表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/43

誰とも結ばれないただのバッドエンド(0人目)

俺はこの一年頑張った。

若いうちの苦労は買ってでもしろとという言葉をかみしめて勉強も運動も誰にも負けることないぐらいに頑張った。

その文武両道さかげんから卒業年であるにも関わらず生徒会やら部活動でひっぱりだこ。当然受験も見事難関国立に合格してこのあとはバラ色の大学生活、その後も一流企業が待っているハズだ。

・・・ついぞ彼女には縁がなかったが、これからの人生にはあるといいなぁ・・・。


◇ ◇ ◇


「・・・」

「いかがでござったかな?マヤ殿」

「いかがもなにも・・・私は一体何を見せられておるのだ?」

「いわゆるバッドエンドでござるな。主人公自身はハイスペックになっているのにむなしいバッドエンドでござる。他にもいろんなバッドエンドがあるでござるよ」

「何故初っ端に見せられるのがバッドエンドなのか」

「とりあえずどんな感じの世界観なのかを優先的に体験してたらこうなったでござる」

「とりあえず・・・か。お前はこの世界の制作側でもあるのに何故体験が必要なのか」

「学園生としての限界が知りたかったから・・・でござろうか?」

「それにしたって一年通して自分磨き、彼女どころか女の影もほぼ出てこないではないか」

「そうは言いますがなマヤ殿。いきなり目が覚めて学生時代に戻っていたら今までやったことないことをしたくなるものでござるよ」

「いきなりにはならんよ。ちゃんと裁判官として判決下す時に言うよ?なんならどういう内容かまでいうし」


あーだこーだ言いながらの初めての鑑賞会。見せられたのはバッドエンドだった。映像は浩之が無駄に技術を駆使しして2Ⅾのいわゆるギャルゲ風に細かく作られていた。それはいい。それはいいのだが・・・。


「このエンディングに意味はあるのか?無限ループという賽の河原に似た意味合いとは別に女の子とあれこれやって異性恐怖症やら異性への誤った理解を矯正するための地獄という側面もあるのだが。これだとなんか現実を見てるようで死後の世界観がないんじゃないか?しかもこれからの人生なんてないのにあたかも希望をもってなんてちょっと非道なんじゃないのか?閻魔たる私が言うのもなんだが・・・」

「そうでもござらんよ。バッドエンドがないギャルゲはクソゲだと思うのでござるよ」

「お前は忘れているかもしれんが、これ、地獄の作成だからな?ギャルゲ作ってんじゃないよ?」

「しかしながらですな。このバッドエンドも重要なフラグの一つでしてな」

「・・・ほぅ。なにか意味があるということなのだな」


私の力で生み出している世界とはいえ、内容のアレコレはほぼ浩之に丸投げなのである。私も報告を受けるまで知らないことは多い。私自身がギャルゲを全く知らないわけだし、どうかすればその概念も浩之に言われるまでは知らなかったしな。無知な素人は出しゃばらないほうがいい。ちなみに浩之がその世界を作成する過程で裏工作など力を悪用する場合は冥界にいながら天罰を受けるようになっている。私の生み出している世界なので当然である。


「その通りでござる。これは一度目の通常バッドエンドなのでなにもおこらずただ学園生活初日(スタート地点)に戻るだけでござるが、二度目にこのバッドエンドにたどり着くと卒業式当日になんらかの事情で死ぬでござる」

「地獄で死ぬ体験とは・・・なかなか稀な事案だな(まあ、舌引っこ抜いたり針山に突き落としたり死ぬ以上のことをやっている地獄はあるが)」

「そこで隠しヒロインのフラグが立つでござる。隠しヒロインの出現には他にも条件がありますが詳しいことはネタバレですので今は内緒でござる。ま、条件の最後の1ピースとでも思ってもらったらいいでござる」

「・・・え?」

「普通のギャルゲではなかなか起こらないことでござるが・・・ここは現実、冥界でござるからな。いやぁ『事実は小説より奇なり』でござるなぁ。ハッハッハッ」


笑う浩之の横で私は驚愕していた。ギャルゲの世界というのはなんでもありなんだなぁ・・・と。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ