第二十八話「心が壊れてしまう前に」
俺の拳が悪魔の身体をとらえ、ぶっ飛ばす。
代わりに奴の爪は俺の身体を切り裂くが、分厚い皮膚装甲のおかげで致命傷には至らない。
象は猛獣だ。
アフリカでは、百獣の王ライオンですら群れでなければ襲わない。
その一撃は骨を砕き、内臓を破裂させると知っているからだ。
彼らの牙ではその装甲に傷をつけるのが限界だと知っているからだ。
今俺は伝説の化け物と互角以上に、いや、有利に戦えている。
確かな全能感を感じる。
しかしもう油断はしない。
俺は注意深く悪魔の姿を捉えながら、思考を巡らせた。
俺ははじめ、コイツはロストナンバーだと半ば決めてかかっていた。
だからこそ、一人でここまで来るという無謀な事をやれたわけだけど。
でもそれも今やわからない。
命令に対して確かに何かしらの反応は見られる。
しかし命令をちゃんと実行したかというと、それは全く別の話だった。
ではどうする?
グウウゥ…ウゥヴゥゥゥ…
大木に強く激突した奴はヨロヨロと身体を起こし、頭を低くしていつでも飛び掛かれるような体勢を取った。
格下を弄ぶことしかしてこなかったコイツにとって、今の一撃は初めてとも言える有効打だったろう。
明らかに、さっきまでとは唸り声の質が違う。
奴の爪の一振りで人が致命傷を負うのと同じように、俺の拳の一振りで奴は満身創痍になっていた。
こんなチャンス、なかなかない。
いっそ…このまま殺してしまうか。
グルグルと唸るだけで全然攻めてこないので、今度は俺から一歩、また一歩と歩を進める。
俺は既に奴の間合いに入っている。
それなのに、悪魔は身体を竦めるばかりで、先ほどまでの食い殺してやろうという意思がまるで感じられない。
それどころか、ジリジリと後退りしているようにも見える。
まさか…俺に怯えているのか?
お構いなしに近づいて行くと、奴も痺れを切らしたのか、とうとう俺目掛けて飛びかかってきた。
奴の動きは俊敏で、目で追うのは難しいが、俺はただ、近づいて来る物体に合わせて拳を振るうのみ。
俺は奴の頭程もある巨大な拳をギリギリと絞り、握った拳を振り上げた。
これで終わりだ。
そう思った時だった。
「ロロの事、キミにお願いするよ」
麗奈の声が聞こえた気がして、振り抜こうとした手が止まる。
ロロ…??なんだそれは。
…それはもしかして、コイツの…?
奴の牙が振り上げたままの俺の腕に突き刺さり、血が吹き出す。
ガヴゥゥゥゥ!ガヴゥゥゥゥ!
「いって…」
悪魔と恐れられたそいつが、ガジガジと必死に俺の腕に噛み付いている。
が、しかし、奴の牙ではそれ以上のダメージを俺に与えられない。
俺は腕を齧らせたまま、目の前の生物を両の眼で捕えた。
人に虐められ、人を信用できなくなった野良犬は、人を恐れるあまりよく吠え、よく噛みつくという。
最早俺の目には、目の前のデカい狼がただの怯えた野良犬にしか見えなくなっていた。
…コイツは…伝説だなんだと人が勝手に持ち上げただけで、本当はただ怯えているだけなんじゃないのか。
「…なぁ…ロロ。」
何気なく言った一言だったが、奴の目は大きく開かれ、噛んでいた口が止まった。
悪魔と呼ばれたその狼は、初めて理性的な目で俺を見た気がした。
この反応は…間違いない。ロロというのは、コイツの名前だ。
俺は静かに問いかけた。
「教えてくれよ。何がそんなに怖いんだ。」
命令でもなんでもなく、問いかける。
そうじゃないと、何も変わらない気がした。
何も伝わらない気がした。
二人の目が交差する。
すると突然頭の中に、沢山の記憶が濁流の如く流れ込んで来た。
首にナンバーを焼き付けられた、生まれた日の記憶。
赤いマフラーをかけてもらった、ある雪の日の記憶。
麗奈を背に桜色の大地を駆けた、ある春の日の記憶。
ご飯を振る舞い褒めてもらった、ある夏の夜の記憶。
突然見捨てられて一人になった、ある秋の日の記憶。
そして…
☆
寒い日が来て、暖かい日が来て、暑い日が来て、また寒い日が来る。
そんなのももう何回目だかわからなくなったけれど。
とにかく今晩は、一際冷える冬の夜だった。
外で横になっていると、地面から伝わってくる冷気で身体の奥底から冷えてしまう。
なんだか無性に凍えてしまったので、身体をブルブルと左右に振るった。
何かが身体から飛び散ったようだが、どうやら雨水では無いみたいだ。
ふと空を見上げると、無数の白い星達がゆらゆらと宙に舞っていた。
昔、御主人様と二人で眺めた空も、こんなだったっけなぁ。
あれはもっと暖かい…夏の日だった。
パチパチと小気味良く弾ける焚火の側で、御主人様が私に体を預けて寝ていたっけ。
心地よい重さと暖かさ、薫る焚火と満天の夜空。
懐かしい。
目に星が飛び込んでくる。
冷たい。
ああ、そうか。
これは星なんかじゃない。…雪だ。
急に現実に引き戻された様な気がして、楽しかった日の思い出は雪と一緒に溶けて消えてしまった。
雪は…嫌いだ。
凍えて、寂しくて、孤独で、辛くて、痛くて、暗くて、怖くて…
目を閉じて、耳を塞いだら…気がついたら手が真っ赤に濡れていたあの日を思い出す。
御主人様が拾ってくれたのも丁度こんな雪の降る日だったけれど。
突然、少女は自分の奥底から何かが湧き上がってくるのを感じ、怖くなった。
雲間から覗く月はまるで瞳のようで、少女を監視しているのだと感じた。
あの時感じた、自分を失う恐怖が蘇る。
いや。
少女は首に巻いた赤いマフラーを強く握りしめた。
自分を失いかけた時、御主人様は言った。
「いいかい、ロロ。自分を受け入れるんだ。怖い気持ちも、暴れたい気持ちも。全部君のものだ。
決して目を逸らさない事。否定しない事。その上で、本当はどうしたいか、改めてもう一度心に問いかけるんだ。」
私は…もうあんな風になりたくない。
だから目を開いて、心を強く持たなきゃ。
御主人様は、きっといつか戻ってきてくれる。
だってあの時、「またね」と言ったんだから。
その時、私は頑張ったよと、胸を張って言えるように。
少女は御主人様から貰った赤いマフラーに顔を埋めた。
その時だった。
「オイオイ、マジかよ」
聞いたことのない低い声。そこには僅かな動揺と、抑えきれない興奮と喜びが混じっていた。
御主人様では無いのは明白だった。
少女はマフラーから顔を出して、様子を見る。
少女を見つめて目を丸くしているのは深くフードを被った五人ほどの集団。
臭い。経験上、こんな匂いを発するのは決まってオスだ。
一体私に何の用だろう。
「この辺りにとんでもねぇ遺跡があるって聞いて来たら…まさかこんなバケモンが見つかるなんて…」
「コレって、随分昔からあちこちで噂になってる、女の妖だよな?」
「都じゃその首にはすっげえ懸賞金がかかってるって話だぜ?」
「マジか!?しかも…よく見たら結構上玉じゃねえか。」
イセキ?バケモン?アヤカシ?
何を言っているのかは聞き取れても、その内容までは理解出来なかった。
故に警戒するということもなく。
「オラよッ!!」
男の中の一人が突然手に持った短刀で切りかかって来た。
素人の動きだ。戦場を走り回った少女にとってはどうということもなく、その剣先を読んで躱すことなど朝飯前である。
私と遊びたいのかな。
少女は丁度寂しかったので、少し付き合ってあげることにした。
「チッ。すばしっこい女だ!」
「囲い込め!例のトラップまで誘導するぞ!」
「「応!」」
男達は一人一人はどうという事はない平凡な男だったが、その巧みな連携で少女はまんまとトラップまで誘い込まれた。
ガチン!!
大きな金属音と共に足元のトラバサミが少女のふさふさの尻尾を挟み込み、深々と食い込んだ。
痛い!?
少女は生まれて初めての痛みに悶絶し、その場で倒れた。
手でこじ開けようとするも鉄製のそれはびくともせず、ドクドクと流れ出す血が地面の黒と混ざっていくのみである。
「へへへ。見ろよ。妖とかなんとか言ったって、罠に掛かっちまえばこの様だぜ?」
「ガハハ勝ち確だな。風呂入ってくる。」
「ばーか、これからが楽しいんじゃねぇか。」
「首切る前によ、楽しんじまっても誰も文句ねえよなぁ。」
「だな。みんなで回そうぜ?」
先程より更に不快な匂いを漂わせながら、男達は少女に近づいて来た。
少女にはその目的まではわからなかったが、何か悪意を持って近づいて来ている事だけはわかった。
身をよじって逃げようとする。しかし、ガッチリ噛み合ったトラバサミがそれを許してはくれなかった。
「ふふ。今夜は楽しくなりそうだぜ。」
男達に両手両足を掴まれ、抵抗が出来ない。
そして男は、少女の姿を舐めるように見た。
よくわからないまま、少女は謎の嫌悪感を感じてもがいた。
「なーに嫌がってんだ。こんな寒いのによ。わざわざ裸で出歩いてるって事は、そういう事期待してるって事じゃねーか。」
少女が裸なのはただ単に服が破けてしまったからなのだが、それが結果的に男達の劣情を引き立ててしまったようである。
少女は痛みと嫌悪感、そして込み上がる自分の力とのせめぎ合いで苦しんだ。
男は少女の身体に手を伸ばし…首に巻かれた赤いマフラーをグイッと引っ張った。
「…なんだよこの変な首巻は。邪魔くせえな。」
手に持った短刀で、躊躇いなくマフラーを切り裂く。
真っ赤なマフラーは、徐々に積もって来た白い雪の上に、はらりと落ちた。
御主人様との思い出の詰まった、命の次に大切なマフラー。
それは奇しくもあの日の夜、血に濡れた雪を見ているかのようであった。
絶対に、許せない。
少女の心にふつふつと沸き立ったのは激しい怒り。
目に見えるもの全てが赤く染まった。
もう、抑え切れない。
マフラーの下、露わになった首に記されたるはNo.066。それも直ぐに漆黒の体毛で覆われて見えなくなり…
そして彼が、現れる。
「な…なんだよ…コイツ…」
「聞いてねぇぞ…こんなバケモンだなんて…」
「に、逃げろ!!」
「ま、待って…ぎゃああああアァァァ!?!?」
「やめて…やめ…うわぁぁぁぁ!?」
数刻後。全ての男が、無言の肉塊へと変わった。
誰もいなくなった森の雪原で、少女は泣きながら雪を掘り起こしていた。
雪が降り積もったせいで、大切なマフラーが何処かへ埋れてしまったのだ。
霜焼けで手の皮が破れながらも、血濡れた真っ赤な雪をかき分けて。
ついに見つけたマフラーからは既に…
御主人様の温もりが消えてしまっていた。
御主人様の匂いが、なくなってしまっていた。
御主人様は…遠くに行ってしまった。
少女はふと思ってしまった。
御主人様は…レイナは…もうここには帰ってこないのかもしれないと。
少女は空を見上げた。
少女の目に降り注いだ星は川となり、もう冷たくなったマフラーをしっとりと濡らしていく。
やがて泣き疲れた少女は眠りについた。
夢でなら、愛すべき御主人様と再会出来ると信じて。
白い毛布が優しくその身体を覆ってゆく。
ある星降る夜。
少女の最後の記憶である。
彼は悟った。
御主人様はもう戻ってこない事を。
彼は気づいていた。
彼女がもう疲れ切っている事に。
彼は彼女。彼女は彼。
そして彼の存在意義は、彼女を守ることである。
彼女の心が、悲しみで壊れてしまう前に。
今はただ、彼女に安らかな眠りを。
それを邪魔する者は…近づく者は、なんであろうと許しはしない。
☆
孤独に耐え切れず眠りについた、ある冬の日の記憶…か。
…そうか。コイツは、ロロは、孤独の中で”彼女”を守ろうとして、たった一人で何百年と戦ってきたのか。
長い年月の中でやがて我を忘れ、悪魔と呼ばれ、守るものすら忘れて…狂気に呑まれていった。
それが悪魔マルトルードのルーツだったのか。
ロロは俺をジッと見ていた。
何かを訴えかけるようなその目にはもう、これまでのような嗜虐や残虐の念は映っていない。
特に理由や確証は無いが、俺はロロがこれまでの化け物とは違う存在に戻った事を感じた。
お前はどうしてその記憶を俺に見せた?
俺が人間だから?
俺が麗奈のツレだから?
それとも、ただ寂しかったからか?
ロロの首に優しく触れる。
よく見るとコイツの首には一部ハゲがあり、その奥には焼印がある。
やはりそこにあるのはNo.066。
コイツはまごう事なくロストナンバーの一人。
亜人計画66番目の被験体にして失敗作。
だから…ロロ。
安直だが、覚えやすい。
麗奈らしい命名だよな。
「ロロ。お前、俺と一緒に来るか?」
麗奈がかつてしたように問いかける。
ロロは尻尾をブンブン振って、俺の傷口をペロペロ舐めた。
犬の撫で方なんて知らないが…俺はロロの首周りをワシワシと撫でてやった。
…これでいいんだよな。麗奈。
森の木々の隙間から鮮やかな橙色の光が差し込む。
悪魔マルトルードは、予定通り死んだ。
コイツはロロ。悪魔マルトルードとは別ものだ。
しかしコイツの事を皆にどう説明しようか。
その事を考えると今から頭が痛くなるのだった。
☆
「エーリぃ!エーリぃぃ!!!大丈夫かぁ!!」
今更になってヴァンさん一行の声が聞こえてきた。
俺引き返せって言ったのに…
というか、到着遅いな。
「ヴァンさん!僕村に帰還して下さいって言ったじゃ無いですか!」
「馬鹿野郎!兄弟が死にに行くのを黙ってみてられっか!」
用心深く、敵は何処だ、とキョロキョロしながら近寄ってくるヴァンさん一行。
…その言葉は素直に嬉しい。でも、リーダーがそれじゃ組織だった動きに支障が出るんだけどな。
「ヴァンさん、もう全部終わりましたよ。それに僕は大丈夫ですから。もっと僕のこと信じてくださいよ。」
「お、終わっただと…!?」
ヴァンさんは周りを見渡し、倒れた木々や抉れた地面、血の跡など、激しい戦闘の痕跡を確認して絶句した。
「ま、まぁいい。細かいことは後で聞くからな。とにかく、その言葉そのまま返すぜ。お前はもっと俺達を信用すべきだ。
だいたいお前な、司令塔が直々に危険に突っ込むんじゃねぇよ。そういうのは俺らに命令すりゃいいだろうが。お前は頭でっかちで戦いはからっきしだってのに…万が一の事があったらどーすんだ。それにな…」
長くなりそうなヴァンさんの小言が突然止まる。
どうしたのかとその視線の先を辿ると、俺の周り、および俺の顔を何度も何度も往復していた。
口があんぐり開いて、目が点になっている。
「お、お前な…お、俺は心配してここまで来たってのに…」
ヴァンさんの視線の先、つまり俺の周りには沢山の兎人族の女性が立っており、なんならイロハに至っては俺の膝を枕にして寝ていたのだった。
「あらぁ?なんだか騒がしいですわね。エーリ様、どうかしましたの?」
「え、エーリ様ってお前、何綺麗所沢山侍らして鼻の下伸ばしてんだよ!?」
「ちょ、変なこと言わないでください!これは…そう。治療の一環でして…」
「治療ってのはな!そんな甘い雰囲気の中でやるもんじゃねーんだよ!」
「僕は断じてそんなつもりじゃ…」
「じゃあその周りにいる奴らはなんなんだ!」
周りの兎人族のうち何人かは、どういう訳か俺に枝垂れかかって来ている。
さっきまで特に何もしてなかったのに、なんで…
「ちょ、君たち?ねぇ、どうしたの突然…」
「あら、私達少し疲れちゃったから。」
「そ、そう。それは大変だ…うん。」
「大変だ、じゃねーよ!なぁウイ!?ん?ウイ?」
ヴァンさんがウイを探してキョロキョロする。
…なんか嫌な予感がするな。
背筋が凍るというかなんというか…
そう、まるで悪魔マルトルードに睨まれるような…
「エーリさん。随分楽しそうじゃないですか。」
「は、はいっ!?」
いつのまにか音もなく隣に座っていたのは満面の笑みを浮かべたウイだ。
しかしどういうわけか、その顔には悪魔が宿っているかと見紛うほどの圧が…
「へぇ〜。エーリさんはそういう感じの娘が好きなんですかぁ。楽しそうですねー。わざわざ可愛らしい耳まではやしちゃって。」
「あ、えーとこれは…その…」
ロロを傘下に収めた後、あちこちに散らばったイロハの弟子達を回収すべく再び兎人族に変身した。
その名残で、現在俺の頭の上には真っ白で長い耳があるんだが…
そんなこと説明しても信じてもらえるか…
「ご、ごめん」
「あらぁ、どうして謝るんです?私達別に何でもないのに。」
「あ、えっと、うん。」
「…それで?その後ろにくっ付いてる裸の娘は何なんです?」
「へ?」
裸の娘?なんだそれは。
俺は後ろを振り返った。
そこには、兎人族に混じって同じように俺の背中に枝垂れかかる、真っ裸の幼女の姿があった。
「…ちょ!?え、だれ!?」
「…エーリさん…ここまでさせといて、流石に白々しいですよ?」
「エーリ…こんな年端もいかない娘まで拾ってきて…見損なったぜ。」
二人からの視線が痛い。
いやまじで知らないんだけど…なんでこんなロリコン認定されなきゃならんのか。
「…ね、ねぇキミさ、服は着ような?寒いだろう?」
「…(フルフル)」
「ん?」
とりあえず服を着てもらおうと思ったら、よく見たら首元にNo.066の文字があった。
頭には犬人族と似た様な耳が生えており、ふさふさの尻尾が左右に揺れている。
「…お前…まさかロロか…?」
「…(こくこく)」
嬉しそうに首肯する幼女、ロロ。
なるほどな…人の姿と獣の姿、完全に融合出来ずに二つの姿を行き来してるのか。
そういう意味で不完全。失敗作の認定を受けたと。
しかも人間体が女性で獣が男性。雌雄同体ってわけか。
俺の中で、さっき見たロロの記憶がストンと落ちた。
このままロリコン認定されたままなのは困るので、ここは一つ、獣の姿に戻ってもらおう。
「ロロ、獣の姿に戻れるか?」
彼女は素直に頷くと、俺から僅かに離れ、四つん這いになって唸り始めた。
ヴヴヴゥゥ!!
俺が亜人に変身するのと同じくらいの短時間でロロの身体は何倍にも膨れ上がり、見上げるほど巨大な狼の姿に戻った。
「なっ!?」
「こ、これは!?」
みんなが慌てて距離を取ろうとする中、ロロは相変わらず呑気に俺の背中に馬鹿でかい頭を擦り付けている。
その様子があまりに予想外だったのか、皆呆気にとられ、ぽかーんとこっちを見ている。
「コイツはロロ。誓って、もう人は襲わない。」
俺はロロの頭を撫でながらそう言った。
ロロはそれに答えるように、俺の全身をデカイ舌でベロンと舐めるのだった。
感想ブクマ評価などよろしくです
面白くないぞ!とかでもいいので…
大衆心理っていうんですかね…自分がやらなくても他の誰かがやるだろ…っていうやつ。
読んでくれる人がそもそも少ないので一人一人の反応がめちゃ貴重なんです…(´°̥̥̥̥̥̥̥̥ω°̥̥̥̥̥̥̥̥`)




