり気負わずに。いざとなれば遠慮なく頼ってください。我々は仲間なんですから」


爽やかな笑みをこぼし、口の合間から見えるキラリと光る白い歯がまぶしい。実力もあれば人間としても魅力もある。彼がこの部隊のリーダーを任せられている理由が、短い付き合いであるが分かるほどの出来た人物だ。


しばらくは何気ない雑談に興じた後、この部隊の副リーダーが今日の予定の確認をするとかで東条さんを呼びに来たのでいったん別れることにする。そして一応、見知った顔であるエルフの2人とも挨拶をしておく。


「うっす!アウラさんにライラさん。今日は1日、よろしく頼むよ」


「うっす!いや~、それにしても、こうして檀上さんと話すのも久しぶりだね」


「全くだ。同じ場所で生活しているのに、驚くぐらい接点が無かったからな」


東条さんの班は調査部隊の中でもトップクラスのモンスターの討伐数を誇る、いわば選ばれた者達の中でも更に選ばれた精鋭部隊と言えた。そんな部隊に彼女らが選抜されていることから、やはりこの2人の強さは目を見張るものがあるのだろう。


「まぁ、狩りの拠点としている場所も違うし、食事の時間帯も若干ずれているみたいだからな。っと、そう言えば…今日に限っては2人とも先輩になるわけか。よろしく頼みますよ、諸先輩方!」


冗談っぽく言いはしたが、結構満更でも無さそうな表情を見せる2人。


「ん!任せたまえ!」


と、誇らしげに胸を張るアウラさん。


「…後輩、炭酸飲料と焼きそばパンを買ってくる。出発まで時間がない、ダッシュで」


と、多分冗談ではあるが、いきなりパワハラ発言を繰り出すライラさん。


残念ながらダッシュで売店まで行っても、買ってくるだけの時間的余裕はもうないだろう。その食い合わせは微妙じゃない?という至極まっとうな意見を飲み込みつつ、すでに他のメンバーも集まりつつあるので2人に別れを告げ挨拶回りを優先する。


彼女らの部隊の人たちと接点がほとんどなかったとはいえ、面識が全くないというわけでも無い。東条さんもあらかじめ俺が参加することを連絡しておいてくれたのだろう、問題無く挨拶回りを終わらせ、出発の時間となる。


「それでは皆さん、時間になったので行くことにしましょう。今回は『強力な助っ人』も参加することになったので、大船に乗ったつもりで、ですが彼に頼りすぎないように各々が各々の全力を出し尽くして頑張りましょう!」


と、東条さんが軽く冗談を言ったあたりで少し場の空気が明るくなって……?意外と皆さん、冗談と受け取っていらっしゃらない?…ま、それほど大きな期待を寄せられてはいないだろうが、彼の言ったように全力で自分の出来ることをしようと決心した。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 有名な探索者だと、そういったメディアで取り上げられるという事も度々ある。探索者にとっては自分たちの名前を売ることができるし、運が良ければ大きなスポンサーがつくという事もあるからだ。 …
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